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第76話 守護者であるドラゴン、「クロノス」が眷属になった! 

「主。これはすばらしいね。初めてみたけど、これほどとは。元々優れているとは思ってたけど……」

「あるじぃ~、しゅごぉ~い!」

「主、さすがでございます」

「本当に。私は良い主に拾われました」


 あはは、眷属たちの反応にはどう対応すればよいのか。


『ふむ。これほどの人種(ひとしゅ)はみたことがない。タケルは選ばれたのだな、神に』

「神? いるのか、そんなもの」

『うむ。古代竜様は竜神となられた。故にお主に取っては唯一神といっても良いであろう。だが、お主に関わる神は様々のようである。対面したくてたまらぬ所を時期時が来るまで待っておるのだ』

「ふん。俺は古竜以外、神とか意識したことがない。前世では、居合道をやってたから、武神らしきものを崇めるように言われた。でも、全く心は動かなかった。それを崇める親や師範代らが、人としてまともだと思わなかったからな。普通、生まれてすぐ、子供を放り出すか? 俺は親とメシをくった覚えがない。金だけ渡して、五歳の頃から乳母もおらず、一人で暮らした。どう考えても、神の仕事じゃないだろ?」

『なるほどな。では、こちらの世界に来て、お主は楽しんでおるのか?』

「まあ、そうだな。人間がいかに欲にまみれているかは知った。だから、俺は俺が認めた仲間(家族)だけを信じるんだ。そんな感じだから、今は気が楽かな。大人からの重圧も気にせずいられる。当然、貴族とかはいろいろと言う。でも、嫌なら離れればいいし、頼みも聞かない」

『ふふふ。お主を制御できる貴族や国はないであろうな。まあ、それでよい。我らドラゴンも同じこと。だが、アレックスをみていれば、お主と共にいれば楽しそうである。いつか、何処かで我らが住まえる所を作ってくれれば良いが』

「あ、それ。俺も似たようなこと考えてた。でも、領地となると税が必要だし、国なんかには属したくないんだ」

『ならば、国を手に入れればよい。そろそろあちらこちらで争いがおきる。そこそこ大きな国が欲にかられて動き出す。結果としてお主にも関わりが発生する。そういうときに気に入った国であれば、手に入れれば良い。お主が国王など全てを制圧するのだ。それで手に入る。簡単であろう?』

「簡単って。まあ、別に国王をぶっ殺すのは簡単だけど。国自体の場所とか環境もあるだろうし、民がいるとややこしいだろ?」

『それは、有能なものに任せればよいのだ。お主の国は、森や平原が多い場所がよい。そこに我らの居場所を作ってくれれば、我はすぐにでも移動するぞ』

「あははは、まあ、それはいろいろ考えてるんだけど、まだ考えがまとまらないし、そんな条件の国があるかどうか、だろ?」

『理想の国はあるが、戦争の対象にはなっておらぬな。まあ、その機会はいずれくるであろう。知らぬ国もたくさんあろう。世界を巡るのだ、タケル。ならば、新たな発見もある故な』


 そうだ、世界を回ろう。

 そのつもりだったはずなのに、狭い中で動いているだけになっているな。皆がのびのびと暮らせる場所が欲しい。それならば、探そう、そういう国を。それでいいじゃないか。俺の目的が見えてきた気がするな。


「じゃあ、俺も目的が決まりそうだから、楽しむことにする。また来てもいいか?」

『うむ。ぜひ、遊びに来ればよい。そうであるな、我にも名を付けよ。お主の眷属となるのも良かろう』

「ええ? 俺の眷属って。でも、ここから移動できないだろ?」

『気にするな。しばらくはここにおる。先も言うたように、国が変わらぬなら、居場所を変えるもよし、である。気長に待つぞ』

「あはは、ありがと。身体の大きさも変えられるんだろ? 人型は?」

『大きさは自由自在であるな。人型は余り好きではない故、ほぼ取らぬ』

「そういうことか。アレックスは人型にはまだなれないけど、身体の大きさは自由自在だ。ホントの大きさは古竜ほどある。でも、それじゃあ、移動できないから仕方がない」

『うむ。修業中はそれでよいのだ。だが、これからが大変であるぞ。数百年過ぎれば、我と同じ。言わば我も特殊個体故、長命なのだ』

「そうなの? すごいね、特殊個体。世界にどれくらいドラゴンがいるのかわからないけど、そうそういないだろ、特殊個体は」

『ふむ。そうであるな。一割ほどか。我も二百年弱の若いドラゴン故、まだまだである。助けが必要なときは呼ぶが良いぞ。では、眷属の儀式をいたそうぞ、タケル。お主であれば、すぐに契約はなる。名を付けよ』

「じゃあ……クロノスだな。これは、『時』を神格化したものらしい、前世での知識だけど。それでいいか?」

『なるほど。クロノスか。では、『時』を司るものというわけであるな』

「うん、そういつもりでつけた。だって、ドラゴンの過ごす『時』は、俺にしてみれば『神』以外にないんだ。それくらい尊いものだよ、『時』は」

『うむ。唯一の名であるな。ではそれはよい良い』

「わかった。じゃあ、離れてるけど、頼りにしてるぞ、クロノス!」


 ギン! と光った黒竜。

 あれ? もしかして……


『うむ。清々しいの。主、タケルよ。我は眷属となったクロノスである。只今より、よろしく頼む』

「おお、すごいな。こちらこそ、クロノス。俺の事はタケルでいいぞ。お前は格が違う。それにずっと年上だ。お前には許すよ」

『それはありがたい。では、タケル、そして眷属たちよ。この世界を楽しむのだ。我も楽しみに待っておるぞ。思い立てば、後を追うやもしれぬ。その時は念話しよう。どこにいても、我とは繋がるのだからな』

「うん。じゃあ、そろそろ行くよ。国王に釘を刺してくるからな」


 ガアハガアハと笑うクロノスは、楽しそうだ。 

 最後に、ニジを呼んだ。手のひらにのせたニジを優しく指で撫でた後、ニジがふわりと光った。


『ニジ。これでお主も成長が早くなる故、主の助けになるが良い。年齢は赤子ではあるが、勉強熱心であるようだ。雷魔法は素晴らしかったぞ。精進いたせ』

「ありあと、くろのしゅ。ニジ、がんばりゅよ~」


 ふむふむと嬉しそうなデカい黒竜。レアな映像だ。

 他の眷属たちには『より一層励め』と言った。それぞれ、役目があるのだから、と嬉しそうだな。

 皆もそれを聞いて、役目を果たす、と息巻いてたぞ。笑うな。


 じゃあ、と外に出てその場で空間に入ることにした。

 中がみたいというので、クロノスも身体を縮めてのぞき込んだ。

 良さそうだ、と笑う。いつか、そこにも行きたいって言ってくれた。それは俺も嬉しかった。



 クロノスの住処を離れ、パトリオットに連絡する。


「待たせたか、パトリオット」

『いえ。そろそろおいでになりますか?』

「そうだな。皆にはメシを食わせるけど、俺だけ向かう。どこにいる?」

『大門の前におります』


 じゃあ、と通信を終えた。


「お前たち、先にメシを食えよ。セバス、頼めるか?」

『ショウチシマシタ、ゴシュジンサマ』

「じゃあ、行ってくる」


 気をつけて、と眷属たちが送り出してくれる。その頃になって、ナナのテントの中でガタゴト音がしたが、無視した。


 さて、行くか。

 王城の大門近くに行こう。


 透明な不可視結界を張って空間から出た。フィーリアとニジが見送ってくれたよ。

 すぐに閉まった引き戸を確認して、不可視結界を解除する。


「待たせた。じゃあ、行こうか」

 

 はい、と聞こえて大門をくぐる。今日は武器はつけてないので問題ない。


 

 長々と歩き、やっと到着した控え室。これはどうにかならんのか!

 変わらぬ絨毯の上を歩き、国王の前に跪く。これも嫌いなんだよな、俺。


「皆、面を上げよ。此度はご苦労であったの、タケル。して、既に討伐は終わったと聞いたが、確かか?」

「終わった。昨日伝えたとおりだ。魔法使いの探索は終わった?」

「それが、まだなのだ。あまりに広い故、なかなか進んでおらぬ」

「はぁ、じゃ、どうなるんだ? 狩った魔物を見せるか? 六万頭近いけど」

「何! それほどおったか。ならばどうするか」


 あ~あ、国王が考え始めたぞ。

 貴族たちはコソコソ話してるけど。


「陛下、発言をお許しください」


 うむ、といった国王だけど、どういうこと?


「タケル殿。すでに討伐は終わったと聞いたが、魔物はどうしたのだ?」

「ストレージにいれてある。みるなら出すぞ。明細はみられる。日付も場所も時間も記録されてるから、確認するか? ストレージの明細まで見せろといった国はなかったけどな」


 嫌みを言ってみたが、「うむ。では、見せてもらおう」と言ったぞ。それなら見せてやろうか。


「明細だけで納得するのか? 俺のストレージの中にあるということは、俺個人のスキルを見せるということ。それで納得するんだな?」

「う、うむ。見せてもらおうか」

「わかった。宰相、それで確認は終わりでいいんだな?」

「し、しばらくお待ちください。陛下がご決断を」

「よいではありませぬか、宰相殿。私が確認いたしましょうぞ」


 はいはい、じゃあ、こっちに来て。

 貴族がこちらにやってくる。こいつは? と宰相をみれば、侯爵らしい。


「一人でいいのか? 右と左ならもう一人みられるぞ?」

「……では、私が」

 

 宰相は、伯爵だという。

 なるほどね。


「じゃあ、ここに出るから」


 その場で、ストレージの明細を可視化してやった。当然、昨日の討伐分だけだが。


 日付、時間、場所などが書いてある。そして総数五万九千九百九十八頭だって。おっそろしいね。


 明細をクルクルとスクロールする。途中で止めて確認させた。目が回りそうだとほざくのは侯爵だな。伯爵は真剣にみてた。

 十分以上かけて、スクロールを終えて、ストレージを閉じた。


「これはすごいことです。魔法ですか? どのような魔法を?」

「これほどいれば、魔法一択だろうよ。上級の雷魔法、凍結魔法、氷の弾丸、とかだな。西の辺境は、上級雷魔法が大活躍した。東の辺境は俺が担当したが、全て凍結だ。俺の凍結魔法は、必要エリアに魔力を広げて一気に凍結する。エリアから逃れたやつは、それぞれをポイントして同時に凍結する。そのあと、街道沿いを凍結して進んでいたが、盗賊に襲われた奴隷商人を助けて、盗賊は全滅させてアジトも始末した」


「す、すばらしいです! 魔力は大丈夫なのですか?」

「俺の魔力は無限だ。枯渇することはない。だから問題ない。ああ、そうだ。この国にいたSランクを一頭仕留めた。魔猿まえんというやつだ。他にもいたが、一頭は西の方にいる天牛。こいつは危害を加えない限り問題ない。危害を加えれば、大地を引き裂くほどの雷を使うらしいから触らない方がいい」

 

 おおお、と声が聞こえたぞ。さて、この後の話を聞いてどう反応するかな……



********************

【あとがき】

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

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