第78話 バカ公爵の屋敷破壊は、クロノスが楽しく遊んだみたい
「オヤジ、どうだ、できたか?」
「おう、やっと来たか。もらったこれを分解して納得した。これはすごいな。それで作ったのがこれだ」
こうやって伸ばしてロックする。そして振ってくれというので、ブン! と振ってみた。適度な重さがあるので、かなりの威力だろう。それにこの作りなら折れることはないかもな。ミスリルとオリハルコンを使えばもっと強力になるだろう。
「いいな、これ。素材を変えればもっと面白くなるな。ありがとう。いくらだ?」
金貨七枚を渡す。素材は渡してあったので、問題ない。あと、盗賊のアジトで持って帰ったと、鉄の剣を取り出した。魔鉄もあるけど、何処かで出すこともあるだろうと、出すのをやめた。
「こんなにいいのか?」
「ああ、俺には必要ない。新品と中古があるから適当に分けてくれ。素材にしてもいい」
ありがたい、と受け取ってくれた。
その棒は、ホルダーがあったので、それごとストレージに入れた。
じゃあ、と街を出ることを伝えて、店を出た。
そのまま空に上がり、クロノスの背に乗る。結界を張って、念話した。
『手書きの地図があるけど、これを見てイメージを送れるか?』
『ふむ。やってみるか?』
うん、と地図を見て、それを写真のように記憶して、クロノスへ送ると念じた。
『うむ、見えた。なるほど、ここであるか。理解した。では、向かおう』
頼むな、といえば、グンと速度が上がった。とんでもないぞ、これ。アレックスより早くないか?
あ、もうそろそろ到着しそうだ。
領内の入り口にある門の上にあるのは、侯爵家の紋だ。
さて。
あの、デカい屋敷か?
『タケル、あれが領主の舘であろう』
『そうみたいだな。使用人たちには罪はない。だから、使用人たちだけは助けるつもり。どうする、庭に降りるか?』
『それがよかろうが、その前に声を拡声するか。その方が早い。鑑定すれば、その場からでも問題ないであろう? ならば、門の前に降りるか』
『街道が塞がるけど、どうするかな。じゃあ、屋敷を結界で覆うか。それで領主の身内以外は通れるように設定するから』
『そのようなことができるのか。素晴らしい、さすが我が主である』
あはは、と笑い、イメージする。
領主の舘全てに結界を張る。外にでられるのは、領主の身内以外。
ドドドーン! とクロノスが庭を踏み潰しながら降り立つ。
<条件付き結界!>
ふわっと、薄いピンクの結界が領主の舘を覆った。
さて、アナウンスするかな。
拡声――!
「俺はタケル。王宮で、当地の領主は俺を罵倒し、ケンカを売った。よって、この舘は滅する。国王陛下も同意の事。領主の身内以外はすぐに敷地から出ろ。身内のものは結界のため、外にはでられない。個人のものだけ持ち、すぐに出ろ。屋敷の中の財は、コイン一枚でも持ち出せば、その身は焼かれる。俺はタケルだ。俺の魔法で命を落としたいなら、すぐにでも消してやる。ここにいるドラゴンは、俺の眷属。攻撃したものは殺す! 早くしろ! 五分だけ待ってやる!」
『ふふふ、タケル。楽しそうだの』
『楽しくないよ。思いだしたから、頭に血が上ってる。さて、次は何をすればいいかな』
『ならば、侯爵の私財を全てストレージに収納するのだ。魔法で一気にできるか?』
『うん、できると思う。やってみるよ』
ええと。
領主の舘の私財を全てストレージに回収する。現在、着服しようとしているやつのモノ、含めて回収だ。
<回収!>
わぁーーーー!
きゃあ~
あはは、盗もうとしてたやつがいたな。ざまあみろ。
門をみてみれば、使用人たちだけがすり抜けている。何人かは、ぶつかってひっくり返っている。使用人たちと一緒に抜けようとしたやつは、結界に拒否されて、まったく通れない。
ふふふ、ちゃんと機能してるじゃんよ。
『素晴らしい。あれほど、細かく判断できるものか。鑑定と同時に使っておるのか?』
『そう。その上に、世界眼も重ねてるから、細かく判断できるんだ』
『世界眼? 面白そうだ。また教えて欲しい』
『まあ、俺もよくわかってないんだけどね』
さて、そろそろ時間かな。
探索すれば、一応、全員が出たみたいだな。え? 違うな。冒険者か、これ。地下牢にいる。名前はバウ。なんで捕らわれてる?
ああ、そういうことか。
ここはダンジョンのない領地だから、森の魔物の話をしたのか。それで他の冒険者に話すといったのを捕らえたと。Sランクじゃないか、バウって。
カチャリと牢の鍵が開く。
すでに牢番は外にでてるから、誰もいない。
『バウ! 俺はタケル。少し待て、仲間を向かえに行かせる。いいな、待つんだぞ。聞きたいことがある』
コクコク頷いてるけど、少々不安そうだな。
『パトリオット、悪いが、ハクかアレックスに空間のドアを開けてもらってくれ。領主の舘の前に、バウという冒険者がいる。中に入れてくれるか。捕らわれてたんだ。話を聞きたい』
『承知しました。では、すぐに』
これでなんとかなるか。
あ、パトリオットだな。
「バウ。迎えだ。パトリオット頼むぞ」
「ハイ!」
そう聞こえれば、バウがゆっくり結界を通った。
そのまま駆け出すんだけど、あいてないぞ、空間。
「パトリオット! そこにいろ。そこを開ける」
結界を張って、オープン!
お、ちゃんと入って行ったな。
「じゃあ、クロノス。やるか。どうする? 匂いが出るから、俺が凍結する。そして隅に集めるよ。そのあと、舘をぶっ壊してくれ。馬はやるなよ」
『承知した。では、凍結を』
<凍結!>
バキバキベキパキ……
おっけ。
じゃあ、凍結した遺体は塀の隅へ。
おう、飛んでったな。
「いいぞ~」
『歯を食い縛っての』
おう~
ドドドン、バキバキガラガラララ、ドスンドスン、ボキバキザザザー……
あはは、砂の城みたいに簡単に壊れていくな。
「宰相。今、いいか」
『タケル殿! どちらですか』
「今、領主の舘が崩れ落ちたところ。もう瓦礫だぞ」
『その音がそうですか。黒竜殿がお怒りなのですね』
「まあ、そういうことだ。とりあえず、領主の身内は凍結して門の端に置いてある。凍ってるから、すぐには溶けないけど、命はない。使用人たちは外にだした。馬が残ったが、どうする?」
『ええと。騎士たちはいますか?』
「ああ。いるとおもうぞ。鎧着たやつが十人くらい呆気にとられてる」
『大変申し訳ございませんが、騎士たちに、それぞれが馬に乗り、王宮へ向かうように言ってください。馬車などは放っておくようにと。よろしいですか?』
「少し待て」
『クロノス、俺は外の騎士たちに話をするために外にでる。頼めるか?』
『承った。だが、そろそろ終わるぞ』
『うん。だから、馬を王都にって、宰相が。それを命令しに行くから』
承知、と聞こえて俺は空に浮かぶ。そして、騎士たちの前に立った。
ザザッと下がった騎士たちだが、手招きして集めた。
「宰相。今、騎士たちが前にいる。話してやって」
『ありがとうございます、タケル殿。騎士たちよ。私は、この国の宰相である。舘の馬を連れて王城へと参れ。剣は持っておくのだぞ。帰りには金を渡す故、領内の騎士であれば、しっかりと役目果たすのだ!』
「はっ! では、すぐに出発いたしますので」
騎士たちは慌てて馬を用意してるね。
「ここの騎士団長は?」
「はっ、騎士団長は領主さまの甥でしたので、屋敷に。私は副団長のエドと申します!」
「なるほど。そうだったんだね。じゃあ、エド。人数は足りる?」
「足りない場合は、二頭繋いで引いてゆきます。あくまでも、馬に乗れる人間だけなので」
「そう。何日かかるの?」
「おそらく、魔物が出なければ、二日半くらいでしょう。もし、魔物がいたら、一日以上伸びると思います」
なるほどな。
何人いるんだ? ええと馬が八頭、人が五人か。馬に乗れない歩兵もいるんだね。それなら大丈夫かな。
「じゃあ、冒険者で馬に乗れる人がいたら大丈夫か? 騎士団はこれだけ?」
「いえ。今日は非番であります! 領主様の身内が二人おりました」
騎士団長と会わせて二人か。
じゃあ、とりあえず、パトリオットに頼むか。
「パトリオット、ギルドに連絡して。王都までだと一人どれくらいかな、依頼料。Aランク以上で。人数は三人。宿泊と飯代はこっち持ち。どうかな」
『それは高待遇でしょう。一人金貨三枚もあれば、往復するでしょうが』
「無理を頼むからね。その代わり、騎士が王都に馬を運ぶ。その馬に乗ってもらいたい。だから、人数は三人だけ。それと帰りは依頼でも受けて戻ってよ。とりあえず、一人金貨三枚と銀貨五枚。で、宿泊とメシ付きね」
『すぐに聞いてみます。あ、そのうちの一人ですが、タケルさんが救出された冒険者が参加したいと。Bランク以上の討伐の話をしました。なので、それなら護衛もできると』
「体調は大丈夫なの?」
『大丈夫です。ただ、腹が減ってると』
「じゃあ、誰かのおやつかおにぎりでもだす様にセバスにいって。その間に、パトリオット、連絡してよ。すぐにね。騎士たちも待ってくれてるしさ」
『承知! ではすぐに』
『主、タケル! 我は終わったぞ。どうするのだ?』
「ええとね。こっちに出てくる。もっと小さくなってよ。ハクくらいの大きさで」
『承知した』
ふわりと空に上がったクロノスは、ゆっくりと降りて来る間に、大きさをハクくらいに調整した。
「お疲れさま。むちゃくちゃ楽しんでたね」
「うむ。久しぶりに暴れた。まあ、子供の遊びくらいのものだ。それで、どうするのだ?」
「今ね、ギルドと話してもらってる。馬を王都に届けてくれって宰相が。こんなことじゃなかったら、俺の空間に入れて運ぶんだけど。あの王宮に戻るのはね、嫌でしょ?」
「良いではないか。気にせずとも良い。タケルが悪い訳ではないのだ」
「まあ、そうだけどさ」
あ、みんな、出てきたね。
ハクの背にはアレックス。フィーリアの背にはニジがいる。
しっかり閉まった空間をみて、皆に顔を向ける。
「タケルさん。どうも、高ランク冒険者たちが護衛依頼で留守らしいです。申し訳ございません」
「それはいいよ、パトリオットのせいじゃない。じゃあ、クロノスのいうようにするかな」
どうするのかと問うので、クロノスが皆に丁寧に説明してくれるので任せておこう。
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【あとがき】
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