表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

67/103

第67話 ハクとアレックスにちょっと説教してみた

「お疲れさまです、タケルさん」

「悪いな、面倒を頼んで。こいつを戦える程度に仕込んでほしい」

「なるほど。もしかして、同郷ですか?」

「ああ。珍しい黒髪だからな、すぐわかった。探索してたハクから連絡があったんだ、盗賊に襲われてる馬車がいるって。で、ハクと一緒にむかったら、こいつらが乗せられてた奴隷商の馬車だった。護衛たちも満身創痍でな。だから、ハクと俺とニジでちゃちゃっと片付けた」

「ちゃちゃっとって。それで、奴隷ですか?」

「ああ。礼をすると言うから、こいつにすると言えば喜んでその場で手続きしてくれた。レベルの低い鑑定しか使えないから、知らなかったんだろ、こいつのこと。斥候のスキルを持ってる。もともと、棒術みたいなのはやってた。だから、俺たちが討伐している間、仕込んでやってほしい」

「それはいいですが、奴隷に刃物を持たせるのですか?」

「ああ。俺には絶対逆らえないからな。うちの家族をみて、そんな気持ちは失せただろうよ」

「まあ、そうでしょうね。私でも、タケルさんに刃向かおうとは思いませんから」

 

 なんだよそれ、と訓練場を借りることにした。

 その前に、登録をと言われてカウンターにいく。

 どうやら本来はGランクかららしいが、Fランクになるらしい。

 水晶に手のひらを置いて、そのままできあがるのを待つ。名前だけ書けと言えば、ナナとかいた。この名前で通すつもりだろう。年齢十四歳。見た目はガキだが、この世界では成人だな。


 カードをもらって眺めているが、とりあえず、俺が預かることにした。落としたら大変だしな。


 訓練場で、パトリオットが少し打ち合いをしている。とりあえず、棒で。

 だが、思ったより行けるぞ、これ。

 パトリオットも驚いてるな。まあ、これなら大丈夫か。わりと体力はあったし、多少魔法も使えるから、身体強化もかけられるだろう。あとは斥候としての感覚と速さだな。気配察知がそこそこ使えるようだから、といっても、レベル4だが。まあ、なんとかなるか。

 

「ナナ、槍を使え。で、右手はこいつだ」

 

 短剣を放ってやれば、綺麗に受け取った。パトリオットがその短剣を確認している。

 さすがですね、と聞こえた気がしたが、それはいいか。

 右腰につけて、抜くときはこうやって……

 逆手に持って抜くんだと教えてくれている。

 それなら、頼んでおいてもいいか。


 

「じゃあ、パトリオット。頼むな」

「はい。あ、そうだ。ギルマスが魔物のことを聞きたいそうですが」

「なんでギルマスと話す必要がある? 聞いて何かができるわけじゃないだろうよ。それは時間の無駄というものだ。悪いが、終わり次第連絡してくれ。向かえに来る」

「やっぱりですね。承知しました。後ほど」

 

 ああ、と手を上げてその場で空間に入った。誰も他にいなかったから。


 

「ただいま~」

「おかいり~、あるじぃ~」


 おう、ニジ。ただいま~

 辺りを見回してみるが、二人はいない。どこだ? とテントの中を見てみれば、寝てた。

 じゃあ、ニジとおやつでも食おうか。


「ニジ、魔導書はどうだ?」

「う~ん、しゅごいよ~もう、こり、よんだ。いまね、ここらよ、らからもうしゅぐ、ふたちゅめ、おわりゅ~」

「おお、すごいな。で、初級は身についたのか?」

「あい!」


 目の前で小さな落雷が起きた。かなり威力を落としているようだが。


「すごいな、ニジ。これで雷魔法が使えるな」

「あい~、とばちゅ(討伐)、まれにじぇんぶよむの(までに全部読むの)。まもの、ばりばり、やちゅけりゅお~」

「おう、そうだな。じゃあ、頑張ってもらわないとな。じゃあ、討伐のときは椅子をつけるか。そこなら、ハクの頭は邪魔にならないだろ? まあ、かなり動くと思うが、後ろ向きで攻撃すれば左右と後ろを攻撃できるぞ」

「あい~、しょしゅる~」

「じゃあ、お弁当やおやつを作らないとな。明日は料理の日だ。ニジは魔導書読んでいいからな。一日かけていろいろ作るから」

「うれち~」


 フルフルと身体を震わせるニジと一緒にケーキを食べて、俺は明日の料理のメモ、ニジは魔導書に戻った。

 明日の弁当のことを考える。

 皆で一緒に食べるとは限らないが、どこかで一緒に空間に入ってもいいかな。それなら、ここで作り置きを食べられる。その方がいいか。

 飲み物も不足なく食えるから。じゃあ、おやつ程度のものといえば、肉串があるのと、揚げ物、つくねもどき。あとはサンドイッチかな。


 こういう大規模討伐は、魔法一択になる。その時に様子も見られるし、それがいいか。ニジがどれくらい魔力を使うか、それが問題だな。



 夜までメニューを考えたり食事の準備をしたり。

 ニジのとなりで時間を過ごした。

 ニジは気のすむまで本読み、中級まで身につけた。これはホントにすごい。かなりの勉強家だな。感心、感心。

 

 俺はメニューを考えて、いくつか下準備を終え、今は煮込み料理作成中。新作として、クリームパスタを作った。もちろん、パスタはペンネで。俺は長い麺の方がいいけど、みんなは食べやすいだろうからね。


 もうそろそろ、訓練が終わって、ナナが戻る頃だろう。日本食でも、洋食でも。どちらでも食えるようになってるので問題ない。

 

『タケルさん、ナナさんの訓練は終わりました。どうしますか?』

「ありがとう。じゃあ、そこに空間開いていいか?」

『ええと、今は他にもいますので、馬場に移動します』

「了解。お前もメシ食って帰るか?」

『いいのですか?』

「ああ、礼だ。食ってってくれ」

『ありがとうございます! お言葉に甘えます』


 おう、と答えて、風呂を入れてやろう。

 

 ナナの入る風呂に湯を入れておく。

 そろそろハクたちも起こさないとな。


「おーい、そろそろ起きろよ。ナナも訓練から戻ってくるぞ。風呂に入れ~パトリオットも来るから一緒に入れ」

「うぇ~い」


 ホントにダレてるな。

「そんなに怠いなら、明後日からの討伐、俺とニジで行ってくるぞ。ニジは雷魔道書の中級まで身につけたからな。なら、メシも適当でいいな! そのまま寝てていいぞ」


 踵を返して歩き出せば、テントの中はドタンバタバタと音がしている。


 さて。空間を開くか。

 ギルドの馬場に空間を開く。


 オープン!

 

 ゆっくり開く向こうには、パトリオットとナナが立っている。

 辺りには何もいないようだ。

 二人を浄化して、招きいれた。すぐに引き戸は閉じてしまう。その前に見えなくなってるみたいだね。すごい、空間も成長してるよ。


「お疲れ、ナナ。パトリオット、世話になった。悪いが、明日も頼むな」

「ただいま戻りました、ご主人様」

「お疲れ様です。当然、明日も引き受けますよ。スジがよいので楽しいです。久しぶりに身体を動かしました」

「あはは、それはよかった。ナナ、これ、今日の買い物だ。お前は昨日の風呂に入れ。パトリオット、風呂に入れよ。着替えはなんでもよけりゃ、貴族の平服ならあるぞ」

「うわぁ、ありがたいです!」

 

 パトリオットを引っぱってゆく。ナナには、ひとり用のテントを出したので、指させば小走りで行った。

 ハクとアレックスがテントから出て来た。

 

「主、ごめんなさい。安心しきって自堕落な生活を。許してほしい」

「俺も、です。申し訳ございません。恥ずかしいです」

「なるほどな。だが、忘れるな。俺が死ねばこの空間はなくなる。その前に俺が追い出しても、お前らなら生きてゆけるだろう。他の魔物みたいに、山で寝るか? 仕事のときだけ呼べばいいか?」」

「いや! できれば、主と一緒にここにいたい。おねがい、主!」

「お願いします、主。俺は父に対して恥ずかしい。心を入れ替えます、なんとか、置いてください!」

「ふん! 俺は甘いんだろうな。眷属であるお前たちだが、同じ眷属のニジは己を見つめて学ぶ。お前たち二人は、その間に昼寝だ。命をかけて共に進むと思っていたから食い物も何でも、できることはやってきた。それが間違いじゃなかったと思えるようにしろよ。俺は慈善奉仕家じゃない。家族に捨てられたようなガキだった。親のありがたみも温もりも知らない。メシさえ、親の作ったものを食ったことがない。一緒に食ったこともない。ただ、毎日学び刀を振るだけ。そんな俺には家族ができたと思ってた。間違いだったと後悔させるな」


 はい、と二人は頭を下げた。

 アレックスはドラゴンの人間くらいの大きさで。迫力ありすぎるけど。


「じゃあ、パトリオットと風呂に入れ。そしたらメシだ。いいな」


 それなら、パトリオットに着替えを出してやる。下着も適当に。タオルはあの棚にあるから、と一瞬でお湯を張った。


「ご主人様。お風呂いただきます」

「おう、ゆっくり疲れをおとしてこい。そうだ、ナナ。日本食がいいか、洋食がいいか?」

「わ、私は。日本食が、というかご飯がいいです」


 わかった、と無言で見送った。


 「あるじぃ~」とニジが心配そうだ。

 

「大丈夫だよ、ニジ。みんな心を入れ替えるって言ってた。多分、かわるだろう。まあ、人間も同じだ。甘えるんだよ。でもさ、俺も甘えたいときくらいある。物心ついたときから、甘えたことなんてなかったし。でもな、ニジがいてくれる。それはとても嬉しいよ。お前は、きちんといろいろ考えてるしな。それに、くっついていられるから温もりもある。これからも俺と遊んでほしい」

「うん、ニジ、あるじぃ、だいしゅち~こりかあもいっちょ」

 

 そうだな、とニジをなで回す。

 そうだ、今出してみるか。


 木箱を取り出して蓋を開ける。

 その中から、小さめの箱を取りだし開いた。布に包まれた固まりを地面に置き、魔力を流せば、むくむくと起き上がったのは、侍従ゴーレムだ。


「こり、なに~」

「お手伝いゴーレムだ。今日の道具屋でかった」

「ふうん、かわい、ね~」


 そうか、かわいいか。

 じゃあ、設定はどうやってするんだろうな。あちらこちらを確認したが、わからない。


「お前、持ち主の設定はどうやってやるんだ?」

『マリョク、トーシナガラ、セッテイ、クダサイ』

「なるほど、魔力を通しながら設定か。じゃあ、やってみるかな」



********************

【あとがき】

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

面白いと思ったら、★評価やフォローで応援お願いします。 皆さんの評価とフォローが、タケルの魔力になります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ