第43話 古代竜からの贈り物をみて腰が抜けちゃったよ、俺
『なるほど、そういう考えもあるか。リザードマンとして生きるのも辛かろう。ならば、其方が受け入れやすい方がよい。ならば子供の姿でドラゴンとして従えてやってほしい』
「えーと、じゃあ、どうなるの? ドラゴはいなくなるよ?」
『それは心配ない。人と違い進化というものがある。それはリザードマンにもあるのだが、本来ならドラゴニュート。だが、彼奴は本来の姿に戻るだけ。それで問題ないのだ』
そんなもんか。
「ねえ、どうする、ハク、ニジ。子供のドラゴン姿の方が良くないか?」
「うん、そう思うよ。自由に大きさが変わるのなら問題ないと思うよ。戦いの時には古代竜の姿で。そうでないときには子供のドラゴン。ニジも同じ気持ちだって」
「でも、今は会話ができてるだろ。どんな大きさの古代竜になっても話せるのか?」
『それは問題ない。だが、子供の間は子供の話し方になる。念話であれば普通に話せる。そのニジは生まれて日が浅い故、念話でも普段でも赤子の話し方になるが』
「え? ニジと話せるのか?」
『うむ。できるように我がした。だが、息子も本来古代竜である。食うものもかなりの量となる。其方の負担が増えるのが気になるのだが』
「まあ、それはあるよね。そのうち、誰か食事を作ってくれる人がいればいいと思ってる。でも、今みたいにダンジョンに入りっぱなしじゃなければ、いろいろ作れるから。ハクだってかなり食うぞ。それはあとで考えればいい。狩りが忙しくなるな、ハク」
「望むところだよ。それに、ドラゴも狩るでしょ」
ああ、そういうことか。それなら便利だな。
どうやら、古代竜の特性として、ストレージも持っているらしい。だから獲物を狩っても心配ないんだって。でも、従魔の首輪をつけないとなんだけど、あれって、それほどの大きさになるのかな。
「其方なれば、魔法で対応できる。伸縮自在という魔法を作ればよいのだ。それで問題なかろう?」
あれ? 確か作ったよ、伸縮自在。やっぱり俺って魔法を作れるの?
どうやら、無意識に作っているらしい。イメージだけでいろいろ使ってたからだろうか。
特殊な力は神に認められているかららしい。最初にこの世界に召喚した国がバカで理解できてなかっただけだって。やっぱりバカだったんだね、あの国は。
これからも、俺の力を欲しがる貴族、国などが出てくるが、気にせず対応すればいいと言われた。まともな国王や貴族なら、俺を束縛しようとはしないはず。
いつもそうやって、ランクの高い冒険者や騎士たちを籠に入れて使い潰すって。だから、そんな貴族や国は滅すればいいそうだ。
うーん、それはいいんだけど、面倒な事になりそうだね。まあ、できるだけ対応しよう。
古代竜は竜神の加護を全員にくれるといった。そして、俺にはほとんどのものが対応できるだろうが、人を見るときに鑑定している。それ以外の内面を見抜く力、『魔眼』をくれるそうだ。自分が持っている魔眼を受け取れと言われた。
え? と驚いていると、目がものすごく痛くなる。のたうち回るほどの痛みがあった。
「イダダダダーーー!」
それは数分続いたが……
ハクとニジが心配そうに見ているのがわかるんだけど、どうしようもない。
だが、ゆっくりと痛みが遠のいてゆく。
そしてゆっくりと目を開いた。
『ふむ。成功であるな。我と同じ魔眼が其方の両目にある。だが、ずっとそのままでは疲れる故、見掛は今まで通り。発動する場合は、右、左を指定して、両目の時は両眼と指定して魔眼を発動するのだ』
では、息子を頼む。
よければ、名を付け直してやってくれ。
既に眷族となっておるが、一応、息子の話を聞いて欲しい。頼む、と古代竜に頭を下げられた。
「でも、俺はお前を殺すのは嫌だぞ。お前はいいやつだ。だから……」
『その必要はない。我は自らの意思で神界に行く。故に心配いたすな。身体は消えても我は死ねぬのだ、神になれば不死。故に、お前とはいつでも話ができる。我を思い、念じよ。それだけでよい。我が消えた後は、別の魔物が来るであろう。我ほど強くはないが、ダンジョンは成長する故な。攻略報酬は通常のもの。それとは別に、我の個人資産を全てお前に渡す。息子の食い扶持であるゆえ、使ってほしい。我の名の入った宝箱は、他者に見せる必要はない。其方ら家族が使うのだぞ』
なるほど、そうか。
「わかった。じゃあ、息子を預かるよ。というか、家族になってもらう。でも、別れはいらないのか?」
どうやら、昨夜話をしたらしいよ、ドラゴの夢の中で。だから大丈夫だって。
ありがとう、と伝えれば、光り始めた古代竜は天に昇っていった。
その後に残されたのは、討伐報酬とドラゴンのマークが入った宝箱。あいつ、古代竜レックスというんだな。今知ったぞ。
思わずクツクツと笑いが漏れる。
さて、討伐報酬は何かな、と見てみれば。
まあ、とりあえず、金か。あとは、いつもとそれほど変わらないね。金属のインゴットがたくさんあった。そして、上級と最上級のポーションがそれぞれ数百本ずつ。あとは、宝石のついた箱にはエリクサーが千本あった。これほどあって、どうするんだよ。まあ、これは攻略報酬だし、別にいいけど。あとは、見ないでストレージに放り込んだ。
その後、レックスのくれた宝箱を開けてみた。
ハクは数歩引き、俺は腰を抜かした。
中身はとんでもない程の金があった。そして、アイテムボックスの容量無制限で時間停止の小さな袋があったんだけど。その中には、箱の中にあった金、以上のものが入ってた。これ、どうなんだよ。まあ、これなら、皆が飢えることはないね。国をかっても余るだろうよ、これ。だって、全てが白金貨だったし。
俺はこのとき知らなかった。下の方にドラゴン金貨が入っていたことを。
あはは、と力ない笑いが出てしまった。
一気に疲れたけど、ただ、ひとつだけ気になる箱がある。他にも宝石とかダイヤとか水晶、オリハルコンやヒヒイロカネなどの金属の塊がたくさんあったんだけど、それだけが異質に見えた。
細長い箱だ。その中を見て驚いた。
刀がひと振りあったから。そして腰につけるベルト。これは二本の刀をつけるためのもの。俺が欲しかったものだ。
*****鑑定
蒼竜刀:古代竜の作った刀
所有者:タケル・ヤマト
最上級神器:折れない、欠けない、研ぐ必要がない 素晴らしい切れ味 人間界では再現不能
行方不明になってもすぐに戻ってくる
<魔法を使う場合>
蒼炎:最強の炎を放つ(全てを焼き尽くす)
蒼氷:最強の凍結魔法を放つ(全てを凍らせる)
蒼雷:最強の雷魔法を放つ(全てに雷を落とし命を奪う・結界として使う)
蒼風:最強の風魔法を放つ(嵐を巻き起こす・止める)
蒼水:最強の水魔法を放つ(洪水を起こす・止める)
※それぞれが蒼い色で発せられる 古代竜の魔法 それ以外の通常魔法、最上級魔法にも使う事ができる
最悪の神器とも言われる事があるが最上の神器である 伴になる刀がある
その他、使い方次第でできることが増え続ける
*****
おっそろしい刀だけど、これ、どう使えばいい?
「伴になる刀があると書いてるけど、主の刀はどうなの?」
あ、そうだ。これの鑑定はっと。
鑑定*****
使用者の使いたい剣に形を変える『異形の剣』
使用者設定
材質:ミスリル、魔法銀、タンザナイト、ダイヤモンドなど
*****
うん、確かにこうだった。
でも、名前はないね。
じゃあ、違うのかな。
右手に蒼竜刀を持ったまま、左でいつもの刀を持ったとき、ビカッと一瞬光った。
なんだこれ。
とりあえず、もう一度鑑定して見よう。
鑑定*****
蒼伴刀:神器蒼竜刀の双刀となった 蒼竜刀の配下
使用者:タケル・ヤマト
折れない、欠けない、研ぐ必要がない 素晴らしい切れ味 人間界では再現不能
行方不明になってもすぐに戻ってくる
*****
あ、変わった。グレードアップしてるけど、これ。
なるほど、これが『異形の剣』ということか。ということは、これは左手で持っても使えるということか。じゃあ、この二つを使おうか。
「素晴らしいじゃない、主。あの古代竜の思いが形になってる。早く、身につけてみて!」
「ピ!」
あはは、ニジ、短すぎ~
じゃあ、と腰のベルトを外して、付け替える。そして、左に蒼竜刀、右に蒼伴刀を装備した。試しに蒼竜刀を抜いてみると、刀身が青く透き通り、まるで凍てつく炎を閉じ込めたような輝きを放っていた。軽い。まるで手の一部になったかのように馴染む。……これが俺の新しい力か。
「それ、いいね。魔法の触媒としても使えるんだろうけど、両方とも魔力がわき上がってるよ。主の魔力だ!」
なるほどね、そういうことか。じゃあ、魔剣じゃん。
ふふっと笑って忘れものを確認する。そうだ、ともうひとつ確認しようと古代竜の箱を開ける。
あったよ、そこに。逆鱗が一枚。これ、すごく大切なものだろうから、しっかり保管しないとね。いつか、古代竜の息子が旅立つ時がきたら渡してやらないとね。
古代竜の宝箱を、古代竜レックスというファイルができてたので、もう一度戻しておく。これは一生の宝物だから。
扉を開けて皆で転移陣に乗った。
明るい光の束に包まれた俺たちは、一瞬で第一階層の入り口部分に降り立った。
「タケルさん!」
あ、ウイルだ。
俺たちはゆっくりとダンジョンから脚を踏み出した。
そこには、ウイルと騎士たち、そして他にもいろいろいる。協会の職員たちはすぐにわかったけどね。
目の前には、ドラコが臣下の礼をとっている。
「無事のご帰還、安堵致しております、我が主」
「あはは、聞いたんだろ、夕べ」
「はい。既にあなた様の眷族となりし我でございます。どのようなことでもお申し付けくださいませ」
「ああ。しっかり聞いたから。で、お前の名前だけど。変えてくれっていってたよ。だからね、いいかな?」
「ありがたき幸せ」
「じゃあ~どうするかな……アレックスにしよう。どう、ハク、ニジ」
「いいんじゃないかな。レックスの息子だし」
『かっこいいしゅ、ありっくちぃ~』
「は? ニジなの?」
『しょうらよ~あるじ、ちゅけちくりた、ニジ~』
初めて聞いたニジの声は、予想通り……いや、予想以上に可愛かった。俺はたまらずニジを両手で持ち上げると、頬ずりした。
「ああ、よろしくな、ニジ」
家族の絆がまた一段と深まった気がしたよ。
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