第51話 作り置きでおでんを作ったんだけど、作り置きじゃなくなりそうな気がする
それにしても、さすがダンジョン都市を持つ国の国王だね、よく知ってるよ。
そういえば、うちには斥候はいないな。まあ、ダンジョン専門って訳じゃないけど、潜るならいた方がいいかもね。まあ、その時に考えようか。
ワタワタとやってきた宰相が、そこそこの大きさの華美な箱を持ってる。
「では、タケル。これがエリクサー、その他の代金である。受け取ってくれ」
鑑定してみれば、きちんと白金貨五万枚ありました。それとは別に、ポーションなどのお金はデカい革袋二つぶん。キラキラしたやつだね。これも鑑定すれば、間違いなかった。はい、確かに。
「じゃあ、明日、昼食が終わり次第、一度戻るかな。ウイル、ケビン、なにか用事がある?」
それでいいんだって。文官たちも準備は整っているらしい。じゃあ、今日はゆっくり休もうと俺とアレックスも空間に入った。
昨夜は皆で風呂で泳いであらいっこした。わいわい楽しく遊びまくって、爆睡した。
おかげで、気持ち良く目覚めることができたので、のんびり起きて作り置き料理に時間を割くことにした。
さて、何を作るかなぁ。
とりあえず、メインの料理だな。
肉と野菜が基本だけど……
野菜炒めにするか? うん、それがいいね。その間にオークの角煮を仕込むとしようか。
オークキングのバラ肉を取り出して、カット。ゴロゴロと肉がまな板の上に並ぶ。フライパンで肉の余分な油を焼き落とす。その後で寸胴に放り込んで、水を入れてネギみたいなぶっとい野菜をブツブツ切って放り込む。あとは、沸かせばスキル先生があく取りしてくれる。とても便利だ~
野菜炒めの野菜は、キャベツみたいな――キャベッチというらしい――それをざくざくカットして、タマニーグ(タマネギ)も大きめにカット。あとはニンジー(にんじん)とピーム(ピーマン)などをカットして準備完了。かなり大量に作ってしまった。
肉は、当然、牛でしょう。マナバイソンの肉にするかワイバーンにするか。今回はワイバーンにしようか。マナバイソンは肉煮込みにすることにした。
それぞれ、準備を整えてフライパンにぶっ込む。
ジャージャーと炒めまくり。味付けはどうするか、と考えたんだけど。オイスターソースでもいいかなと思ったが、やはりオーソドックスな焼き肉のタレの方が喜ぶだろう。
肉煮込みは、タマニーグとジャガミ(じゃがいも)を入れることにした。マナバイソンを大量にスライスしたのはスキル先生だ。野菜を炒めて肉を放り込み、わき上がるまで待つ。まあ、牛丼にもできるしね。
それ以外は、豚バラ大根をつくる。大根はスーパーで買いました。
あと、おでんをつくる。卵はスーパーに大量にあるので、とりあえず、この世界の卵を残り全部ゆで卵にしてしまった。
他には唐揚げ類の仕込みは終わってるので、照り焼きにしよう。
魔道コンロが満席状態なので、カセットコンロを取り出して、大根の皮できんぴらを作ることにした。白米は、オーブンで炊飯鍋二個分。炊飯器はホームセンターでもう少し大きいサイズ、一升炊きを取り出して炊き込みご飯を作った。具は細かく揃わないので、炊き込みご飯の具をレトルトで使う事にした。これはちょー便利だぞ。
ふと思いだしたんだけど、オーブントースターがあるから、タマネギのみじん切りとゆで卵、シーチキンの缶詰、マヨネーズで、俺流ホットサンドを作ろう。
ゆで卵は十個あるからそれを使うか。
テーブルの上にオーブントースターを取り出して、ボウルやなにやらいろいろ置いていたら、キッチンとテーブルがいっぱいになってきた。これはマズいな、とカットはキッチンでしようと移動する。
パンを一本取り出して、五枚切りの厚さにスライスして、オーブントースターに入れて焼き目をつける。これで準備おっけ。
みじん切りのタマネギにざく切りの卵を入れて軽く塩胡椒。焦げ目のついたパンにバターを塗ってマヨネーズで和えた具を挟んでいく。軽く押さえて、半分にカット。おしゃれにカットしたいけど、皆が食べにくいだろうし、普通に真ん中をざくっと半分。それは保存容器に入れてストレージに入れてゆく。
どんどん、作って結局パン一本分作ってしまった。でも、すぐになくなると思うけどね。
他には、と考えたけどコンロが塞がっているので無理だね。
懐かしのきんぴらゴボウ、じゃなくてきんぴらダイコンを口に放り込みながら、こんにゃくを取り出してカットしてゆく。マナバイソンのスジ肉とすね肉のあく取りが終わったので、茹でた大量のこんにゃくを放り込んだ。そこにダイコンとジャガミを加えて、ダイコンにフォークが通ったら味付けだね。
醤油も砂糖もあるし、みりんもある。なんなら、酒もあるし。
おでんの味をつけてから、ゆで卵を大量に入れて、十五分たったあと、練り物を次々と入れてゆく。俺は棒天が大好きだから、棒天と平天を多めに入れた。
煮立ってきたら蓋が持ち上がるほどになっちゃったけど、まあ、いいよね。可愛いミニちくわや、プリッとしたウインナーも入れる。これ以上は無理だ。
かなり小さな火でことこと煮る。当然、オークの角煮も味をつけて煮込む。
白米も炊けたので、ストレージに入れておく。
炊き込みご飯を混ぜてみれば、中々のできあがりだね。
アサリご飯と鶏五目メシ。二種類炊き上がってるので、味を見てみれば、なかなかの味。これなら旨いよ。あとはインスタント味噌汁とお吸い物を出してみた。これは、かなりお世話になったからね。コンビニ弁当にインスタントの汁物があるだけでほっとしたんだ。
今日はこれくらいにしておこう。
昼には食事会があるし、朝は軽めでいいかな。
着替えをしにテントに戻ると、ハクもニジもアレックスも、それぞれがゴロゴロしてた。思わず吹き出しちゃった。
「おはよう。ご飯はどうする?」
「いい匂いがするんだけど、何か作ってるの?」
「そう、仕込みをしてた。新しい料理も作ってるよ。今日のお昼ご飯は王宮での食事会だしね。でも、何か食べるだろ?」
「おなかしゅいちゃ~」
「おなかちゅった~」
あはは、そうだよね。
じゃあ、と俺が着替えする前に、三人を浄化した。
テントから出ていった三人は、既にセットしてあった、水の魔道具の所にいって水をのんでる。これは便利だな。
着替えを終えて、英雄のバッチをどこにつけるかなと考えるが、答えが出ない。最近は旅をしてないから、アイテムボックス鞄を出してない。あれにならつけられるか。いや、余計なことを探られそうだから、とりあえず、ストレージに入れておこうか。
何を食べるかと問えば、ぐつぐつ煮立っているのはなんだと問うので、オークの角煮とおでんだといった。「おでん?」とクビをかしげてるので、深鉢にいろいろ入れてみた。
「いいにおい~」
嬉しそうな三人だけど、かなり熱いよ、と取り分けてやれば、フウフウしてるね。
当然、スジ肉とすね肉は山盛りです。ちくわを食べたハクが、旨い! と叫んだ。ええ? とニジとアレックスも焦って食いついてるけど、熱くて食べられないって。じゃあ、と冷却の魔法を使ってやれば、ちょうどいいとフォークでブスリと棒天を突き刺した。
美味しい、美味しい、と大喜びだ。ダイコンもジャガミも嬉しそうにたべてる。こんにゃくはどうかなと見てたけど、問題なく食べてたね。当然、肉も食べるしゆで卵もウインナーも……
全種類を食べているんだけど、これ、朝ご飯じゃないから。
その後には普通のサンドイッチを大皿にならべた。
文句が出るかと思ったけれど、全く問題ない。あはは、よく食うよ、本当に。ホットドッグはチーズを溶かしてくれというので、バーナーを取り出してあぶってやる。
飲み物は、ミルクと果実水だね。
俺も、とホットドッグに食らいつき、ミルクをゴクゴク飲む。
んー、旨い~
ひとしきり食べたあと、ウイルから連絡があった。どうやら、王宮の庭にいるらしい。遊びにいってもいいかと問われたので、迎え入れた。
入ってきたのは、ウイルとパトリオットだ。
国王もといったのだが、無理だと宰相に引き留められていた。思わず爆笑したよ。
空間に入った瞬間、二人の鼻がヒクヒク動く。
「タケル様……これは一体何の香りですか? 王宮の厨房でも嗅いだことのない、脳を直接刺激する匂いでございます」
パトリオットに至っては、ゴクリと喉を鳴らしていた。
「おでん」を作ったんだといい、食事は? と問えば一応食べたらしい。それなら香りの良い紅茶を振る舞うかな。
盗賊のアジトから持ち帰った超高級なカップやスプーンを取り出して、用意する。お湯をカップに入れて温めておいた。この紅茶は、レモンの薄切りを入れてあっさり飲むか、蜂蜜などで甘めで飲むか。どちらにも対応できるように、レモンを一個スーパーから出して薄くスライスした。
レモンと蜂蜜を用意して、紅茶を注ぐ。
いい香りだ。
二人の前にそれを置けば、いい匂いだと嬉しそうなんだけど。これは? とレモンを見てる。
これを入れてあっさり飲んでもいいし、蜂蜜でほんのり甘くしてもいいと言えば、二人はレモンをチョイスした。そして数回かき回して、ひと口のむ。
ウイルは気に入ったようで大感激だ。パトリオットはそこに蜂蜜を入れた。どうやら蜂蜜入りが気に入ったらしい。
「素晴らしいお茶ですね。これは?」
「それはレモンっていう。魚のソテーとかの上に絞ってもいいし、あっさりした仕上がりになるよ。フライとかに搾って食べてもいいからな」
レモンの残りを見せれば、譲ってくれというので、持って帰れと渡した。どうやら料理長に渡すらしい。まあ、上品に仕上がるからね。
何事かと思っていたら、パトリオットから話があるらしい。
「タケル様たちの偉業は重々承知しておりますが、何分、様々な国で魔物が多くて困っております。Bランク冒険者くらいで相手ができるなら良いのですが、なかなか難しくて。ダンジョンがあるなしにかかわらず、外壁の外では大変なのです。特に農民や樵などは生きて行くことすら難しい。それで、世界冒険者ギルド協会では、高ランク冒険者たちに特別依頼を出しております」
俺は魔眼をうっすらと発動させながら、パトリオットを見据えた。
「パトリオット。あんたの言うことはわかる。でも、俺は誰かの兵隊になるつもりはない。俺の旅を邪魔しない範囲で、家族が納得するなら、話を聞いてもいい」
その言葉に、パトリオットは居住まいを正したぞ。
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【あとがき】
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