第35話 お宝鑑定中、自分のステータスを確認してひっくりかえりそうになった
「ああ、タケルさん。ひと休みに戻られたのですね。いかがでしたか、ランクBは。どのあたりまで行かれました?」
「ん? 最下層まで行ってきたよ」
「は、い?」
「だから、最下層まで行ってきた。ちゃんとダンジョンの核は取らずに戻ったから心配いらない」
「……ええと。どうぞこちらへ……」
何やらザワザワと探索者協会の中がざわめいている。
「あの。どうぞおかけください」
で、なんだ?
「あ、あ、そうです。それで最下層まで行かれたのですか。何階層ありましたか?」
「三十六階層だった。ランクBはあまり楽しくない。次はランクAにするか、Sにするかと思ってるんだ」
「は、はは。なるほど、面白くなかった、ですか。それほど魔物が弱かったと?」
「違う。おそらく普通の冒険者や探索者じゃあ無理だと思う。十階層からはほぼBランクの魔物。途中でAランクも混ざり始めるしね。でも、それだけ。三十階層過ぎたあたりからは、ボス部屋にはSランクがいるよ。まあ、相対的には強いのかもしれないけど。俺たち的には期待外れだった」
なるほど、とウイルは腕を組んで考え始める。ただし、職員は、俺の言葉をメモっているから大変だ。
「理解しました。タケルさんたちは、AまたはSランクの方がいいでしょう。ところで、ドロップ品は?」
「一応持って帰ったよ。どのあたりを見たい?」
「そうでうね、できれば全てを。で、踏破時間はどれくらいでしたか?」
「んーっと、昨日あれから入って、戻ったのは夜中過ぎだった。それと、全部出すのか? まあ、いいけど。ここじゃ無理だ」
「では、大会議室に」
はいはい、と俺は階段を上がる。ニジとハクは空間に入って昼寝するそうだ。
その場で空間を開き、二人が入った後、しっかり閉めておく。当然、ウイルはポカンとしていたけど。
大会議室というところには、シートのようなものが敷かれている。そこにゴロゴロ出して行くんだけど、階層ごとに分けてほしいと言われて、面倒だと文句を言いながらファイルごとに取り出して行く。一階層出すごとに、それは区切られて大きな紙に階層を書き入れてからおいて行く。
本当にお役所仕事は……
とりあえず、言われるままに全階層のドロップ品を出し終わった。
正直疲れた。
「これは素晴らしいですね。どのあたりまで買取をさせていただいてよろしいですか?」
「そうだな、とりあえず、二十階層くらいまでの魔石はいらない。あと、中級ポーション以上は持っててもいいかと思う。それ以外は、インゴットは残す。そのうちに剣を作ってみたいから。そうだな、あとは鉱石のヒヒイロカネは加工するのも難しいらしいから、持っててもいいだろう。あとは、マジックアイテムは考える。宝石はいらない。一度鑑定はしてあるから、マジックアイテムは宝石と間違うことはないだろうね。武器、防具については見積もり次第だな。まあ、とりあえず、不明なものは聞いて欲しい」
「では、低級ポーションは全てよろしいのですか?」
「うん、いらない。治療した方が早いから。本当は中級以上も必要ないけど、どこかで売った方がここより高い気がするから。あ、あとね。これは出さなかったんだけど、最上級ポーションと、数本のエリクサーがある。これは持っておこうかと思ってるんだ」
「……え、えりくさー」
あはは、固まってるじゃん、ウイル。
「あの。それは……一応、領主様に報告してもよろしいでしょうか?」
「別にいいよ。だって、明細作るのに時間がかかるんだろ? その間に、美味しいケーキでももらえれば待ってる」
すぐに、と男がひとりかけだした。
とりあえず、ここにいるのは善良なものだけ。それなら問題ないね。
出されたケーキはそこそこ旨い。ケーキよりもパウンドケーキの方が旨いかな。紅茶も旨いね。あとはミルクがあうんだよね、このパウンドケーキ。しっとりとした生地の甘さを、冷たいミルクが優しく流してくれる。……はぁ、やっぱり甘い物は正義だな。殺風景な会議室だけど、この瞬間だけは救われるよ。
でも、俺はパンケーキの方が好きかな。しっとりしてるし。美味しいでしょ。
さて。
まだ時間がかかりそうだけど、どうするかな。
その間に、ステータスでも見てみるか。
ステータス!(初ダンジョン踏破後)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
種族:人間 十六歳
職業:魔法剣士
レベル:77
生命力 39万8447
攻撃力 1万2500
防御力 1万2500
魔力 25万9800
スキル:居合道術レベルMAX 剣術レベルMAX 算術レベル10 交渉術レベル10 気配察知レベル37
エクストラスキル:言語理解 世界眼レベルMAX 治療・回復レベルMAX 結界レベル48 鑑定レベルMAX 上級五属性魔法レベルMAX 無属性魔法レベルMAX 時空魔法レベル45 再生レベル31 料理レベル44
[隠蔽]ユニークスキル:ホームセンター・スーパーマーケット(近藤 透より譲渡)レベル10
[隠蔽]特殊スキル:タケルの空間 ストレージ
ハク:眷属:バリアルト・スピリチュアルビースト・パンサー(特殊個体)
ニジ:眷属レインボウ スライム(特殊個体)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「何これ!?」
あ、思わず言っちゃった。マズい、黙っていよう。
でも全開みた時からレベルが30近く跳ね上がってる。おまけに、時空魔法や料理までレベルがつき始めてる。……BランクでこれならSランクなんて行ったらどうなっちゃうんだ?
「タケルさん、どうしたのですか?」
ウイルの声に、慌ててステータス画面を消した。
「いや、別に。まだ終わらないのかな」
「すみません、もう少しかかります。そうだ、領主様に会っていただくことはできませんか?」
「えー、なんで? 嫌なんだよ、貴族って」
「大丈夫ですよ、こちらの領主様はいい人ですから」
貴族でいい人?
そんなのいるのか? 知らないし知りたくもない。
「今の所はそんな気になれないね。それに、俺たちは初のダンジョンなんだ。もう少し楽しんでからがいいね、どうせ会うなら。そうでないと後悔が残るし」
「なるほど。わかりました、では、我が国のランクAとSに挑戦してみてください。できあがったようですが、ご自分が確保される物を納めてください。残りは買取させていただきます」
それなら俺は自分の欲しいものだけアイテムボックス鞄に入れて行く。ただし、武器とか防具は鑑定額次第。
それはすぐにやってくれるらしい。
じゃあ、その間にランクAとSの冊子を読むことにした。
まあ、あまり期待はしていないんだけど。
あ、そうそう。
あのステータスはなんだよ。
レベルも一気に上がってたし、他の数値もかなりのアップ。信じられないことだ。
魔力なんかとんでもない数になってたぞ。これ、どうなのかな。
無属性魔法はいきなりMAXだし、よくわからない再生はレベル31、時空魔法も45、料理もレベル44になってた。いきなりレベル出現だよ。再生なんて、意味がよくわかってないのに。
あと、嬉しい事があった。
透さんから譲り受けた『ホームセンター・スーパーマーケット』のレベルが10になってた。これはとてもありがたい。何が変わったのかはわからないけど、暇な時に確認してみよう。
まあ、強くなれたということかな。多分だけど。
それはありがたい。
料理も違うものを考えて二人に食べさせたい。あまり日本での生活で家庭料理にふれてこなかったから、レパートリーが少なすぎる。それをなんとかしなくては。日本食多めになるだろうけど、肉も当然つける。うん、それで挑戦してみよう。
高ランクダンジョンの冊子をみたけど、あまり有益な内容ではなかった。そこそこ潜っているようだが、生きて戻ったものが少ないので仕方がないだろう。とりあえず、それぞれ最下層までは行ってみるつもり。
いちいち、剣で戦って、とかやってたら面倒だ。三人で魔法を使おう。ニジも水魔法と氷魔法が上手になった。ハクは四属性全て使える。俺もいろんな魔法をイメージで使えるらしい。空間の中でしっかり休憩を取りながら進む。そう決めている。
結界を張っておけば出入りはできる。なるべく、危険のない場所を探そう。
「お待たせしました。では、こちらが明細でございます」
ウイルが差し出したのは、売ると決めた魔石やポーション、宝石類などだ。まあ、金額はいくらでもいいんだけど、宝石はかなり高い気がする。ポーションは探索者たちに販売するんだろうし。
「なあ、宝石がえらく高くないか?」
「貴族たちの間で、迷宮産の宝石や貴金属が人気です。それに、容量無制限・時間停止ではないですが、それなりのマジックアイテムもかなりの金額になります。あとは、武具、防具などですが、こちらでいかがでしょうか」
ウイルから見せられたのは、神級、国宝級などの剣が三本。防具などもそれに伴いグレードがよかった。
合計で、白金貨二百十一枚大金貨三枚金貨九枚銀貨八枚だった。
「こんなにするのか? 驚いたな。ビックリだよ。もし、エリクサーがあったらどうなるんだ?」
「そうですね、各国の王族相手の販売になるでしょうから、販売価格は白金貨二百枚をくだらないでしょう。買取は、百五十枚くらいになるでしょうが」
「へえ~、すごいもんだな。でも、エリクサーって、人の命を助けたり、死んですぐなら生き返ったりするんだろ? 欠損も確実に復活するそうじゃないか。まあ、国王とかならそれがあった方がいいのか。はぁ、俺には理解できないな。傷薬くらいかと思ってた」
あはは、傷薬ですか、とウイルが呆れてる。
「まあ、武具や防具はどっちでもいいよ。買うなら売る。それくらいだな。金には興味がないけど、買いたたかれるのは嫌いだ。自分たちの行動を値踏みされているのと同じだからな」
「それはわかります。では、武具や防具も入れて、白金貨二百十五枚でお願いします」
「いいの、値上げしても」
「高レベルの鑑定が使えるタケルさんの前では小細工はできません。はっきり理解いたしましたので」
なんだよそれ。
まあ、いいけど。
じゃあ、と白金貨の入った豪華な革袋を受け取った。何やらマークがあるなと見ていれば、領主の家紋らしいね。まあ、どうでもいいけど。
それなら俺は戻るよ。
明日からですか、と聞かれたのでその予定だと伝えて協会をでた。
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