第87話 久しぶりにダンジョンに潜りましょう
じゃあ、どこに行くかだな。
俺が行きたいのは、世界一の大国ダルセニア。国全体の地下にダンジョンがあると言ってもいいくらい。中には塔型のダンジョンもあるらしい。
ここでは錬金術の街ボンバージに行きたい。ダンジョンに興味はないけどね。
もしくは、その隣国のアスタリア国。
数カ所あるダンジョンだが、そのうち、一番ランクの高いものは、そろそろSランクになりそうらしい。そこならいってもいいけど。
「俺でも大丈夫でしょうか」
「まあ、ひとりは無理だろうけど、眷属ズもいるし、パトリオットもいる。それに俺もいるからな。そうだ、パトリオットはいいのか?」
「もちろんです。いったことがないんです、Sランクダンジョンは。だから経験を積むためにも行きたいです」
おう、そういうことか。じゃあ、アスタリア国に向かうかな。
ニジも魔法の勉強は終わったので、皆で移動することにした。
ラスに食材の不足はあるかと問えば、全く問題ないらしい。じゃあ、ギルドにいって魔物を多めに渡しておくか。
ギルドで場長に魔物を二千体くらい渡しておく。ひっくり返りそうになってたけど、それはそれで問題ない。容量無限で時間停止のアイテムボックスを預けてあるから。
ギルマスは来客中だというので、俺たちはアスタリア国のSランクダンジョンに潜ってくると伝えてもらうことにした。バウの初ダンジョンだから。
気をつけてなと言われて手を振り空間に戻った。
さて。
アスタリア国に向かうのはすぐだ。
ボルック国に一部隣接してるから。
明日の朝、国境門の近くに空間を開いて、全員で入国する。入国後、ルートを決めて空を移動することにした。
王都からは少し向こうに高ランクダンジョンがあるらしい。そこはギルドの管轄から入ることにした。その方が誰かに何かが起こったとき、空間に出入りするのに事情が通じやすい。パトリオットがいるからね。
朝になり、アスタリア国の入国門手前に空間を開く。
そこで全員で移動して無事入国した。
バウとパトリオットはハクの背に乗り、ニジとラスはフィーリアの背に、俺はアレックスの少し大型の背に乗って入国したんだが。
かなり目を引いた。まあ、別にいいけどね。
途中で空に上がり、王都門手前まで進んだ。
同じように王都に入って、パトリオットの案内でギルドに向かう。
すぐに話を通してくれたので、最下層まで行くと伝えれば驚いてた。空間に家があるので、ダンジョンから直接家に戻り、翌日出て探索を続けるといえば、呆れられた。
俺の話は伝わっているようなので、納得したらしい。だから規定日数で戻らないからと心配しないでくれと伝える。週に一度、パトリオットが連絡を入れることになった。
じゃあ、とそのままさっそくダンジョンの入り口を目指す。その前に、ラスは空間に戻った。
ダンジョンの入り口で騎士たちのチェックを受ける。それぞれが冒険者カードを出して、従魔の確認をする。
詳しいことはギルマスに聞いてくれとパトリオットが話しをつけて、俺たちはダンジョンに入った。
うちは斥候がいないので、俺と従魔たちが気配察知をしながら進む。
最前列はバウとパトリオット、ハクだ。
次はフィーリアとニジ。
最後列は俺とアレックスだな。アレックスは二メートルくらいの大きさになってる。うん、かっこいいよ~
さて。そろそろ出て来たよ、魔物たちが。
一階層は、ゴブリン、コボルトたちだ。
これは問題なく、最前列で始末しましたね。
ドロップアイテムは、自動で俺のストレージの中に入るので誰も気にしてない。まあ、便利だものね。
二階層はオークの集団。
さすがに二人と一頭では無理なので、全員で対応する。従魔たちは結界を張り、それぞれが魔法を行使する。その間で、バウとパトリオットが剣を振り倒して行くのだが、正直俺は必要ない。あはは、すごいね、皆。
三階層はオーガ。
これも、俺以外が戦った。うん、素晴らしい。
四階層に降りる前の安全エリアで、おやつを食べてひと休み。
飲み物を取りだし、菓子パンやサンドイッチを置く。テーブルに置けば、ガツガツ食らいつく。俺たちは野営用のテーブルと椅子。ハクとフィーリアは、ローテーブルに置いてやる。
すっごく便利だね。
ひとしきり食いまくった俺たちは、階段を降りる。
俺は知っている。ハクは階段を降りるとき、身体を浮かせていることを。まあ、仕方がないよね、階段はあまり広くないし。ハクはデカいし。
それからは、七階層まで進んで、八階層の安全エリアから空間に入った。全員を浄化して中に入り、笑顔で迎えてくれるラスに挨拶して、全員が風呂に入る。
当然、ハクとアレックス、フィーリアは外のプール風呂。俺は自室の風呂にニジと一緒。バウとパトリオットはどうするのかと見ていれば、ハクたちと一緒に泳いでた。もう、面白すぎだろうよ、お前たち。
広い方がいいなら、別に入ってもいいぞといえば、泳ぎたいらしい。それなら別にいいけどね。
風呂が終われば、身体を乾かすドライを発動してやる。外で皆はフルフルと身体を震わせてる。まあ、女性がいないからいいけど、バウ、パトリオット。お前らまで一緒になんで? と聞いてみたい。でも俺も同じだったし、まあいいかな。
俺とニジもリビングで身体を乾かす。
ハクとフィーリアのブラシはバウが毎日かけてくれるので大助かりだ。
夕食は、ラスのお得意、パスタだ。
それに、肉煮込み、ステーキ、フライだ。野菜のフライも山ほどあった。あとは、生野菜のサラダ。
全員が一気に食らいつく。
俺は白米片手に、とりあえず肉煮込みとサラダだ。次にステーキ、魚のフライを食いまくる。最後にパスタを山盛り食べた。
お腹がパンパンで動けないと、ソファに座れば皆が食う姿を見ながら眠っていたらしい。
セバスに起こされて、皆がデザートタイムに突入したのを横目に、寝室に向かった。入り口のドアは開けておいてもらう。ニジが戻った時困るからね。
朝、すっきりと目覚めた俺は、柔軟運動を軽くしてから着替えをする。
帯剣して、ローブを手に持ち部屋を出た。ニジは俺の肩に乗っているんだけど、可愛いね。ドアが開いてフィーリアが出てきたら、その背中にピョンと乗っかった。仲良しさんだなぁ。
しっかり朝食を食べた俺たちは、八階層に行くために空間を開く。一応結界は張っておきました。冒険者たちがいたら面倒だから。
幸い、誰もいなかったので、ホッと息を吐く。
「じゃあ、行こう。今日も気をつけて頑張ろう!」
「応!」
外は岩場が多い森。
それほど深くない森なので、進みましょう。どうやら、ここは「ひとつ目」のエリアらしい。
それにしてもデカいな。まあ、それもいう程の脅威じゃないだろう。
バウとパトリオットが旨く連携して、眷属たちはそれぞれ自由に討伐してるね。うん。なかなか感心だ。
端っこで隠れているひとつ目は俺が担当する。氷弾で仕留めて楽々だ。
うちの子たちもこれくらいのレベルは全く問題ない。バウとパトリオットも気にせずともいいね。
さて、次の階層は何が出るんだろうね。
ここはホブゴブリンとハイコボルトだって。ハイコボルトは初めてみた。まあ、これも心配ないでしょう。
次は十階層だね。
ここは何がいるんだろう。
ヘルハウンドとオルトロスだね。まあ、これも問題ないだろう。
ここで初めてのボス部屋があった。
魔物は雷犬ライラプスというらしい。雷を放つ犬かよ。へんなやつだな。
ここではニジが大活躍した。
上級の雷魔法を三度お見舞いしたら、おわったね。
ドロップ品もそこそこだったが、誰も興味を示さなかった。うちのメンバーたちはハッキリしてるねぇ。
そんな風に十一階層をクリアして十二階層に到着した。
ここは、人狼サバト、雷狐テウメソスがいた。どちらもBランク以上らしい。
皆、少しワクワクしているのがわかるんだけど、気をつけてよ~
俺はいつもと同じで最後尾からフィールド内を察知しながら歩いてゆく。
あ、その向こうで冒険者だろう、戦ってるね。
皆にそれを伝えて俺は空に上がった。
問題なく戦っているのでうちのメンバーは大丈夫だろう。ハクやアレックスは、ここぞとばかりに暴れてる。フィーリアはニジを背中に乗せて、空から魔法で攻撃してるね。うん、空を飛べるのはアドバンテージ高いよ。
バウとパトリオットは、さすが高ランク冒険者だ。連携もしっかりしてるし、大丈夫だろう。
そのまま空を進む俺だけど、少し気になる気配があるから。
血の臭いがする。どうやら冒険者対サバトらしい。
一人でも多く生きてほしいから急ごう。
岩場の下で戦っているのは、冒険者が二人。一人は人族、一人は猫人族か。猫人族の動きは速い。サバトの威力に押されてる。人族の男も、どうやら左腕がないようだ。これはヤバイだろうよ。
「ルスト! 岩陰に入って!」
「ダメだ、お前だけじゃ無理だ」
「大丈夫だから、早く!」
空から降りようと思った瞬間、猫族の女の両足が切り飛ばされた!
こいつ、絶対に許さん!
地上に降り立った俺をみて、二人は岩場の隅に逃げ込んだらしい。
「なんだ、魔法使いか。つまらん、剣士はおらんのか!」
「心配するな、俺は剣も魔法も使う。お前の命は俺がもらう」
「ガッハッハッハ! お前の様な矮小な者が? 無理はやめておけ。お前の実力では……」
こいつ、本当に気に入らない。
何かしゃべってるけど、そんなことどうでもいい。
瞬間、最高の速度でサバトに近寄り、クビをはねた。急がないと、冒険者たちが危険だ。出血が酷いだろうし。
振り向けば、ふたりとも倒れていた。
脈は?
男の方は既に息絶えている。腕の付け根の太い血管が切られたからか。大量の血液が流れて血だまりを作っている。
女のほうは?
両足は綺麗に切断されてるが、意識はない。脈はあるが、少し弱いな。治療薬では無理だ。じゃあ、これしかない。
獣人族といっても、この子は人に猫耳がついてる。そして尻尾。それくらいの感覚だ。背中には猫の毛があるな。
これくらいなら、口移しで飲ませてもいいだろう。
互いの口を浄化して、妙な菌が入らないようにしてっと。
瓶を開けて口に含んで口移しでポーションを飲ませた。
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【あとがき】
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