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第49話 アレックスを虐げたギルマスには復讐だ!

 その後、リザードマンであったドラゴと出会ったときのこと、そのあとランクSの最下層で古竜にあったこと。そこでドラゴのことを聞いて、「もう進化しているから、眷族として側に置いて欲しい」と言われたことを話す。

 「息子を頼む」と言い残して光の粒になって消えたことをいえば、パトリオットだけでなく、国王、宰相、ウイル、ケビンも大きく目を見開いて動きが止まった。


「なるほど。それで、今のお名前はアレックスさんであると。リザードマンには姿を変えられないのですか?」

「大丈夫だと思うが、その必要はない。身体の大きさも自由に変えるし、ここに来た時は、最下層にいた父親と同じ大きさの古竜だった。少し銀色がかってるけどな」


 リザードマンの姿のうちに、と冒険者ギルドに手続きに行かせた、冒険者である必要はないから。

 その時、書類を書いて預けていた金をと言えば、ギルマスがキレた。

 その場で殴られ蹴られだったそうだ。戻った時にはボロボロだった。すぐに治療して、なんとかなったが。 

 そう伝えると、抵抗はしなかったのかと問われたので、今のアレックスが人に対して抵抗すれば、殺してしまうと自覚していたんだろう、手を出さずに戻ってきた。それほど、すごいやつだと、自慢した。


「それは失礼致しました。では、そのギルマスは処分いたします。冒険者たちにも聞き取りをいたします。他にも被害があるかもしれないので。それで、タケルさん、あなたのご希望は?」

「思う存分痛めつけたい。俺の眷族に手を出したらどうなるか、理解させてやる」


 俺は国王にも話してある。

 家族や知り合いを傷つけたら許さないと。

 それは宰相が説明してたね。うん、楽でいいよ。まあ、しっかり伝わるからいいだろうね。


「そのことは、本部と相談いたします。最大限譲歩していただく為に、訓練場での戦いでよろしいでしょうか」

「まあ、いいけど。建物が壊れたからと文句を言うなよ」

「え? そ、それほどですか……」

 

 では、どうしましょうか、と宰相に相談してる。あはは、面白いね。でも、どうするかな。ギルマスを連れてくるか。


「俺に提案がある。ギルマスをここに連れてくる。そして騎士団の訓練場で戦う。どうだ?」

「それはとてもいい案ですが。どうやってつれて来ますか? 日数がかかってしまいますよ」


 まあ、普通ならな。


「じゃあ、ウイル。ハクとパトリオットと一緒にギルドに行ってくれ。ハク、転移頼めるか?」

「任せて。じゃあ、ウイル、パトリオット殿、行くよ~」


 ハクはすぐさまテラスに出ていった。

 慌てて二人もついていったな。これで大丈夫だろう。


「そういう手があるのか。ハクは転移もできるのか」

「ああ。行ったことのある場所、目視できる場所ならどこへでも。国を二つ三つ転移するのは普通だぞ」


 すばらしい! 

 国王が大喜びで絶賛している。そうだろそうだろ。うちの子は皆すごいんだぞ!


「タケル殿は眷属たちを信頼しておられるのですね」

「そうだな。人間なんかよりよほど頼りになる。裏切らないしな。まあ、いい人間もいるが、俺は鑑定して魔眼で確認するまでは気を許すことはない」


 さすがです、と一国の宰相と国王が何度も頷いているけど。


 すぐに戻ったハクは、ギルマスの襟を咥えたままだ。大剣はパトリオットが持っている。


「国王陛下の御前だ、頭を下げよ」

 

 パトリオット、威厳があるな、かっこいいぞ!


「こ、国王陛下におかれましては……」

「もう良い、お前の事など気にもしておらぬ。早うタケルと戦うのだ!」


 なぜ? とクビをかしげている。バカだ、こいつは。

 宰相が丁寧に説明してるけど、どうなるんだろうか。


「え、あ、あの。ドラゴですか。それは、あまりに急にやめるというので。それに、それなりの大金を引き出すとか。こちらにも準備がございますので……」


 何言ってんだ、こいつ。


「で、あいつをボコボコにしたということか? 当然の権利を主張して何が悪いんだよ、おっさん」

「おっさん、だと? なぜ、お前があいつのことを」

 はぁ~と深く息を吐く。


「あいつは俺の眷族だ。既に進化しているが、会ってみるか? それなら場所を変えよう。別にあいつと再戦してもいいがな」


 クツクツ笑ってやると、ぐぬぬと唸ってる。


 訓練場に場所を移して、騎士たちには場外に出てもらった。

 ギルマスは大剣を背負って立っている。

 そこに現れたのはアレックス。

 小さな身体でぴょこんとたってる。


「これがドラゴだというのか? あいつドラゴンに進化したのか。信じられないな。お前、何をした!」

「何も。こいつの父親に眷族にしてくれと頼まれた。それだけだ」

「ふん。それで、チビドラゴンと戦えと?」

「いや、やめた方がいいと思うぞ。もし戦えばお前はすぐに死ぬからな」


 何を言ってるんだと爆笑してる。

 アレックス、と呟けばグググン! と大きくなって、普段のアレックスの大きさになった。


「あ、ああ゛あ゛ーーー」

「ギルマス。俺は主に迷惑がかかると我慢しただけだ。主の許しが出るのなら、俺が相手をするが?」

「え゛え゛え゛……」

「アレックス。これは俺の役目だ。主である俺が、お前を傷つけたこいつを始末する。まあ、私怨だから気にするな」

「主。よいのでございますか?」


 問題ない、と答えればスルスルと小さくなって、パタパタとハクの背に乗った。ニジと並ぶと、とんでもなく可愛いぞ。


「さて、ギルマス。俺と戦え。俺の家族を傷つけたお前は敵だ。今まで我慢したが、お前の事は許さない。いいな、陛下!」


 「好きにするが良い」と聞こえてパトリオットが「はじめ!」と号令をかけた。


 ギルマスは、やっと正気に戻ったのか、大剣を抜きかけてくる。

 遅い、遅すぎるぞ、ギルマス。


「そんなに遅かったら昼寝ができるぞ!」


 叫べば、大剣を活かして、横殴りに振り回した。ギリギリのところでかわして後ろに下がる。

 ここからは打ち合いだ。

 俺は蒼竜刀と伴蒼刀を取り出してクロスして正面から受けとめる。そのまま押し出してやった。


 少し距離を取っているのは疲れたのか、あれくらいで?

 待ってても仕方がないな、と縮地を使う事もなく、一瞬で駆け抜けた。


 その後にはギルマスが防具ごと切られて立っている。

 防具の堅い感触などは一切なかった。まるで、最初からそこには何もなかったように蒼竜刀は吸い込まれて、ギルマスを断ち切った。古竜の力が宿ったこの刀にとって、人間の造った防具など紙同然だったということだろう。

 この段階で、こいつは絶命していた。


 ドサッと倒れる音がして、ふぅと息をはく。

 

「訓練場を汚して悪かった」

「何を言う、見事であった。お前の武器はなんというのだ?」

「これか、これは刀だ。こっちの蒼竜刀は古竜にもらった。で、こっちの伴蒼刀は、もらったものだが、使い手によって変化するらしい。二本持ったら、伴蒼刀として変化したようだ」

「ふむ。まさに古竜に選ばれし者であるな。辺境の舘で騎士たちを屠ったのもその刀というものか?」


 そうだ、とヒュン! と刀を振って血しぶきを飛ばし、鞘に収めた。


 騎士たちがギルマスの遺体を片付けると言えば、パトリオットがギルドカードや大剣などを押収していた。当然、さっきの戦いは映像記録魔道具に納められている。アレックスの姿もしっかり映っているけど、と言われたが問題ないと伝えておいた。個人の情報を、世界冒険者ギルド協会が吹聴することはないだろう? とゆるりと脅しをかけておいたので大丈夫だろう。


 王宮に泊まってくれと言うのだが、どうするかと悩んでいる。なぜと問われて、王族や貴族が食うメシは性に合わないといえば、すぐに市井の店で出される料理を作ってくれるらしい。


 結果、俺たち(眷属たち含む)、ウイル、ケビン、パトリオット全員で泊まることにした。

 俺たちは、賓客用の大きなエリアで、俺たち全員で寝られるようになっていた。ハクの為にと別にマットが用意されていたくらいだ。

 

 先に風呂に入ろう、と浴室に行けばデカい。この風呂はデカすぎるだろうよ。

 さすがにハクは半分以下の大きさになったけれど、四人で一緒に入ることができた。

 久しぶりに俺が順番に洗ってやる。やっぱり魔法よりいいらしい。ふむ、かわいいことを言いやがる。

 えっさほいさ、と時間をかけて皆を洗い、シャワーの下で放置。

(お疲れ様、俺!)

 その間に自分の身体を洗って、それぞれの泡チェックのあと、風呂に送り出す。まだ残っているのはハクだけだ。

 その間に急いで髪の毛を洗う。少し伸びたけど、まあ、いい感じかな。

 

 ハクの腹の下を綺麗に洗い流して二人で湯船に入った。それからは、ギャーギャーとお湯の掛け合いだな。

 せっかく髪の毛を乾かしたのに、びしょ濡れだ。さすがに四人で入れば狭い。

 ふぅ、そろそろ出るかな。

 濡れた髪ををガシガシ吹きながら、アレックスの背中を見る。傷跡がきれいに治っているのを確認してホッとする。……もうあんな思いはさせないから。そう心の中で誓いながら、温風を送ってやった。


「さすがに裸でというわけにはいかないな。じゃあ、服を着ようか」


 仕方なくタオルで身体を拭いて部屋着を着た。

 そしで、温風を出しておく。自然乾燥だな。

 今日は水気を絞るからとハクには言ってある。そうでないと、床がびしょびしょだ。


 俺がソファに座ったとき、ドアがなる。

 誰だ?


「失礼致します。宰相殿がお越しです」


 そうだ、専属の侍従がいたんだっけ。

 通してくれと言えば、ゆっくりとドアが開く。


「おくつろぎのところ、申し訳ございません。お願いなのですが……」


 なんだか嫌な予感がするんだけど。


「明日、お帰りのご予定だとは聞いておりますが、できましたら、昼の食事会に出席していただけないかと思いまして」


 食事会?

 話を聞いてみれば、王都内と近隣の貴族たちから、俺に会わせろという話があったらしい。家族を伴っての食事会らしいんだが。どうやら、ウイルが実家にもどって、ポロッと漏らしてしまったらしい。

 

 なんてことしてくれたんだよ、ウイル!


「タケル様が目立ちたくないというのは、重々承知しているのですが」

「はぁ。だが、家族が参加するのは問題があるだろう?」


 なるほど、と考え始めた宰相。

 その時、丁度、ニジとアレックスが風呂から出て来た。すぐにテーブルの上の大判タオルに乗っかって、ドライしている。

 すぐに浴室に向かえば、ハクがブルブルと身体を震わせていた。

 ストレージから、大判タオルを取り出して、鬣、尻尾、足下と水気を取ってゆく。ガシガシやれば気持ち良さそうだ。

 浴室から出て、ニジとアレックスの後ろに立ち、ドライだね。

 風呂の湯を抜き、浴室全体を浄化しておこう。 


********************

【あとがき】

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