第90話 空からの攻撃を可能にしてくれる「ブルー」を錬成した
湯沸かしポットに生活魔法で水を入れる。魔力を込めてスイッチオン。その間に熱々の牡蠣フライを食う。おにぎりと牡蠣フライ、肉串。うん、力がわき上がってくる。
カップラーメンができあがり、よりガツガツ食いまくった。
とりあえず、満腹になった俺は睡魔に襲われる。
ベッドに横になった瞬間、眠ってしまった。
気がつけば朝。
風呂に入ってないんだけど、どうするかな。とりあえず汗だけ流すか。いや、浄化で済ませよう。
浄化して朝飯食って。着替えを終え外にでる。
幸いにも、魔物は集まってなかった。
空を飛べたらいいんだけど。
そうだ、錬金を使ってみるか。金属はミスリルでゴーレムを作ろう。俺が背に乗れるサイズの鳥ゴーレムがいい。飛ぶのも速くて自由に飛べる個体。核が必要なら、古竜の魔石以外でいいだろう。そう、レッドドラゴンの魔石を核にして作る。
身体も自由に動く、命令に忠実で。背に乗ったまま攻撃できるように作りたい。魔力多めで。
【錬成!】
地面に置いたレッドドラゴンの魔石の周りに光がグルグルと回り出す。そしてだんだん光り始めた。
おお、これはすごいな。
なんの計算もしていないけど、スキルに任せるしかない。
しばらく光を放っているようなので、キューブをストレージに入れることにした。
入るかな、と思ったけど。スルッと入ったよ。おっそろしいね、これ。
じゃあ、ゴーレムはどうかな。
おお、そろそろ完成かな。
ゆっくりと収まった光の後には、ミスリルの透き通るような青い鳥がいた。種類はわからないけど、綺麗だ。
「お前、とても綺麗だな。話せるのか? 名前は?」
『ハナセマスガ、ツウジテイマスカ?』
「おう、通じてる。名前はあるのか?」
『ナハアリマセン、アルジガ、ツケテクダサイ』
「そうか。じゃあ、綺麗な色だから『ブルー』にしよう。それでいいか?」
『アリガトウゴザイマス、アルジ。ワタシハ、ブルー。イッショウオツカエイタシマス』
「うん。頼むよ。この面倒なダンジョンを終わらせないとな。頼りにしてるぞ、ブルー」
『ギョイ』
じゃあ、結界を解除すれば、背に乗ってくれとブルーが身体を伏せる。
背中に乗り、二人で空に上がる。
その場で気配を探れば、サーペント、キングボア、ヘルハウンドが見える。それぞれ数百体だな。
「じゃあ、進もうか。少しゆっくり飛んでくれ」
音もなく空に上がったブルーは、その辺りをゆっくりと左右に飛んでいる。
じゃあ、まずやるか。
【二天鵠煌!】
ブワリと光がわき上がり、次々とサーペントの身体が切り取られて行く。おお、サーペントならやれそうだな。
何とかサーペントは仕留めたけど。とんでもない数がいた。ストレージによれば、六百八十体。あはは、笑うしかないな。
次はキングボアだな。
これは二天鵠煌では無理だった。まあ、毛皮も硬いし仕方がないな。
【威竜煌鱗!】
があーっと声が聞こえそうなくらいのドラゴンたちが飛び出して行く。すごい、ドラゴンの数が増えたぞ!
その間に、先の気配を探る。
ヘルハウンド、オルトロスがいるな。
あと、空にかなりの気配があるけど、これ、鳥か?
サンダーバードがかなりの数だな。
おっと、もう一度だ。
【威竜煌鱗!】
おお、すごい。これは、一度の閃光でかなりの数が狩れるようになったな。
その後も地上の魔物は、古竜に任せることにした。『威竜煌鱗』は最強だな。
俺とブルーは、空の魔物に徹することにする。
横に並んで飛んでくるので、『二天鵠煌』でかなりの数を処理できる。ブルーがいい動きをしてくれるので、どちら方面からでも攻撃できるのは素晴らしい。
面白い魔物がいた。翼鹿角兎というらしい。これは空を飛ぶんだけど、あまり速くはないので、何とかなりそうだ。だが、やはり数が多すぎた。俺だけじゃダメだな。
『二天鵠煌』と『威竜煌鱗』を主に使って、その間に、すれ違い様に空の魔物の逃げたやつを殲滅して行った。
何とか一日が終わり、キューブに戻ってメシを食う。
ブルーは浄化して中に入れた。
厚めのクッションを取り出してここで寝ていいからと伝えれば、ゆっくりと翼を畳んで横になった。うん、お利口じゃないか。
メシを食いながら、ストレージを確認する。
サーペント六百八十体、キングボア七百体、ヘルハウンド八百体、オルトロス五百八十体、サンダーバード六百羽、ガルーダ三百八十二羽、吸血鳥二百羽……。
狩りの途中で、結界で止めたやつらもいる。
なぜなら、俺が疲れていたから。
こんな毎日が続けば、疲弊して行くだろう。できるだけ速く終わらせたい。もうヘトヘトだ。
途中で寝込みそうな気がするが、その時は素直に休もう。その方がいい。そうでないと、最後まで身体と精神が持たないぞ、俺。
翌日から、一日討伐して一日休む日が続いた。
本当ならもっと早く終わらせたい。でも、身体と心が別物になりつつあった。これはマズいと感じて休むことを選択したのだ。こんな殺伐とした日々は前世の生活を思い出す。
本当なら、ブルーの側に寝転びたいけど、俺の心を理解してもらえることはない。
ただ、疲れているからという理由で休むことを優先した。ゴーレムであるブルーにとっては、全く気にしないようで逆に助かった。眷属たちなら、心配するから俺も無理をするだろう。そうなると、より最悪に向かうことになる。それじゃダメなんだ。俺は俺でいないとダメだ。
今日で裏ダンジョンに送られて何日たったんだろうか。
変わらず、『二天鵠煌』と『威竜煌鱗』に頼っている。俺がやるのは、逃げた魔物を狩るだけ。それもブルーに乗って空に上がり、安全な所からの攻撃だ。卑怯だ、俺は。
狩った魔物も、かなり増えた。
火鼠千二十体、翼鹿角兎一千二百体、猫又なんていうのも出て来た。
十日を過ぎたころからは、強い魔物が出て来始める。
王虎、天牛、蒼大角、一角獣、魔猿の王……
そもそも、ランクの高いダンジョンのボス部屋にいるようなSランク魔物たちが数頭ずつ、あとは、山神熊、王猪暴猪、翼鹿、ブラッディーベア、グリズリーなども数十頭から数百頭いた。
当然のようにキマイラやマンティコアは数十頭ずつ。
普通にミノタウロスも出てきたぞ。あとは牛頭の王もいた。
それぞれが数体から数百体いたね。
もう数を確認することも嫌になった。
それに十一日目には熱を出して寝込んでしまった。翌日も起きられず、丸二日寝込んだ。
翌朝には元気を取り戻して、温かい白米と味噌汁で朝食を済ませた。
外にでれば、結界を張ってあるので、後ろへと魔物は行かれない。
ブルーと空に上がってから仕切りの結界を解除すれば、待っていたかのように魔物たちがやってくる。
まあ、Sランクは奥にいるけど、このあたりをやってしまおうか。
【二天鵠煌!】
おお、勢い良く光が殲滅してくれるが、やはり全ては無理そうだ。
じゃあ、古竜にお願いするしかない。
その間に、俺は思いついたことをイメージにまとめることにした。
【威竜煌鱗!】
ガオオオオオオーっとドラゴンの叫びが聞こえそうな景色を見ながら、これ以上のものはないだろうと思う。でも、俺のイメージを別の攻撃手段として持っておきたい。
閃光が雨のように降り注ぐ、そんなイメージ。
一閃は鋭い刃だが、その刃が天から降ってくればどうだろう、そんな風に考えた。
『二天鵠煌』は両端から内側に向かって魔物たちを屠って行く。『威竜煌鱗』は光の刃が魔物を追いかけるように殲滅してゆく。
でも、今考えているのは広範囲攻撃といってもいいだろう。光の刃が降り注ぐんだ。仲間がいるときには危険すぎて使えないけど、今回みたいな時は問題なく使える。対魔物でも対人でも。当然、広い攻撃になるので、魔力は多く使う必要がある。だが、それは問題ない。
しっかりイメージしてから名前はスキル名はどうするか。雨のように降る刃だ。それを形にしたい。
『煌刃翔來舞』(コウハショウライブ)
これでいってみようか。
丁度、『威竜煌鱗』がそろそろ終わりそうだ。
じゃあ、テストだな。
【煌刃翔來舞!】
ドドン! と大きな花火が上がったのかと思うほど地面が揺れる。
その後、大きな光が空で弾けてかなりの広範囲に降り注いだ。慌てて、自分とブルーに結界を張った。
それぞれの光が刃となり魔物たちに襲いかかる。脳天から切り裂かれた魔物は、残りのフィールドを殲滅し始める。その前に逃げたやつらに対しては、ドラゴンたちに任せよう。
【威竜煌鱗!】
何体ものドラゴンが光の刃となり、逃げ隠れする魔物たちに足下から襲いかかる。
これ、すごいぞ。
上からは『煌刃翔來舞』足下は『威竜煌鱗』で攻められる。もう、最悪としか思えないほどの結末。
さすがの俺も、とんでもないと呆れるしかなかった。まあ、そんなのできちゃった感はあるけどね。
スキル作成は封印されてるんだけど、なんでかな。作れたよ。まあ、スキルを作るつもりじゃなくて、何度か反復するために自分の中にイメージや効果を保存した感じ? そのつもりだったんだけど。
まあ、結果は良しとしよう、うん。
これで終わったのかな?
ええと、気配察知で確認してみようか。
あ、もう一体だけいるのかな。
どこにいる?
いたぞ、あの扉の中?
もしかして、ボス部屋かな。ここで初めてのボス部屋だ。うーん、どうするかなぁ。ちょっといってみようか。
ブルーは扉の前まで飛んで、ゆっくりと降り立った。
ここ、安全エリアになってるのか。
ええと、時間は何時?
夕方の五時過ぎた所だな。どうしようか、このまま突っ込むか? 少し無謀な気がするんだけど。魔力はかなり使ったけど、枯渇感はない。でも、疲れたのが正直な所。安全エリアなら、ここで休もうか。
病み上がりだから無理したら碌な事にならないだろうし。
「ブルー、今日はここで休むよ。キューブに入ろうか」
「ヤスンダホウガ、ヨイデスアルジ。アスノサイシュウセントイタシマショウ、オヤスミクダサイ」
「うん、ありがとうね」
安全エリア全体に結界を張り、キューブを取り出した。ブルーも俺も浄化して中に入る。
ブルーに休んでいいよと言えば、寝室にしつらえた寝床に行って翼を閉じた。
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【あとがき】
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