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第39話 冒険者になってくれと言われたけど、しっかり断っておきました

「あの、タケルさん。今回は本当にありがとうござました。それで、この後は?」

「最下層まで行くよ。とりあえず、十四階層まではすっ飛んだから、終わったあとを行ってもいいかと思ってる。ボス部屋に入るのは十五階層からかな。そんなもんでいいよ、別に」

「本当に申し訳ございませんでした。それで、お手数ですが、一度協会でお話を聞かせてもらったらと思います。いかがですか?」

「うーん、どうするかな。ハク、どう思う?」

「それなら仕方がないね。ニジと一緒に空間にいるから、主が行ってよ」

「じゃあ、もう夕方だし、明日の朝からにしようか。メシはどうする?」

「もちろん、主が戻るまで待つよ。主のメシは旨いからね。その間に、私たちは風呂に入る~」

「ピピィ~」


 わかった、とウイルに振り向けば、ありがたいと行ってくれた。

 馬車で来てるので頼むと言われて、皆を見れば、準備ができたようだ。


 じゃあ、その場で空間を開く。


 オープン!

 

 開いてゆく引き戸を見て、結界を解除し、皆が外にでた。

 

 クローズ!


 最後に外にでた俺は、閉じてゆく引き戸を確認してから、馬車に乗り込んだ。


 冒険者たちは、別の馬車に乗り込んだので、ウイルと二人だけだ。


「今回は急な依頼にもかかわらず、引き受けてくれて助かりました。これは、冒険者ギルドと領主様、探索者協会からの緊急指名依頼になります。協会に戻り次第、依頼料もお渡ししますので」

「出るのか? まあ、もらえるならもらうけど。で、助けたやつらはどうなるんだ?」

「身体の方も、問題なさそうです。タケルさんの治療は素晴らしいと治療師たちが感心しておりました。回復もほぼ、全回復らしいです。ドラコさんは、今夜はゆっくり休んだ方がいいらしいですが」

「なるほどな。あいつは無理矢理狭いところに逃げ込んで、他のやつらを後ろに、うようよいるサーペントを見ながら耐えてた。でも、普通なら命はなかったと思う。自分も、無理だと言ってたから。でも、何とかしたかった。そうだ、これ。ドラコの後ろで息絶えてた冒険者のカード。ギルドに渡しといて」

「はい。確かに。ですが、亡くなった人がいたのは仕方がないのですが、あれだけ戻ってくるとは思っていませんでした」


 気にするな、と言っておく。

 いつ、誰が同じようになるかわからないんだから。助けられるやつは助けたい。



 探索者協会に到着して、いつもの応接間でソファに座る。

 そこへやってきたのは、デカいおっさんだ。


「俺は、冒険者ギルドのギルマスでカナンドという。今回は、本当に世話になった。ありがとう」

「いえ。できることをやっただけですから。でも、数人は既になくなっていたので」


 どうやら、既に聞いたらしい。

 今はそれぞれが事情聴取をされてるらしいんだが、ドラコはベッドに横たわったまま、話をしてるんだって。まあ、酷かったからな。


「ドラコが一番酷かった。自分でも諦めてたみたいだけど、無理矢理治療したんだ。でも、リザードマンであれほどのパワーがあるんだな、すごい回復力だった。メシも食ったし、飲み物も飲んだ。だけど、出血が多かったから、それだけが心配だったんだ」

「ふむ。タケルが空間持ちでよかった。数える程しかいないぞ、そんなの?」

「え? そうなのか。俺、自分で作ったんだけど……」


 はあ!?


 あはは、ウイルとカナンドが驚いてるけど。


 二人を前にして、ランクAの各階層のドロップ品を教えることになった。それで魔物がわかるからって。

 急いでたから、全く見てないけど、と前置きしてからストレージの今日の階層ごとの明細を伝える。

 ふむふむ、と職員がメモを取ってるけど、大変だな。

 途中で喉が渇いたので、食堂に行こうと思ったんだけど、持って来させるからと言われたので、再び腰を下ろす。

 結局、一時間ほどかかって、十四階層までの内容を伝えた。


「それにしても、よくそれだけ回収できたな」

「ああ、それか。ダンジョンに潜る前にストレージ設定した。俺とハク、ニジの狩った魔物のドロップ品は、自動で俺のストレージに回収できるように。でないと、いちいち拾ってられないだろ?」


 ニジ、ハク? と首をかしげるカナンドには、ウイルが説明してくれる。その間に、俺はパウンドケーキを食いまくってる。ミルクと一緒にね。


「ドロップアイテムはどうするんだ?」


 やっぱり来たよ、この話。冒険者ギルドも同じか。


「今回はとりあえずランクSに潜ってからだな。一応、最下層まで行ってみるつもり。まあ、初っぱなから楽しいやつらが出てくるだろうし、少しワクワクしてる。そのあと、戻ってくるから。ハクとニジもBがあまりにつまらなかったから、明日からの十五階層からはボス部屋も入るし喜ぶんじゃないかな。Sは、危険なら、戦うのは俺だけになると思うし、最終的には魔法で殲滅する。その方が早いしね」


 おお? とカナンドは理解できないらしい。

 少し落ち着いたんだろうか、こちらを向いて問いかける。


「なあ、なんで冒険者にならなかった?」

「冒険者? なろうと思ったよ、最初は。でも、中に入ってやめた。だってそうでしょ。最初はFランクからだしね。その時の俺のレベルは35だった。それでも、中に入れば、ガキの来る所じゃない。返ってママのおっぱい飲んでろ。そんな言葉しか出て来ない。そしていじめかと思うようなやつがいる。その時、突っかかったやつの脚はなくなったよ。ハクの登録をしてもらいに行っただけなんだけどね」

「おいおい、レベル35ってか。それならすぐにでもBランクだぞ。で、今はどれくらいだ?」

「うーん、言いたくないなぁ。まあ、あえて言うなら、さっきのレベルの倍以上かな。スキルも全ては見られなくなってるんだ。探索者協会で水晶に手を置く前に隠蔽するの忘れたから、失敗したよ」

「お前、そんなもん忘れるなよ……はぁ、なんとか登録してくれないか? お前の話はここのマスターに聞いた。それに今のドロップアイテムを聞いても、おそらく問題なく領主様も国王もSSランクで間違いなく頷くと思う。なあ、頼めないか?」


 あはは、頭を抱えられてもね。国王とか聞けば余計に無理だよね。


「俺は貴族とか王族が嫌い。ある国の国王と宰相は嫌いじゃないし、そこのギルマスも解体場長も気に入ってる。それ以外は大嫌いだ。ここのギルドにも聞いた、魔物の解体してくれないかって。でも、あまりにも遅すぎるし、やる気はないみたいだな。だから持って帰った。時間停止で容量無制限だから、問題ないし。同じアイテムボックス鞄も持ってるしね。ハクにも着けてるんだよ、同じアイテムボックスを。一人で森に狩りに行くことがあるから」


 はぁぁぁぁ~と長いため息が聞こえる。


「悪かった。魔物の解体を希望するやつが少なくてな。どうしてもダンジョンが中心になってしまう」


 まあ、そうでしょうね。俺はどっちでもいいけどさ。


「それで、俺は戻っていいかな。そろそろメシを作ってやらないとね。楽しみにしてるからさ」

「メシはお前が作るのか?」

「そうだよ。料理スキルも持ってるし。ねえ、ウイル。ここから空間に入ってもいいかな」


 どうぞどうぞ、といったんだけど、引き留められる。そういえば、報酬をもらうの忘れてた。

 かなり膨らんだ革袋をもらってサインした。そのままストレージに入れたら、カナンドが驚いてたよ。でも、無視して空間を開いて中に入った。引き戸が閉まるときに、ちゃんと手を振っておきました。


 ただいま~と中に入れば、ハクは温風に吹かれている。ニジもタオルの上で転がってるね。テーブルとかタオルとかは用意してあったんだけど、できるよね、うちの子たちは。


 じゃあ、とハクのブラシを持てば、ニジがかけてくれるらしい。背中に乗っかって身体に半分ブラシを取り込んで、前から後ろへと滑る。

 これ、面白いね。足下は、身体を伸ばしてブラッシング~

 いろいろと工夫してくれるんだ。成長してるよ、みんな。本当に楽しい。



 じゃあ、ご飯作るからね、と声をかけてキッチンにたつ。

 今日は何を作ろうかな。

 最近、唐揚げは作ってないなぁ。じゃあ、そうするか。


 

 揚げ物鍋を二つ取りだして油を入れる~

 たっぷりの油を沸かしている間に、葉野菜とトマト、ポテトサラダをたっぷりのせてそれぞれの皿に準備!

 それはストレージに入れておいて、揚げ物用の油切りトレイを並べておく。とりあえず、二つだね。

 後は、ダブルファスナーの保存袋に、片栗粉を入れてモミモミです。

 唐揚げは塩とニンニク醤油、サーペントはニンニク醤油だね。一番大きな袋にはいっているので、何キロくらいあるのかな。わかんないけど、とにかくたくさん!


 そろそろ油が沸いてきたので、右で鶏系、左でサーペントをあげましょう!

 面倒なので、手を浄化してから手で入れて行くよ。とりあえず、ニンニク醤油系から。


 ジュワァァァーッ! という激しい音と共に、ニンニク醤油の香ばしい匂いがキッチンに充満する。ハクたちの鼻がヒクヒク動いているのが分かって、思わずニヤけてしまう。


 サーペントと鶏系を交互に入れて、左手で箸を持ち転がす。

 次々放り込み、浮き上がってから、少し待って網であげます。今日は二度揚げはやめました。時間がないから。

 

 コロコロと揚がってゆく唐揚げをみて、二人はヨダレを垂らしてる。汚いよ、二人とも。

 とりあえず、揚がった分だけ、二人に分けて盛り付けます。パンはそれぞれ籠一杯に出しておこう。


「先に食べてていいよ。まだまだあるからね」

「うん。いただきます!」

「ピピピィ~」


 あはは、熱々なのに大丈夫かな。

 俺は揚げ鍋の前に戻って、一心不乱にあげる。唐揚げ王と呼んでもらおうか。

 

 2つ目のトレイが山盛りになったので、新しい肉を放り込んで手を洗い、二人の皿に分けていく。嬉しそうに再びたべ始める二人。かわいいね、ホントに。


 結局、一時間半、揚げ通しだった。

 二人は既に終わって、デザート中。

 俺は揚げたての唐揚げをデカい保存容器に入れてゆく。全部で保存容器三個できた。

 残りは俺の分。

 炊飯器のご飯は、少しくたびれてるけど、それでも白米があう!

 葉野菜にマヨネーズをかけて、口に押し込んでゆく。旨い。そのひと言だ。

 鶏系の肉もまだまだあるから大丈夫。サーペントもドロップアイテムにたくさんあった。だからしばらくは大丈夫。


 ハフハフいいながら食べてると、ニジが水をコップに入れてくれる。

 ありがとーっと撫でてからゴクゴク飲み干した。俺の水と同じくらい旨いニジの水。うちは水を買う事はないね。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


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