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第79話 助けたバウは狼獣人の末裔だった

「騎士さんたち。悪い、護衛が見つからない。だから、俺が空間に入れて連れて行くよ。ただね、次の領主か代官が来るまでは、交代で護衛を頼めるかな。すぐに来るようにいうから。あと、中にある氷の塊は溶かさないで。領主の身内の遺体だから。凍ってるからアンデッドにもならないし。だから、不審者が入らないように頼むよ。何人いるかわからないけど、皆で分けてくれ。飯代くらいにしかならないだろうけど」

 そう言い、副団長に皆の前で金貨を五枚渡した。

「これは?」

「だから、飯代だって。給金は国からでるんだろうしね。人数で分けてね。頼める?」

「ありがたいです。では、護衛の人数で分けましょう。感謝いたします」

「うん。とりあえず、結界は張ってある。だから、入り口だけだね。夜はどうする?」

「交代で当たりましょう」

「わかった。頼んだよ」


 そう言ってパトリオットの所へ戻った。

 二番の空間を開いて、騎士たちに馬を中にいれてもらう。ライトをつけたので、明るくなった。あとは、水だな。そうだ、馬、ここにもいるよね。

 じゃあ、とりあえず、仕切るか。

 馬を両側に分けてもらい、土魔法で高めの塀を作った。騎士たちの馬にも、飼い葉と水をだす。

 それで落ち着いたね。まあ、すぐに到着するし。


 さて。

 馬は全て入った。じゃあ、と騎士団に手を振り、二番の空間を閉じてから、住居用を開いた。

 

 とりあえず、Sランクの冒険者を浄化する。おお、綺麗になったね。


「これ、食べてよ。とりあえず、何か食った方がいい。後で話を聞くから」

 

 ありがとうございます、と保存容器を受け取った。

 すぐにセバスが水と果実水を数本ずつ持っていったよ。


 じゃあ、俺たちはこっちだな。

 隣のテーブルに腰を下ろす。

 ニジは本を読んでていいかというので、冒険譚を読んでないらしい。テントの中のミニテントで読むって、フィーリアに頼んだ。

 

 みてたら、フィーリアはかなり小さくなって二人で中にはいったよ。とても可愛いね。

 セバスが後を追い、ミルクや焼き菓子などを小さなテーブルに置いたね。大喜びの二人は本当にかわいいよ。癒やされるなぁ。



「じゃあ、とりあえず、今から王宮に戻って馬を引き渡す。その後だけど、ナナは?」

「寝てると思うが」


 はあ? 何やってんの?


「ナナ! 何やってんだよ! いい加減にしろ!」

 テントの中では、ドタバタ、ドタン! とひっくり返ったみたいだ。


 小さく聞こえたのは、「す、すみません~」という情けない声。

 はあ。これ、ダメじゃん。こいつ、おそらく朝起きできないタイプだな。あの棒は渡さなくていいかな。

 とりあえず、放っておこうか。クロノスはアレックスたちと話してるしね。

 それじゃ、俺はバウに話を聞こうか。


「バウ。タケルだ。話いいか? 食いながらでいいから」

「はむ、い……」


 保存容器を手にやってくる。


「お前、なんで牢に入れられた?」

「あの、ふ。ゴクリ。森の魔物の気配がすごいので、討伐隊を組んでほしいって頼みに行きました。何度も何度も。うっとうしかったんでしょうね、『それほど金が欲しいのか!』と罵られて捕らわれ、牢に入れられました。そのまま、一日二回のパンとスープだけで。もう一週間になります」

「ギルドとか仲間とかは? 誰も来なかったのか?」

「あはは。何度も領主を訪ねるので、皆、自分の身を心配して俺から離れていきました。でも、すごい魔物の気配で。しかし、牢から出たとき、威圧するような大量の魔物の気配はありませんでした。オークやゴブリンなどの気配はありましたけど。それで、パトリオットさんから話を聞いて驚いたんです」

「まあ、魔物のBランク以上は、とりあえず片付けた。だから、大丈夫なんだが。お前はこれからどうする?」

「どこか別の場所に行こうと思ってます。あの場所じゃ、もう冒険者としてはやれないでしょう」

「なるほど。それでどこに行く? 王都なら送ってやるぞ」

「……それは。この国から出たいので、それはいいです。何処か別の国でダンジョンにでも潜りますよ。それなら、一人でも何とか生きてゆけますから」


 なるほど。こいつは仲間とか国とか、もう見限ってるんだな。さて、どうするか。

 ちょっとみてみるか。


 魔眼!


 ええと、こいつ、とんでもない力を持ってるな。ただ、覚醒してない。これ、なんの力だ? 獣人の力なのか?


「主タケル。この者はそなたの思っている通りであろう。何代も前の話しではないか?」クロノスの声を聞いて「やっぱりか」と納得できた。

 だが、人間的にはとてもいい。狼系か。だが、前世でみた狼男みたいなのじゃない。単なる獣人と人間の間に生まれた子が人間と子をなし、また次も人間と子をなして今に至るんだろう。それ故の能力だな。

 だから魔物の気配もしっかり理解できるのか。ふむ。これほどの人材をギルドは見逃してるってことか。


「あの。タケルさん、タケルさんはこのメンバーで討伐やダンジョンに行かれてるのですか?」

「まあ、そういうことだな。ダンジョンは基本的に行かない。ダンジョン都市でランクBのダンジョンからSのダンジョンまで潜ったが、ダンジョン自体はくだらない。最下層までいってよかったと思ったのは、ランクSだけだった。それに、俺と眷属たちだけだとすっ飛ばしてしまうからな。本当に楽しくないんだよ。だから、行ってもつまらない」

「なるほど。それもすごいことですね。まあ、俺もダンジョンに行きたいわけじゃないんです。ここでも西も東も潜りましたが、人の嫌な部分をみただけでした。いいドロップアイテムは領主に安く買い上げられる。断ると、ダンジョンの中で刺客に狙われる。同じ冒険者からも、アイテム欲しさに襲われました。だから、人は信用できません。ですが、タケルさんも、ある意味同じ感覚を持たれている気がします。中身は違うかも知れませんが」

「……ふむ。お前、すごいな。お前の血筋のせいだろうが、感心するよ。お前のいうとおり、俺が気を許す人間は、とりあえず十人前後。パトリオットはそのひとりだ。あとは、以前滞在してた街のギルドの解体場長、商人がひとり、それと冒険者パーティがひと組だな。後は俺の眷族たちだけだ。まあ、この国の宰相はできるやつだとは思ってる。だから、基本、お前と一緒だ」

「なるほど。やはりそうですか。裏切りますからね、人って。何度も嫌な思いをしました。命まで狙われて。でも、何とか立ち直りたいんです。とんでもないこと……だとは思いますが。タケルさんと一緒につれていってもらえませんか? 何でもやります、洗濯でも掃除でも皿洗いでも! 料理はできませんが、何でもしますので、何とかお願いします!」

 

 ふん、やっぱりそうだったか。


「タケル。良いのではないか。此奴、悪いやつではない。今宣言したことも守るであろう。そうでなければ、放り出せば良い。それだけである。我も人型は取るが、こやつほどの事はできぬ。それに、我は少ししたら、旧友に会いに行こうと思う。我が今、誰の眷族かを話にな。故に、此奴には試練を与えればよい。Sランク冒険者であっても、小間使いのように働くと言うておる。それをみれば良い。良いのだな、バウよ」

「はい。それは間違いなく。自分が言い出したことです。できれば、少しでもお手伝いをさせてください! 他の眷属の方たちにも心から認めてもらえるよう、精進いたします!」


 ふむ。それならいいか。


「ハク、アレックス。お前たちはどう思う?」

「私は主に従うよ、当然。ただし、主には様々な能力がある。それを他言することは命がなくなるということ。それでもいい?」

「はい、もちろんです。ええと、ハクさん、ですか?」

 

 大きく頷いたのはハク。


「俺も当然、主の思いのままに。おそらく、主は鑑定だけではなく、魔眼を使って確認しておられるはず。主に対しての裏切りは、許さぬ。もし、裏切ったならば、我がブレスで焼き尽くそう」

「はい。理解いたしました。私はタケルさんの元で教えを請いたい。全ての事柄において、そうしたいのです。どうぞよろしくお願いします、アレックスさん!」


 アレックスも大きく頷いた。


「タケル。どうするのだ? 我も同じ意見であるぞ」

「はぁ。やっぱり皆俺と同じだな。じゃあ、バウ。今日からお前は仲間だ。だが、この空間の中では、ゴーレムのセバスの手伝いをしろ。あとは自分で鍛錬だ。そのうち、もう少し大きな空間にしたいと思う。屋敷もあるんだが、面倒だから出してないだけだ。お前もテントになるが、いいか?」

「はい! ありがたいです!」


 わかった、と盗賊のアジトにあった、魔道テントをどこに出すか。じゃあ、入ってすぐのプール風呂の手前でいいな。それなら、動きもわかるだろう。


 そこに魔道テントを取り出す。

 ポン、と出て来たので、中を見れば、とりあえず、マットは敷いてあったな。あとは、布団だな。

 ホームセンターから、布団上下と枕、カバーのセットを取り出した。そしてテントに放り込む。


「後で風呂が終わったら布団を敷け。お前、荷物は?」


「一応ありますが、ギルドに置かせてもらってます。大きなリュックひとつなので」

「なるほど。じゃあ、ハク。ギルドはわかるか?」

「知らないけど、パトリオットと行けばいいでしょ」


 はい、と結界を張って入り口を開いて二人ででて行った。


 とりあえず、盗賊の押収品を出すか。

 シートを敷いて、服とか靴、防具などを取り出す。冒険者用と貴族の平服など、いろいろ取り出した。


「主。これはバウに選ばせるの?」

「うん。そうしようと思ってる。防具とかは他にもあるから。靴も服もある。選ぶのにアドバイス頼む」

「わかった。じゃあそうするよ。主。昼飯は?」

「それだよ。お前らは?」

「私たち食った。ごめん、まさか今まで食ってないとは」

「じゃあ、クロノス、メシを食おうや。セバス悪いが頼む」

 

 いつものように「ショウチシマシタ」と奥へと向かった。今日の昼飯はいろいろと狂っただろうから、何が出てくるんだろうね。



********************

【あとがき】

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

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