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第65話 同郷の奴隷をもらったんだが……

 魔法で奴隷紋が変わった。

 鑑定でも、俺の奴隷として登録されたのだ。

 奴隷商は、綺麗な服を着せて売ろうと思っていたのだろう、用意してあったものを取り出した。馬車の中で着替えさせてくれるというので、仕方なく待つしかない。


『主。あの奴隷も稀人なの?』

『そうだ。あのバカ王国が俺より一年前に召喚したんだが、完全な巻き込まれだな。だが、ステータスがいくつも隠されていたから勇者の仲間にはならなかった。それで奴隷ということになったんだろう。俺も下手をしたら奴隷になってたかも知れないな』

『それは酷い話だね。聞けば、二十年ほどは開放できないらしいけど、どうするの、主は』

『呪いみたいなものらしいから、正式に仲間になったら、解呪してみようと思ってる』

『ふん。ひとりで生きることができなければ、主は放り出せないでしょうね。いいんじゃないの。私たちの世話もしてもらおうかな』

『そうだな。まあとりあえず戻ってからになる。ハクはもういいぞ、行ってくれても』

『だが、主はアジトに行くんでしょ?』

『うん。だけど、あいつは小柄だし、抱いて飛べると思う。アレックスは?』

『あいつが私の分も森を探索してくれてるんだ。そろそろ終わるだろうけど、連絡を待つだけけだね』

『うそ、そんなに早いのか。さすがお前たちだな。じゃあ、一緒に行ってくれるか?』

『当然だよ。椅子はどうする?』

『つけなくていいだろう、お前の背に乗ってゆくよ』

『わかった。では、私は待つだけ、だね』



 途中で冒険者に盗賊たちの持ち物を集めて分ければいいと伝えてあるので、皆、一所懸命だな。わらっちゃうよ。でも、やつらにして見ればお宝だろうしな。


「お待たせしました。着替えが終わりましたので」


 降りて来た少女は、短いスカートにニーハイソックス。ショートブーツを履いていた。短い髪の毛は綺麗に梳かれて髪留めが片側についていた。


「上等だ。それじゃ、俺たちは行く。気をつけて行けよ。俺たちとは反対の方角だからな」

「ありがとうございます。護衛の方々が頑張ってくれるので、大丈夫でしょう」


 あの方が今からご主人様だ。きちんと挨拶しなさい、と言われて、少女は俺に向き直る。


「ご主人様。ナナと申します。一所懸命お仕えいたしますので、よろしくお願いします」

「タケルだ。今日からは忙しくなる。覚悟しろ」


 はい、と小さく聞こえたのでナナを連れて飛翔魔法でハクに乗る。ニジは、するりと胸の鞄に入った。


 じゃあ、と手を振って空に上がる。当然、自分とナナには結界を張った。


「怖ければ眼を閉じてろ」


 はい、と小さく聞こえた。

 

 世界眼の情報で、ハクを誘導する。

 すぐに見えてきたのは古い家だった。そこには数人がいるようだ。

 さて、どうするか。

 

『主。数人いるよね』

『そうみたいだ。どうやるかと思ったけど、とりあえず凍らせる。それで終わりだろ』

『そうだね。お宝は家の裏にある洞窟の中だね』

『ああ、だからとりあえず始末する』


 了解、と聞こえたので、魔法を発動する。


<凍結>


 バキバキペキリペキリ……


 終わったな。


 ハクはアジトの入り口に静かに降り立った。

 もう一度、洞窟の中を探索するが、誰もいない。


「降りるぞ」


 結界ごと飛翔して地面に降りた。

 そして、結界を解除し、ナナにだけかけておく。まだ、自覚がなさそうだから。


 ニジは、ぴょんと飛び降りて先へと進んでいる。


「主。アレックスの仕事が終わったらしい。ここに来るように言ったけどよかった?」

「ああ、それでいい。さて。お宝探しだな」


 ニジがこっちだよ、と手招きするのでそちらに向かう。小さな扉があったので、開いてみると金だな。


「ナナ。その隅で立ってろ」

「はい、ご主人様」


 無言のまま待っている。うん、問題ないな。


「あるじぃ~ちゃくしゃん、ありよ~」

「そうだな。本当に面倒だ。だが、せっかくだから入れようか」

 

 全て金だったので、まとめてストレージに入れる。

 次はこっち、とニジの後に続いた。

 そこには、剣とか防具、冒険者のためのものがいろいろある。じゃあ、新品だけにするか。


<ランクA新品だけ回収>


 シュルルッと入っちゃったよ。


 ドシンドシンと入り口から聞こえるが、どうやらアレックスが戻ったらしい。


「主。ただいま戻りました」

「ああ、ご苦労さん。悪かったな、途中から一人で」

「いえ、問題ありません。残りは街道近くだけでしたので。それで、ハクから聞きました、奴隷ですか?」

「そうだ。それは戻ってからな。俺もハッキリとわかってない」


 なるほど、とハクの所へ向かった。

 ニジも待っているので、そっちへ向かう。そこには様々な鉱石、そしてインゴットがあった。

 それらは、全て回収した。

 その後は、貴族の服や絨毯ラグマットなどがたくさんある。貴族の服は、平服だけにした。そして女性用の服をみたが、大人用ばかりだった。ラグマットなども含めて、とりあえず、Aランクだけを回収する。

 

 最後は、マジックアイテムだ。

 指輪とかブレスレットなどの時間停止のもの。比較的容量の大きなものや無制限ものなどを回収。あとは、空間拡張鞄があった。ビジネスマンが使うようなものだ。これはパトリオットにあげようか、新品だし。

 他にも面白い魔道具があったので、空間で使えるかと回収することにした。

 最後に、大物だ。

 いつもと同じように水道とお湯のマジックアイテム。トイレ、排水管理のマジックアイテム。あとは冷蔵庫、冷凍庫、キッチンが様々。

 もういい加減にしろと言いたくなる。

 他にも空間拡張したマジックバッグがあった。どうやら、そこそこ容量が多いらしい。

 それらは全て回収した。


 なんとか終わったか、と再度探索したが、もう何もない。じゃあ、とこの場で空間に入ることにした。

 そろそろ昼飯だし、その方がいいだろう。


 空間を開いてハクから順番に浄化して、最後にナナも浄化して中に押し込んだ。

 そして、空間を閉める。


「はあ、戻ったな」

「無事でよかったね。それで、主。私たちはメシを食ってもいいの?」

「ああ、いいぞ。先に食ってくれ。俺はナナと話がある。そうだ、ニジ。これはお前の分だ。パンか、ご飯か、どっちにする?」

「ごは~ん」


 わかった、とボウルを取り出して白米を盛る。そしてトンカツソースも取り出して置いた。

 ハクも嬉しそうに食事を始めた。アレックスは、小さくなってニジと並んでたべ始めたぞ。


 それぞれが飲み物も出して、飲んでる。じゃあ、と大きな保存容器の飲み物はストレージに戻したアレックス。ニジを連れて冷蔵庫へと飛んだ。

 そしてニジが差し出す飲み物を次々ストレージに入れている。

 そうか、そうやってやるんだな。

 最後にちゃんと扉を閉めてた。すごいな~



 さて。俺は俺のやることをする。


「ナナ、ここへ座れ」

 

 野営のときに使うテーブルと椅子を取り出す。

 

「お前、日本人だろ。俺もそうだ。巻き込まれ召喚だってな。俺と同じだが、お前のステータスは隠蔽だらけだ。知ってるか?」

「全く知りません。ただ、職業のところに、皆さんは剣士とか騎士とか出ていたんですが、私は杖道ってでてました。なぜ? と思ったのですが。聖女と呼ばれた人が。これはおそらく杖の道だろうと言いました。でも、解釈が違った。杖ということは、生産職ではないですか? と。それを聞いたとき、何も言えませんでした。その瞬間に私の奴隷落ちが決まったのです。だからステータスなどみたことはありません」

「なるほどな。まあ、辛かっただろうけど、それはよかったと思うぞ。杖道をやってたとか、お前の能力に斥候というスキルがあるのがわかっていたら、そのまま勇者パーティに取り込まれてた」

「ですが、その時には勇者はいなかったのです。私のようないらない存在がいたからだと攻められました。なので、即奴隷落ちになりました」


 かなり酷いな。あんまりだろうよ。


「俺も似たようなものだ。俺もたくさんの隠蔽があった。それはあとで気づいたんだが。俺の職業は大和流大家元流だった。それをみた女が、確か華道の家元にそんなところがあったと言った。それで、俺は城から放り出されることになったんだが、あまりに酷い話なので、勝手に呼び出していらないから出ていけなど、王国にしては余りに酷い。大金を出すというから、その上に宝物庫から三点だけくれと言ったら了承したぞ。口止め料もあったんだろうけど」

「え? 大和流大家元流といえば、居合道の大家ですよね。ご主人様はそこの?」

「跡取りだった。だからお花の家元と勘違いされたのはラッキーだった」

「なるほど。行き当たりばったりなのですね。ですが、私は二十年、奴隷です。それでも良かったのでしょうか」

「ああ、いいぞ。お前の能力で尽くしてくれたらいい。さっきもいったけど、レベルは低いが斥候としてのスキルがある。おそらく斥候をしらなかったんだろうな、聖女様は。だから、お前は明日から訓練だ。いいな」

「は、はい。杖道は使えますか?」

「どうだろうな。まずは、知り合いに見てもらおう。使う武器は杖であろうが短剣、ミドルソードであろうが、俺が持ってる。普通、奴隷に刃物は持たせないんだが、どうする? 依頼のとき以外、俺が預かってもいい。俺の命令以外、人を傷つけることはできなくなるが」

「もちろんです! ご主人様の言う通りに致します。助けていただいたこの命は、ご主人様に捧げます!」

「あはは、こそばゆいけど、そういうことになる。まあ、とりあえず、メシを食え。トンカツがあるぞ。白米も食べるか? 味噌汁は?」

「え、あの。よろしいのですか?」

「当然だ。主は奴隷を食わせる義務がある。だから食え。ちょっと待てな」


 中ボウルを取り出して白米を盛る。ついでにほしいと言うので、ニジにも入れてやった。

 野営用のテーブルに白米を置き、サラダを盛ったトンカツを出してやる。そしてキッチンに向かい、味噌汁を入れてやった。



*******************

【あとがき】

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

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