第55話 いつもの冒険者用服セットをコピーしてみた
ハンガーにかけたいつものマジックアイテムを見る。これは普通の色なんだよね、茶色と白、黒だ。
この茶色の部分を濃紺にしたらかっこいいと思うんだけど。どうかな。まあ、やってみるか。ダメならダメで諦めればいいし。
色を一部変更してコピーを作る。色のイメージは俺の頭の中にある。同じマジックアイテムとして色を変えて複製する。
<コピー!>
しゅわ~っと光ったんだよ、いつもの服の隣が。
で、現れたのがハンガーに掛かった服。
これ、成功した?
鑑定してみれば、どうやら同じものらしい。ただし、「複製」と書いてあった。まあ、別にいいけどね。
使い方は全く同じ。
傷がつかないとか汚れないとか切れないとか。全てが同じだ。もちろん、所有者登録は必要だけど。これ、いいんじゃないか?
じゃあ、図に乗ってやってみるか。
同じものをコピーしたい。茶色い部分を白、白い部分を濃紺に変更。他は全て同じで。
<コピー>
ふわ~っと光ったその場所には、再び指定した色の複製品が並んだ。
これ、すごいなぁ。ものは使いようか。これ、俺が作ったスキルってことになるのかな。うん、いい感じだ。
しまった! ローブがあったんだ。忘れてたよ。またやらないと。
ストレージを見ればやっぱりありましたよ。
はあ、コピー再びだぜ。
ため息とともに取り出したのは、三枚のローブ。
ええと?
どうやら、ワンセットなので一緒に変更されたらしい。うそっ! と叫んでしまった。
これ、ありがたいな。本当にすごいよ、俺の能力。自分では自覚がないけど、誰がこんな力をくれたんだろう。まあ、間違いだとしても召喚されたんだから神様か? 俺は無神論者なんだけど。でも、召喚担当の神様には、とりあえず感謝だな。
そんなわけで、俺は今日、濃紺のマジックアイテムを装着してます。ふふん、嬉しい~
新しいのは、既に所有者登録したので、安心だぞ!
「ハク。パトリオットから連絡があったからギルドに行くけど、どうする?」
「私たち、もう少し寝てていい?」
「うん、いいよ。じゃあ、サンドイッチを温かいまま食べられるマジックアイテムに入れておく。魔力をためておくから食べてね。飲み物は冷蔵庫に入れるから、ニジに取ってもらって」
ありがと、と再び目を閉じたハク。ちびっ子二人組は全く目を開けない。アレックスに至っては、大股開きで腹丸出しで寝てるし。
少しだけ微笑んで三人の頭を撫でテントから出た。
この前もらった保温容器の魔力を満タンにして、蓋を開いて保存容器を入れる。なんとか全部入った。そう、これ、俺が作ったシーチキンサンドだ。
飲み物もいろいろと冷蔵庫に取り出してたので、さあ行こう。
この景色も久しぶりだな。まだ少ししか経ってないのに、そんな気がする。
トコトコ歩いて厩舎を通りすぎ、通りに出た。なんだ通りがざわついているんだが。「あの装備、ただもんじゃねえぞ……」とか行ってるし。言いたいこというよね。冒険者たちは足を止めて俺の背中を見送っている。ちょっと目立ちすぎたかな。でも、この色は好きだ。落ち着くんだよね。周りの視線は本当に面倒だけど。
やっとギルドの前に到着した。いつもの感じ。いいなぁ~
そのまま買取カウンターの方に入って行く。
「こんにちは。買取お願いします」
「いらっしゃいませ。あれ? タケル君?」
「はい。解体してもらいに戻りました」
少し待って、と裏に声をかけてる。
「おー! 戻ったか」
「うん。どこも対応できなくってね。で、結局ここへ戻った。また頼めるかな、オヤジさん」
「おう、任せとけ。で、今日は何があるんだ?」
「とりあえずいろいろだね」
そう言って、ストレージの中身を読み上げた。
「なんだそりゃ。すごいな。だが、思ったよりは少ないか?」
「うん。ダンジョン都市で潜ってたからね。その分は少ないかな」
「じゃあ、何からいくか。よく使うのはなんだ」
「えーと、マナバイソンとオーク、あとワイバーンかな」
「よし、すぐになくなることは?」
「大丈夫だよ。まだそれぞれ二十頭分くらいはある。だけど、この後、依頼であちこち行くんだよ」
「お前、冒険者登録したのか?」
「してないよ。でも、正式に頼まれた。まあ、相手の出方によるけどね。俺は別に依頼を受けたいわけじゃないし」
「がっはっはっは! やっぱりタケルはタケルだな。これだからお前とは付き合いたいんだよ。よし! なんでもおいてけ。俺がきちんとやってやる」
「嬉しいな、ありがとう、場長。あ、そうだ。これ渡しとく。アイテムボックスだよ。前に渡したのと同じやつ。当然容量無制限・時間停止だから。これに入れておいてできる時間にやってもらえたらいいから。できたものも入れておいて。素材も一緒に入れてくれたらあとで分けるから」
「おいおい、いいのか。まあ、助かるけどな」
「別にいいよ。盗賊様々だしね」
「なるほどな。それなら安心だ。じゃあ、どれだけでも入れておけ」
ありがとう、とアイテムボックスをつけてもらって、そこに一部を移動した。
マナバイソンが三十頭、オーク五十頭、コカトリス二十羽、レッドバードも二十羽。サーペント三十匹。
あとは、素材用にととってあったオーガ、ひとつ目、亜種のドラゴン、グリフォン、ヘルハウンド、一角兎、鹿角兎、レッドボア、グリズリー、ダイヤウルフ、バイコーン、ムーンベアなどは別のファイルに入れた。
使い方は知ってるらしいけど、ファイルの使い方がわからないというので、ただの種分けだと教えれば、なるほどな、と納得してくれた。
その代わりに、前に預けていたアイテムボックスを受け取った。
じゃあ、よろしくね~
礼を言って、精算カウンターに向かう。
素材もかなりあるなぁ……肉は当然確保だけど、問題は革。うん、かなりいろいろあるよね。じゃあ、俺が使う肉と、人気のある革以外は全て売りましょう。
その後、中にある精算カウンターで薬草を買い取ってもらう。山盛りになってるから。あとは、素材なんかだね。
「お久しぶりですね、タケルさん。今日は?」
「薬草の買取をお願いします」
「はい、ありがとうございます。では、こちらに」
籠をもらって、三種類の薬草をならべれば、お兄さんはひっくり返りそうになった。誰か呼びにいった?
奥から来た人は、お年寄りだけど、ローブを着て眼鏡をかけてる。鑑定しのおじいちゃんだ。
「タケル殿、だったか。これはどこで?」
「いろんなところで。見つけたときに採取してたら、こんな量になっちゃって。で、これ、役に立たないんですか?」
おじいちゃん鑑定師は震える手で薬草を掲げ、『これは……伝説の万能薬の主成分、ドラゴングラスじゃないか! しかもこの鮮度……さっき摘んできたというのか!?』と叫んだ。精算カウンターが、一瞬で学会の発表会場みたいな騒ぎになったよ。
「これらは素晴らしい薬草じゃ。薬師や錬金術師が喜ぶでしょう。あとは、他の素材があればよいのだが……」
どんなものが必要なのかと問えば、俺が預けた魔物の中にいろいろありそうだ。
それを伝えれば、場長と話をして、先にやってもらってもいいかと言うので、許可を出した。アイテムボックスを預けてあるので、メモだけしてもらったらと伝えておいた。さっきもらった素材もかなりあったけど、見る?
見せてくれというので、ついでに買取してほしいと伝えた。
結果、全て買い取ってもらうことになった。ありがたいよ~
その上、これならかなりの人が救えるって聞いて嬉しくなった。さっきの薬草と組み合わせて使える素材も様々あったって。うん、役に立てたね。
ギルドの買取にしては、引くほどのお金を受け取り、となりのカウンターに向かい、パトリオットを呼んでもらった。
当然、二階へと言われたので、自分で行くからと階段を上がった。
コンコン。
「お待たせしました~」
「おう、タケル。久しぶりだな。話は聞いたぞ。お前、冒険者でもないのに、すごいな」
「あはは、なんだか変なことになっちゃいそうだけど。でも、まだ決まりじゃないんだ。相手次第だからね」
「あはは、お前らしいな。で、従魔たちは?」
「まだ寝てますよ。人の嫌な所をたくさん見たので、気疲れしたんでしょうね」
「なるほど、そうだよな。あいつらは自然の中でいてなんぼ。それを人の中でいろいろ見聞きしたら嫌になるか。で、ドラゴンがいるんだって!?」
「うん、いるよ。普段は小さなドラゴンだけどね。元々の大きさはかなりでかい。でも、幼体なんだ。だからよく食うやつが一人増えた」
ふふふと笑っていたら、パトリオットもニコニコだ。
「さっそくですが、タケルさん。お話していた討伐のことですが」
うん、それだよ、それ。
聞いたところによれば、ミッドアス大国としては是非頼みたいそうだ。
対象は国内全域。Aランク以上の魔物で、依頼料は白金貨五百枚。期間は未定。魔物に出会わないことには終わらない。最後だとの判定は、探索能力のある魔法使いが判断したとき、らしい。
特別に高ランク、つまりSランク以上の魔物に対しては討伐報酬を上乗せする。例えばドラゴンなどだ。
ふむ。
終わりがハッキリしてないのは問題だな。
俺以上の探索や気配察知ができるやつらがいるかどうか、それが問題だね。
そういえば、国が連れてきた魔法使いを鑑定してくれという。もしくは魔眼で見て、どれくらいのレベルかを判断してほしいって。もちろん、別依頼になるらしいけど。
面倒だね、それは。
「本当に申し訳ないです。ですが、何とかしてほしいと。ダンジョンがあるのですが、その周りがあまりに危険すぎるので、ダンジョン近くの商店などが撤退しようかと話しているらしいのです。できればその前に何とかしてほしいのですが……」
なんなの、それは。
「むちゃくちゃだね、それは。でも、Aランク以上の魔物が対象なら、Sランク冒険者に頼むのも無理だね。まあ、しかたないけどさ。ただし、俺たちに攻撃するやつらはいないだろうけど、俺の眷属たち、特にハク、アレックスは見た目もでかい。あいつらに攻撃したら、全てがその場で終わる。当然、国もね。それは話した?」
もちろんです、というのだが。どれほど理解できているのか、それが心配だな。
「それに、ニジはまだあかちゃんだけど、すごい能力を持ってる。だから、Aランク冒険者以上の仕事はするんだ。俺のことは知ってるだろうし、ハクとアレックスは人とは比べられないほど。その価値が本当にわかっているのかどうか。それは魔眼で調べるけど、国王は?」
「当然、納得しております。是非、お目にかかりたいと」
「わかった。じゃあ、行くつもりで準備する。パトリオットはどれくらいかかるの?」
すぐにでも、というんだけど。荷ほどきしてないだろ、お前。
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【あとがき】
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