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第64話 ドマーニの作った侍従魔道具を破格で手に入れた

 少し待て、と言われて待ちますけどね。


「金貨十五枚だ。いいか?」

「はい。他に何か面白いものありますか?」

「そうだなぁ。面白いというか、変なものは買い取ったな」


 変なもの?


 聞くところによると、貴族の息子が小遣いの足しにと持って来たものらしい。親のだと言ってたが、危険だからと息子に書類を書かせてサインを取ったらしい。魔道具だって。

 どんなもの? と見せてもらうことにした。

 奥から大事そうに持って来たのは木箱だ。

 これはなんだろうね。

 パカッと開いた箱の中には、なにやら布に包まれたものがある。これ、魔道具か?


 クビを捻っていると、オヤジさんは、そっと箱から取り出して、布を開いた。

 小さな丸い固まりだ。


「これはな、小さいけどゴーレムだ。俺の魔力じゃ無理だが、貴族の息子は動かしてたぞ。大きさは、そうだな、高さ一メートル三十センチくらいだな。何をするものかと問えば、侍従ゴーレムらしい。どこからそんなものをと聞いたら、どうやら、ダルゼニア王国の錬金術の街ボンバージで作られたものだって。そこに名前が入ってるだろ?」


 そういえば、と確認すれば、腰の後ろに名前があった。『作者:ドマーニ』だって。 


 貴族の息子から聞いたのは、作者は脚が悪くて、車椅子っていうのに乗っているらしい。それで作ってみたんだと。だから背が低くて子供みたいな形になったらしい。お茶を入れたりお菓子を出したり。ミスリルのゴーレムだから、洗濯もするらしい。食事の支度はできないけど、持ち主を登録すれば家人も五人まで登録できて、言うことをきくらしい。料理の載った皿なんかも、きちんと運ぶって。自分で周りを見て動くらしく、なかなか使えるって言ってた。これ、いいのか、買い取っても。


「だからよ、高額でと言われたんだが、ここはダンジョンの国だろ? まあ、あっちもそうなんだけど。良い職人なら、作り方さえわかれば作ってしまうと思うんだ。だから、あまり高値はつけられないと言ったんだよ。それでもいいから、というんで、とりあえず買い取った」


 ふうん、面白いね。

 鑑定は?

 おお、作者名も同じだね。ただ、自分の為に作ったものだから、グレードはかなり高い。所有者登録をすれば、かなり細かいことまでできるらしい。現在の作者はもっとハイグレードのものを開発して、自分で使ってるって。

 中古品だけど、高ランクだった。値段は、とみれば白金貨十五枚らしい。


「ちょっと動かしてみてもいい?」

「おう、できるか?」

「多分ね」


 そう言い、魔力を通すと、ミスリルの表面が青白く発光し、小さな球体が精密な時計仕掛けのように変形していく。完成したのは、どこか親しみやすい、丸みを帯びた小さな騎士のような姿だった。その目がカチリと光った瞬間、タケルに向かって完璧な一礼をしたんだ。静かに佇んでるんだけど、右を向いてと言えば右をむく。握手してと言えば、優しく握手してくれた。


「これ、いくらで売る?」

「そうだなぁ、俺もかなり出したから。白金貨一枚はほしいな」

「わかった、買うよ」

「ええ!? いいのか?」

「うん。問題ない。じゃあ、これも一緒にね」

 

 お休み、と言えばゴーレムは丸くなって箱に収まった。この箱だけでもかなりの値段だよね。外側の箱はいらないけど。


 白金貨一枚と金貨十五枚を取り出してテーブルに置いた。

 袋はいらないよ、とそのままストレージに入れた。


「驚いたな、お前。収納持ちか?」

「まあね。また面白いものが入る予定はある? しばらくはいるけど、用が終われば国を出るからさ。いいものがあったらほしい。国を出る前に覗いてもいいけど」

「おう、そうしてくれや。面白いものがあればいいが。ミスリル製のものが入ったら連絡してもいいぞ」

「ミスリルとか魔道具だね。それも面白い魔道具。ボンバージの職人が作った魔道具とか、ドマーニが作った魔道具ならみたい。そのうち、俺もボンバージに行きたいとは思ってるけど、もう作ってないものとかあるだろうし。俺はタケル。水晶は持ってるけど、二日後には依頼があるから、すぐには出られないかもしれない。朝と夜なら大丈夫だ」

「わかった、タケルだな。水晶はあるから、いいものが入ったら連絡する。今日はありがとな」

「こちらこそ。楽しかったよ、ありがとう」


 手を振って店を後にして、ニジといいものが買えたぞ、と話をしながら歩いてる。

 その時、声が聞こえた。


『主。辺境から街道上空を探索してるけど、盗賊に襲われている商人らしき馬車があるんだ。近くには誰もいないけど、どうする?』

『それじゃあ、俺の場所わかる?』

『うむ。わかる。転移で迎えに行くよ』

『頼むよ。近くの奥に入って空に上がるから。空でね』

『うん、了解』


「ニジ、空に上がるよ。どうやら盗賊が人を襲ってるみたい」

「ちゃいへ~ん」


 かわいいね、とニジに結界を張り、少し路地に入って空に上がった。

 

 数十メートルほど上がった時、ハクが現れる。

 椅子はないけど、そのまま背に乗れば、一瞬で転移した。


 馬車の側に降りてゆくハク。


「助けはいるか?」

「おお、頼む! 冒険者もたくさんやられてるんだ!」


 わかった、とハクが地上に降りたので、俺は飛翔で側に降りる。状況を見る限り、あまり良くないな。


 とりあえず、行こうか。


「冒険者たち、助っ人に入る。この魔獣は俺の従魔だ、攻撃するなよ!」

「わかった。人数が多いから気をつけろ!」

「うん。怪我人を馬車の側に連れて行って、結界を張るから」


 わかった、という声を聞いて、俺は愛刀を抜いて切り込む。右手に刀を持ち、魔法を使いながら突っ込んだ。

 胸の鞄からは、ニジが氷の弾丸をブシュブシュと発射してる。

 どこから沸いてきたんだよ、この人数が。

 ハクも魔道具の刃をだして、空中で、四本の脚を使い盗賊を切り裂いてゆく。

 圧倒されたのか、冒険者たちが少しずつ下がり始めた。

 その方が邪魔がなくていい。早く下がってくれよ。

 面倒になって、伴蒼刀も引き抜いて、両腕で盗賊を切り裂いてゆく。バッグから出たニジは俺の頭の上に乗っかった。自分で結界を張ってるのは魔道具を使ったのだろう。しっかりと俺のローブに触手を伸ばしているので、落ちることはない。

 しっかりものの末っ子だね、随分戦いやすくなったぞ。


 次から次へと盗賊を切り裂く。

 ハクも同じように四肢で切り裂いてる。ニジも連射してるね。

 三十人ほどの盗賊だったが、残りは既に五人になった。

 俺の方へ視線を送る盗賊たちだが、後ろからハクに切り倒されて、残るはひとり。


「これで全員か。正直に話せば活かしてやらんこともない」

「何を偉そうに。ガキのくせになんてやつだ。俺たちが戻らないと、お頭がやってくるからな。覚えておけ、一瞬で命がなくなるぞ!」

「そうか。じゃあ、せいぜい待っとくよ。その前にお前が逝け!」


<凍結>


 バキリと凍った男は、そのままで振り返った。

 ハクも魔道具を納めて降りて来た。ニジもご機嫌だね。

 

 ハクとニジ、自分を浄化して馬車へと戻る。怪我人がいるからね。


「怪我人は?」

「……あ、あっちにいる」

「治療するから」

 

 それだけ言って、怪我人のところに向かう。まあ、そこそこの大怪我だけど、欠損はないな。


<高度治療・高度回復>


 ぶわっと光った怪我人たちは、綺麗に治ってしまった。驚いてたけどね。


「他に怪我人は?」


 フルフルとクビを振るので、商人に荷物は大丈夫かと問う。


「この度はお助けいただいてありがとうございます。私は、奴隷商のドレイクと申します。政府公認の奴隷商です。盗賊に襲われて奴隷のひとりもかけることなく助けていただきました。感謝いたします。お礼をしたいと思いますが、現金でよろしいですか?」

「金はいらない。だが……」

 

 馬車の後ろに回った。その時、驚いた。黒髪の少女がいたからだ。

 鑑定して見れば、稀人だ。

 俺と同じで勇者召喚に巻き込まれたらしい。でも、いつ? あ、俺より一年前か。でも、このステータスは。

 疑問に思ったのは、ステータスに隠蔽が多いことだ。それで見抜けなかったんだろう、召喚した国はローランリック王国だ。あのクソ王国はとんでもないな。だが、この隠蔽のおかげで助かったんだな。だが、なぜ奴隷?


「礼をするというなら奴隷が欲しい。いいか?」

「どのものでしょうか」

「あの黒髪の少女だ。どうやら俺と同郷らしいからな。この子は俺がもらう、文句はないな?」

「それは問題ありませんが、二十年という奴隷期間がつけられていますので、あなた様の奴隷となりますが、よろしいですか?」

「そういうことか。ゲスだな。首輪とかないが、奴隷紋か?」

「はい。私がいたしますので、奴隷契約のやり直しもできます。ですが、あの奴隷だけでお礼というのは、あまりにも安すぎます。では、良い服を着せましょう。そして靴も。奴隷紋の書き換えも無料で致します。ですが、本当にそれで良いのですか?」

「ああ、いい。だが、護衛たちは盗賊のアジトに行くか?」

「俺たちは依頼中だし、いかないぞ。ほとんどお前らがやっつけたんだし」

「そうか。それならありがたい。それなら礼はその奴隷でいい。奴隷紋もやり替えてくれるなら御の字だ。で、いつまで奴隷を?」

「一年前なので、あと十九年と少しです。そういう訳なので、全く買い手がつかず、隣の街につれて行こうと思っていたところでした」

「なるほどな。で、満期になったらどうすればいい?」

「自動的に奴隷紋が消えることになっています。ですので、今は所有者の書き換えというところでしょうか」

 

 そんなやり方があったのか。よくわからないな、奴隷紋って。


「そういう契約は良くあるのか?」

「いえ。珍しいですが、先様のご都合らしく、うちへ来た時には、制約の紋が既にありました。ある意味、呪いといってもいいかと思います。そういう魔法使いもいますので」


 そういうことか、とさっそく頼むことにした。

 書類を出されて、内容を読むと、二十年先まで奴隷として生きる。開放はできない。主人に逆らうことは当然許されないが、秘密を守ることも当然架せられる。それを破ろうとしたときには、耐えがたい痛みに襲われ、歩くことすら困難になる。まあ、そういう類いのものだった。


 かなりきついな、これは。だが、守秘義務が発生するが、それをバラす心配がないというのは、いいことだろう。



********************

【あとがき】

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

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