第92話 全能の神、ルクスは俺のじいちゃんそっくりだった!
*神との会話のため、文字数が少し多いです*
その時空間が目の前に開いた。
「あるじぃ~、おかえり~」
「ただいま。遅くなってごめんな。中に入るよ」
中に入ってブルーを紹介した。
綺麗に浄化してあるので、問題ない。
ラスは泣きながら駆けて来た。フィーリアも嬉しそうだ。ニジは俺の頭の上からどかない。
セバスも笑顔で手を振ってくれた。
「お帰りなさい。本当に心配しました。その子は?」
「この子はブルー、セバスと同じ用に話せるゴーレムだ。空も飛べるぞ。あっちのダンジョンじゃあ、魔法が使えなかったし、攻撃スキルも使えなかった。だから、この子を作って、空から戦ったんだ」
「そんな。酷いですね、それは。でも、そんなダンジョンがあるのでしょうか?」
「いや、ないだろうね。どうやら仕組まれたらしい。最後のボスと話しをした。いろいろ明らかになったよ。でも、とりあえず、俺は休みたい。メシ食いたいし、風呂に入りたい、そして寝たい」
「食事はお持ちでしたよね?」
「ああ。でも、ラスの手作り料理は出せなかった。だからゆっくり食いたいよ。とりあえず、おはぎが食いたいから。その後、風呂に入る。で、少し休むか。みんなは、依頼なの?」
「そうです。悲しんでばかりだと、タケル様が戻られたとき、叱られると。リカは個室を一つ用意しました。よろしかったですか?」
「うん、それはいい。で、どうかな。使えそう?」
「冒険者としてはわかりませんが、料理はそこそこです。毎日手伝ってもらっていますので、随分楽になりました。あと、朝も早く起きますし、いうことないですね」
よかった、とストレージからおはぎを出す。
セバスが飲み物を聞いてくれるので、ミルクをと言っておく。
ニジとフィーリアが欲しそうなので、出してやれば、ささっとセバスが蓋を開けて、ゴミ箱にきちんと入れてたよ。面白いね。
俺の隣りにいるブルーは、静かに皆を見守ってる。
おはぎをガッツリ食った俺は風呂に入ることにした。
フィーリアが皆に連絡してくれたらしい。大喜びで依頼を終わらせて戻るって。
ニジにブルーのことを頼んで自室に向かう。
魔法が使えるか、と試してみることにした。
お湯を一気に張るようにイメージしてみれば、それだけで発動した。
あはは、よかった、魔法が使えるぞ!
素っ裸になって着替えとタオルを持って風呂に向かう。いつもの服は浄化してハンガーにかけておいた。
溢れるほどのお湯に身体を沈める。
はぁ、生きて戻って来られた。うれしい、本当に嬉しいよ。俺、生きてるぞ!
思わず右腕をあげた。あはは、変なやつだよ。
目を閉じて温かさに身体を預けると、どうやら寝ちゃったようだ。
まだ時間は早いから、身体を洗って髪の毛も洗おう。
疲れてて、最近はボディーソープで洗うこともなかった。最終的には浄化で終わらせてたし。
髪の毛をガシガシと洗う。気持ちいい……
身体もすっきり洗って、シャワーを頭からかぶった。最後に風呂の湯を抜き、浄化しておく。
脱衣所でゴシゴシとタオルで頭を拭き、身体も拭いた。
寝室でドライしながら水を飲む。とりあえず、誰かきたらヤバイので、トランクスだけははいたけど。
その間に身体も乾き、髪の毛も乾いた。Tシャツを着てベッドに座った。
ふう、とため息をはく。これはかなり疲れてるな。ヤバいぞ、これ。おはぎを爆食いしたから腹も減ってないし、眠い。でも、寝ちゃダメだろうよ。
身体がギシギシと音を立てている気がする。スタミナがないな、俺も。情けないよ、本当に。でも、肉体的な疲労よりも、精神的な疲労だな、これは。
はぁ、参った。これほど俺のメンタルは弱かったのか、情けない。ため息を付いてベッドにごろりと横たわった。
そのまま目を閉じてしまったらしい。
□□□□□
――タケルよ、今回は申し訳なかった。タケル、起きるのじゃ。
ん? 誰だよ、俺を呼ぶのは。
――儂じゃ、目を開けてみるのじゃ。
ええと、じいちゃん、誰? なんか見たことがあるんだけど。
――うむ。お前の亡くなった祖父と同じ姿なのじゃ。祖父に神にならぬかと聞けば、嫌だと言うての。姿形は勝手に使えと、空に上がりおった。ただ、その時に、お前のことは聞いた。父の理不尽によく耐えておったの。今回は、巻き込まれて不遇な目に合わせてしもうた。申し訳ない。
ええと……
俺別に気にしてないよ。まあ、最初の召喚した国の言い分には腹が立ったけどね。でも、取るモノ取って出て来たからいい。で、ここ、どこ?
――ここは神界じゃ。我ら神がおる場所であるな。我は全能の神、ルクスじゃ。他にもおるが、いろいろとちょっかいをかけるやつらがおる故、招いておらぬ。ただ、皆、お前に興味津々なのじゃ。能力は我が与える故、問題ない。故に、他の神が希望することを聞く必要はない。
ふうん。そんなガキみたいな神がいるんだな。でも、俺はそういうの嫌いだ。権力を笠に着るような神はいらない。前世では武神を敬えと言われてたけど、俺を家族から引き離した。だから信じてない。じいちゃんと母さん、弟だけは別だけどね。
――なるほど。聞いておった通りじゃの。心配するな、母は随分良くなった。弟も元気になったぞ。それで、お前はなぜ驚かぬのだ?
別に驚かないよ。だって、じいちゃんがいるんだよ、俺嬉しいよ。
――なるほどの。お前の祖父も豪快なやつであった。我をみても笑顔で話しておった。さすが、お前の祖父じゃのう。じゃが、儂を祖父というてくれるのか?
ダメ? じいちゃんでいいだろ。その方が俺もうれしい。だって、みたまんま、じいちゃんだもん。
――ふふふ、そうか。ならばお前には許そう。儂を好きに呼べば良い。儂は神々の管理神でもある。お前の望むことは何でもかなえてやりたい。じゃが、頼みもあるのじゃ。聞いてくれるか?
うーん、聞いてから考える。だって、請け負えないかもしれないし。
――なるほどの。そのように難しいことではないのだ。あの隠しダンジョンを作ったのは、ダルセニア王国の魔術師たち。リッチより聞いたであろうが、お前の評判を聞きつけた貴族どもが、悪事の発覚を恐れて国王をけしかけた。故に、お前を亡き者とするための策であった。じゃが、お前は見事に切り抜けた。
そういうことか……
まあ、そういうやつらが絡んでくれば、遅かれ早かれ俺は対応するけどね。でも、今回、手を出してくれたから理由ができた。そういう所は、俺は鬼になるよ。冷たいと思う?
――問題ない。神とて悪者は処分するのじゃ。天界に来ても、空に登れず戻され、魂を消す事もある。悪者が蔓延ることは許されぬ。そのことをお前に頼みたかったのじゃ。
ふうん。じゃあ、俺の考えは間違ってない?
――もちろんじゃ。まともな者たちはお前に引かれ集まる。受け入れるかどうかの判断はお前がする。今、仲間としているのは良いものばかりじゃ。
うん、確かに家族だと思える程だよ。新しい子も入った。だけど、あの子。何か事情がありそうだ。獣人だけど、なぜあそこにいるんだろう、何か気になるんだよね。
――さすがであるの。彼奴のこともそのうちわかる。お前が守ってやれば良い。ただ、国とケンカすることになる。じゃが、心配せずともよい。お前は一つの国くらいは簡単に滅することができるのじゃ。彼奴を守ってやれば良い。獣人国はひとつではない。気にせずとも良いぞ。
そうなの? でも、人が減るよ、あちらこちらで。
――ふふん、何を言うておる。お前は民のことは考えておるであろう? 国を統治する者は、自ずと現れるもの。お前が良いやつと判断すればよいのじゃ。
うそ、それでいいの? 十六歳のガキだよ、俺。
――問題ない。お前は若いが厳しい理不尽に立ち向かってきたのじゃ。その分、苦をしっておる。そして、この世界で楽もしった。それで十分ではないか?
まあ、そうなのかなぁ。
でも、俺でいいなら冷たいと言われるかもしれないけど頑張るよ。おかしい判断だと思ったら言ってくれる?
――そのような心配は必要ないとは思うが、お前が気になるなら、儂と会話できるようにいたそう。そうじゃの、頭で呼べばよいぞ。
ええ? じいちゃんって言えばいいの?
――うむ。それでよい。儂はお前のじいちゃんじゃ。そうじゃ、竜神が我が息子であると言うておった。血の繋がった息子はお前の眷属じゃろ? もちろん其奴も息子ではあるが、お前が長子で其奴はその次じゃと言うておったぞ。
あはは、うそ? あ、そういえば、リッチが言ってたな、竜神が息子だと言うのが俺だって。そういうことなんだね。わかった。じゃあ、この世界で優しい父親と、愛情深いじいちゃんができた。前世でもじいちゃんのことは大好きだった。唯一、俺を助けてくれたし。
ふむふむ、と全能神が頷いてるけど、これ、いいのか?
――良い。儂は幸せじゃ。お前のことは儂が守るぞ。可愛い孫のこと、儂が守らずしてどうする!
あはは、本当なのか?
――本当じゃ。それ故、ここに呼んだのじゃ。お前が思うものは全て作れる、必要ならば、何でも作って販売するなり楽しめばよい。まあ、お前の頑張りで資金のことは気にせずとも良いが、討伐ばかりではお前のアイディアも行かせぬであろう。盗賊討伐品は売り払い、ダンジョンの珍品のみ残して、錬成魔法を使い、家を作り、魔道具を作るのもよかろう。武器も食器も、農作物も。全て作る事ができる。
え? そんなものまで作れるの? でも、場所がないんだけど。空間じゃあ、無理でしょ。何処かに土地を持って農民を雇うか。それなら農民たちも生活できるだろ?
――ふふん、なるほどの。ならば、将来国を持てば良い。国は農民とお前たちだけ。そう、冒険者はいてもよいな。全てのものを受け入れれば大変な事になる故、お前と共におる冒険者、眷属などで国内の森は綺麗になる。ならば、農民も安心して農作物を作れる。そのように考えてみれば、そのうち正解が見えてくるのじゃ。
それも面白いな。まあ、流れに任せてみるよ。仲のいい人もいろいろいるから、そのうち、何か見えると思うよ。ズケズケ踏み込まれるのは嫌だから、そういうやつは排除するけど、そうでない人は受け入れるよ。少し先の話だな。だって、世界は広いだろ? 楽しい旅もしてみたい。
――それもよかろう。お前の楽しそうな顔を見るのは楽しみじゃ。今宵から半月ほどは、食事をして眠るという繰り返しになる。それは、今のお前に必要なこと。故に眷属たちや皆に任せて、休むのだ。食事は必ず取ること、眠ること。これは、我がハクに伝えておく。良いな、約束は守るのだぞ。
うん、わかった。それくらい俺疲れてるのか? それなら休むよ。今回ある程度わかった。精神的に弱いと思うんだ、俺。だから強くなりたい。
――それは問題ない。精神耐性をつけておこう。だが、身体はひとつしかないのじゃ。皆のためにも、休むべき。半月過ぎれば、問題ない。日常、無理をしすぎじゃぞ。身体が小さい故、スタミナというものが必要じゃ。じゃが、数年で普通の男の体格になる。まあ、この世界の男よりは小さいがの。そうなればしめたもの。気長に過ごすのじゃ。
わかったよ、じいちゃんの言う通りにする。そういえば腹が減ったかな。
――うむ。皆が待っておる。戻って食事を取るが良い。既にハクには連絡をした。皆、承知しておる故、気にするではない。あちらこちらから情報も入ってくる。皆に仕事を振れば良い。眷属たちは強い。戦う術を持たぬものには護衛をつければよい。冒険者たちには、パーティーとして活動させればよい。元気になり次第、彼の国のダンジョンを消して行くのであろう? 我はいつも見ておる。何かあれば、呼ぶのじゃ。
うん、そうするよ。じゃあ、じいちゃん、また会える?
――いつでも会える。寝る前に呼ぶのじゃ。ならばこちらで会えようぞ。
ありがとう。じゃあ、今日は戻るね。じいちゃん、お休み~
にっこり笑う全能神であるじいちゃんは、手を振って送り返してくれた。
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【あとがき】
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