第66話 ナナの飯と防具などをみつくろった
「悪いが箸はつくってないんだ。フォークだが食え。食い物は遠慮するな。うちはしっかり食ってしっかり働く。あいつらも俺の眷属だが、欲しいものはほしいと言うぞ。いいな、しっかり食えよ。戦いの練習が始まる。食ってないとやってられんぞ」
「はい! いただきます、ご主人様!」
嬉しそうに食い始めたナナをみて、安堵した。
ナナは俺より二歳年下の十四歳だ。だが、もともと背が低いのか、身体も細い。動きはシャープに見えるが。訓練をしてみないとな。
「パトリオット、悪いが、今どこだ?」
『宿ですが、どうされましたか?』
「明日、忙しいか?」
『いえ。明後日からの討伐ですよね。私の時間は大丈夫ですが』
「それなら訓練を頼みたい。レベル1の素人だが、杖道という武道はやってた。あと、斥候のスキルがある。お前に頼みたいんだが」
『承知しました。今日の午後からのご予定は?』
「今、昼飯食ってるんだが、その後は、そいつを風呂に入れる。それから服を買いにいくかな。その後ならいいぞ」
『では、適当な時間にギルドでお会いしましょう。そして本人の動きだけでも見れるでしょうから』
「わかった。じゃあ、とりあえず用事を終わらせたらギルドにいく。あ、そうだ。奴隷は冒険者登録できないのか?」
『基本的には問題はありませんが、Fランクからになりますよ』
「それは問題ない。だから頼む」
受け入れてくれてよかった。
明日は訓練の様子を見てみたい。とりあえず、俺もメシを食おう。
何を食うかとストレージを探す。そう、ナナにトンカツを出したから、俺のはなくなったから。それなら、とスーパーの惣菜でいいか。
牡蠣フライ再びだ。
それとイカリング、あとは、卵焼きだな。
海苔も取り出して、中ボウルに白米を山盛りにした。ハグハグ食う俺は、眷属たちにも気づかれずに食ってる。あはは、みんな必死だからね。
イカリング、旨いな。久しぶりだぞ。
味付け海苔は、いつでも大歓迎だ。卵焼きは甘めのものだった。あっという間に中ボウルを食い尽くした俺は、お代わりをして、鮭茶漬けを取り出す。熱々ご飯にお茶漬けを入れ、水をかけて魔法で熱する。これ、いいなぁ。
ズルズルと音を立てながらスプーンですする。
顔を上げたのは、ナナだけだ。
それも無視して俺は食いまくった。
そのあとは、デザートを用意して、皆を待つ。
やっとメシが終わったようなので、ナナに風呂に入れと命令した。
タオルとボディーソープ、シャンプーなどを渡して、俺たちのテントの奥にある風呂に連れて行く。そこは土壁があるので、外からは見えない。水とお湯を出す方法を教えて、湯を張る。
綺麗に洗えよ、と伝えて元の場所に戻った。
メシが終わった皆はデザートに移行してた。保存容器の中は空っぽだ。うん、よく食べました。
それらを浄化して、ストレージに入れる。
そして、今日買った雷魔法の初級から中級、上級を出してやる。ニジが読むだろうし。
そうだ、これコピーできないか?
<コピー>
鑑定して見れば、雷魔法初級(写し)と出てる。これでも魔法は習得できるらしい。
じゃあ、全てをコピーしておこう。奥伝も当然コピーしたぞ。
じゃあ、と本物をニジの前に置いてやる。
あとは、いろいろあるけど、ゴーレムを起動したいな。
普通、ゴーレムは、魔核を使ってその魔力で動くらしいが、これは違う。魔力は充填するタイプだ。おそらくそれをためておく場所、魔核のようなものがあるのだろう。
だが、ゆっくりと検証したいので、夜だな。
ふぅ、と息を吐き皆をみていれば、美味しそうに食べてるな。
食べながら報告してくれるんだが。
東の辺境あたりが一番多かったらしい。つぎは西の辺境。そして街道近くの森だそうだ。
それなら、どちらかでやれるかと言う話になる。
西はハクとニジとアレックスなら大丈夫らしい。じゃあ、東は俺がやる。あと、倒した魔物は、アレックスのストレージに預かってほしいと伝えて、設定の仕方を教えた。
その通りにやって、なんとか設定できた。これで本人の分はもちろん、ハクとニジが倒した魔物もアレックスのストレージに自動的に収納されることになる。容量は無制限で時間が止まるからこそ、できることだ。
昼は時間があれば弁当を作るけど、そうでないときには、できあいの弁当にしてもらう。もちろん、ゴミは全てニジに頼んだ。
「じゃあ、俺はナナの服を買ってからギルドにいく。こいつの訓練をパトリオットに頼んだから。お前たちはどうする?」
「ニジ、まほの、ほんよむぅ~」
「私は少し休むか」
「おれも、やしゅむ~」
「わかった。なにかあったら念話な」
さて。
どこに出るかだけど、やっぱりギルドの裏か。
馬もいないし、厩舎で大丈夫か。
空間から出てナナを連れて歩く。
どこかにいい店はないかな。まあ、冒険者の服でいいか。あとは、防具がいるな。俺の持ってるのは全て男性用。それに、こいつは身体が小さい。なら、買うしかないだろう。
それならギルドの近くにあるか。
ええと、あっちは武器屋か。ドワーフの店だな。ちょっと覗いてみるか。
「邪魔するぞ」
「らっしゃい!」
おお、やっぱりドワーフだ。
「こいつの防具が欲しいんだが、服が先だな。どこに行けばある?」
「うちにもあるぞ。小さいな、それならうちみたいな店の方がいい。うちで作ってるから、すぐに調整できるぞ」
「そうか。じゃあ、こいつのを見繕ってくれ。動きやすい方がいいが、ナナ、どんなのがいい? 以前杖道の練習の時はどんな服着てた」
「短パンとTシャツでした。寒い時には上着とブーツです」
「じゃあ、短パンがいいな。あとは、上には柔らかめの生地でぴったりしたものがいい。その上に革鎧か。肩当てと胸当てくらいで、あとは剣を入れるベルトだな」
「ヨッシャ! 剣は何を?」
「斥候だから、短剣かショートソードかと思ってる。だが、本人は棒術みたいなのを身につけてるから、短めの槍でもいいかと思ってるんだが」
「なるほどな。槍はどうする?」
「これは、どうだろうか」
古道具屋で買った槍を取り出すと、ひと目見てオヤジが跳び上がった。
「これ、お前。ミスリルに見えるが中身はオリハルコンだぞ。これはすごいな。どこで買った!」
「内緒だ。だが、初心者には使いにくいな。それなら、短い槍も見せてくれ。短剣とかショートソードなら何本か持ってる」
わかった、とまずは服を決める。
短パンにもいろいろあるけど、ナナに好きに選べと命令して、数枚確保した。さすがにTシャツはないので、似たような感じの木綿の服。それも裾をウエストで縛るやつだが、それが逆に邪魔になる。それなら伸び縮みするゴムみたいなのが入ってるんだろう、それを選んだ。とりあえず、短槍と短剣が装備できるベルド。まあ、槍は背負うんだけど。それなら、短剣を二本かショートソードと短剣をつけられる方がいいだろうと思ったが……
古道具屋で買った小さな腰鞄をつけさせようと考えた。なら、それでいいか。
ショートパンツをはき、脚首まであるショートブーツを履いたナナ。だが、ここには下着はないか?
「あるぞ。動きやすくて、こういう短いのでも見えないやつが。それも買うか?」
「ああ。とりあえず、女の子だしな。下着は上下あるなら十セットにしてくれ」
「わかった。じゃあ、服は五セットでいいか? 靴は種類の違うのを五セットにした」
「それでいい。あと、寝間着代わりになるような服はあるか。部屋着だな」
「こんなのならあるぞ」
これすっぽりかぶるやつだな。
それでいいから、と一緒に入れてもらう。
最後に革鎧を見繕ってくれる。肩当てはミスリル。胸当てはワイバーンの革に薄いクッションを入れて内張はオークらしい。背当てもセットになってた。
杖を持たせて振ってみろと言えば、少し違和感はあるけど、使いやすいそうだ。今の所、鉄と魔鉄の合金だ。これなら魔力も通る。
きちんと調整できた革鎧も心地良さそうだ。
「悪いな、これ、金だ」
「おう、毎度あり! お前、この街の人間じゃないだろ?」
「ああ、ちがう。魔物討伐で雇われた。一週間ほどはうるさくなるが、許してくれ」
「そりゃ、ありがたい話だ。嬢ちゃんの調整もいつでもきな。ところで、お前の武器は?」
「なんだ、みたいのか?」
「そりゃそうだろうよ。奴隷にこれほどの装備をさせるんだぜ。それにさっきのオリハルコンの槍。そうしたら気になるだろうよ、鍛冶師としては」
「まあ、気持ちはわかる。お前ならいいだろう、オリハルコンも一目でみぬいたしな」
蒼竜刀をストレージから出して見せた。
「こ、これは……ぬいてもいいか?」
「ああ、短時間ならな」
すらりと引き抜かれた刀をじっと見ていたオヤジは、案外早く返してきた。
「どうした、もういいのか?」
「ああ、お手上げだ。これは人間の打てる刃物じゃねえ」
「ふふふ、すごいな、オヤジ。腕は確かだな。その通りだ、これは古竜からもらったものだ。古竜自ら作った刀だから、素材も不明だし、俺にもよくわからん。ただ、所有者が俺になってるのは確かだな。託されたんだがな、俺は」
「おっそろしいなお前。ランクは?」
「冒険者ランクか? はぁ、何だかしらないけど、SSSランクになるらしいぞ」
はあ!?
あはは、オヤジが固まったぞ。
そりゃ驚くよな。だが、俺にとっては利用するだけのものだが。
「まあ、そういうことだ。ちょっとギルドに顔出してくる。助かったよ、オヤジ」
「お、おう……」
無言のオヤジを残してその場を後にする。
荷物は俺のストレージに入れた。
がらんとしたギルドに入って行けば、パトリオットが待っていた。
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【あとがき】
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