第32話 探索者登録したんだけど、ステータスを隠すの忘れてた!
ダンジョン都市への行程はハクでかけても三日かかった。普通なら一週間以上かかるらしい。
その途中で、ゴブリンの集団に襲われている商人を助け、盗賊に殺される寸前の冒険者と豪商を助けた。礼金をもらったが、そのままアジトを殲滅し、お宝をゲット。どうやら豪商をメインに襲っていたらしく、お宝満載だぞ。
ハクに問えば、この街道はどうやら城塞都市に向かって荷を運ぶ商人が必ず通るらしい。迂回路はないって。
まあ、俺にとってはいい話しなんだけど、こう何度もあると嫌になる。そう、たった三日の間に助けた商隊は四つだった。
魔物自体は大したことなかったが、盗賊のアジト巡りが嫌になるほどだったよ。ストレージのファイルがドンドン増えてゆく。これ、どこかで売らないと面倒だな。
やっと到着したユーラスト国のダンジョン都市の入国審査では、ハクが従魔だというと驚かれた。その上、ニジのことも騎士たちが大騒ぎだ。
いや、騒いでもらっても何もでないよ?
とりあえず、領主に報告はいくらしい。だからといって、何も問題はないときいたけど……嫌な予感がする。
『ハク、ここのギルドは魔物の解体とかするのかな』
『おそらくすだろうけど、聞いてみた方がいいね。それと、探索者登録をするんでしょ?』
『うん。それも聞いてみた方がいいね。じゃあ、ギルドに行くか』
『それが良いよ』
とりあえず、ハクとギルドを探す。マップでは確認できたので、この道であってると思うんだけど。
探索者協会という場所も探さないとな。
やっと見つかった冒険者ギルド。
だが、あまり混み合ってはいない。まあ、昼だからかな。
「すみません、こちらは魔物の解体をしてもらえますか?」
「いらっしゃいませ。一応できますが、人数がすくないので時間がかかります」
「はあ、そうですか。それならいいです。あと、探索者協会というのはどこに?」
「ええと、冒険者資格でも入れますよ」
「いえ、俺は冒険者じゃないので」
そうですか、と首を捻ってたね。
それでも親切に場所を教えてくれた。もう少し先らしい。じゃあ、行こうか。
ニジはいつも通り俺の前掛け鞄から顔を出しキョロキョロと観察中。ハクの背に乗っている俺。だって、あまり端を歩くと、小さな店を引っかけそうだから。どうやら素材を売り買いしている場所らしい。
「ここじゃないの、主」
あ、ここだ。
ハクは大型犬くらいになって、俺はニジの入ったリュックを前にかけアイテムボックス鞄を斜めにかけて中に入った。
そこには思ったより人が沢山いておどろいた。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょう」
「探索者登録をしたいのですが」
「承りました。では、こちらへ」
本当、この世界は受付嬢が美人ばかりだな。眼福眼福~って、俺、おっさんみたいだよね、嫌だ……
紙の登録用紙を出されて、それに記入する。
名前と剣士だけだけどね。あと、従魔の欄に、ハクとニジのことを記入した。
「はい、これで結構です。こちらの水晶に手を置いてください。血を一滴もらえますか? このピンで傷を付けてください」
はい、とピンで刺してから、金属タグに血を落とす。水晶の下にそれを滑り込ませて、手のひらをおくようにいわれたので、そのままおいた。
少しふわりと光ったと思ったら、一気に光が辺りを照らす。これ、どういうこと?
あ、ステータスか!
もともと隠蔽されている部分は見えないだろうけど、隠すの忘れてた。どうしよう、これヤバイかも。
パリン、と聞こえて下を見れば水晶が割れていた。
「え? 割れた。す、すみません、少しお待ちを」
あ、お姉さん、行っちゃったけどどうしようかな。
「お待たせしました。探索協会所長のウイルです。あの、少しお話を」
はい、と応接室に通された。
どうしよう、水晶をぶっ壊したし、怒られるのかな。
「タケル・ヤマトさん。ステータスを見せていただきましたが、すごいですね。なぜ冒険者にならないのですか?」
「は? あ、あの。ランクとか、ガキは、とかいろいろと面倒だし難癖付けられるので商人になりました」
「商人? 何を販売されるのですか?」
「ええと、魔物の素材とか盗賊討伐をよくするので、そのお宝とか、です」
「なるほど。そういうことでしたか。それにしてもランクも高いし力も素晴らしい。このような方がいるのですね、信じられません」
「最近、ステータスを見てないのでなんとも言えませんけど。あははは……」
かなり素晴らしいんだって。
それに従魔も素晴らしいって。ダンジョンにもハクとニジも入れるらしいので、お宝があれば、協会でも買取査定をさせて欲しいと言われた。まあ、それはいいですが、と答えるしかないでしょ。
「こちらがヤマトさんの探索者カードです。冒険者カードのようにランクが面に出てはいませんが、こちらの小さな宝石で探索者にもランクが示されています。ある程度のランクの方から宝石が付きますが、ヤマトさんは、これです」
「ええと、これは?」
「金剛石です。まあ、トップクラスということですね。普段は首から下げてもらえば見えませんが、宿やダンジョン用品の店では割引があります」
なるほど、恩恵はあるということか。それ故の登録料銀貨五枚か。まあ、それを出せないレベルの人間は入れないということだろうね。
その後も、注意事項を聞く。
冒険者たちには要注意だと言われた。
ドロップ品を盗んだり、それ目当てでパーティーで人を殺めたり。とんでもないらしい。そういうときは抵抗してもいいそうだ。もし死んでも、ダンジョンが吸収するし、罪にもならない。ただ、それを逆手にとって、暗殺を請け負う輩もいると聞いた。
魔物よりも厄介だね、ダンジョンって。
ただ、この探索者カードは、世界中どこでも使えるし身分証明にもなるらしい。うん、それはありがたいね。
宿はどちらにされますか? と問われたので、とらないと伝える。
当然、なぜ? と返ってくるんだけど、野宿かと聞かれたので、他言無用でと空間のことを話した。
作ったのかと問われたので、自分で作ったと答える。
所長さん……ウイル?
あ、フリーズしちゃったね。
「あの……」
「し、失礼しました。本当に規格外ですね。では連絡のとりようがないですね」
「一応、水晶は持ってますけど」
「そうですか! まあ、あまり深い場所だとダンジョン内でも届かないですが、ある程度までは届きます。何かありましたら連絡を」
「はい、ありがとうございます」
最初はどこから入ればいいかと問うてみれば、地図をもらった。
こんなにあるのか、ダンジョン。
どうやら、ダンジョンの上に都市があるらしい。まあ、そのまんまだね。
それぞれ、攻略階層が書いてあるんだけど、最下層まで行っても、核はとらないでほしいと言われた。なぜ?
とってしまうと、迷宮が終焉に向かってしまうから。まあ、そういうことだろうね。
「とりあえず、国とか貴族とか豪商とか。俺の邪魔をしないでもらえれば取りませんよ。ですが、無理強いしたり攻撃したり、従魔に危害を加えようとしたりと妙なことがあれば、それは諦めてほしいです」
「む。まあ、そうでしょうね。では、それは協会の方から国に打診しておきます。一番やっかいなのが貴族たちですから」
予想通りだね、どこも同じか、貴族は。
じゃあ、協会を出た。
そこでやってきたのは、冒険者パーティー。
「おい、ガキ。その従魔、お前のか。俺たちによこせよ、充分使ってやるから」
はい、出ましたよ、これ。
やっぱり絡まれましたね~
じゃあ、協会のウイルに連絡しましょう。
「ウイルさん。今、協会の入り口で冒険者たちに絡まれてるんですが。はい、従魔を渡せと。自分たちが使ってやるって言ってますが、このハクは簡単に御せる魔物じゃないんですよ。対応してもいいですか?」
すぐに行きます! と水晶が切れた。
「なんだよ、協会の人間に泣きついてもどうにもならんぞ。あいつらは俺たちより弱い」
「ふうん。で、なんで俺があんたたちより弱いって思ってるの?」
「はあ? お前みたいなガキに負けるわけないだろうよ」
「ほんと、冒険者って単純だな。相手の力量も測れないって悲しいよね」
なんだと! と全員が抜刀した。
あ、やっちゃったよね、こいつら。
刀をすらりと抜き放てば、冒険者たちが一歩引く。
「やっちまえ!」
ドッと一気に走ってくるんだけど、これで問題ないよね。それにしても遅い。
「君たち、ここで争いはやめてもらおう。冒険者ギルドに連絡するぞ。ペナルティになるがいいのか?」
「ウイル、そんなこといっても無駄だよ。ハクに対しての難癖だし。だけどね、俺は主として抵抗するから。いいよね」
仕方ないですね、とウイルは諦めムードだ。
それを見た冒険者たちは一気に駆け出す。
面倒だけど縮地で距離を詰めて、最初の一人の脚を切り裂く。次のやつは、ひるんだけど止まらないよねえ。
続いて腕を手首から切り落とした。
魔法を詠唱し始めたのは魔法使いか。それなら、お先に失礼!
<氷弾!>
バシュッと右肩を撃ち抜く。
重戦士だと思われる男は、盾を持って突進してくるんだけど。さて、どうするかな。
<重力魔法>
ドン! と地面にたたきつけられた男は身動きがとれない。
残るはリーダーだけ。
「ちょ、ちょっと待ってくれ! 俺たちが悪かった、な、頼むから」
「そんなこと言っても、無駄」
シュッと振り下ろされたのは俺の刀。
男は、右腕を切り落とされて、叫び声を上げる。
「やめてくれとか言いながら、長剣振り回して謝っても意味がないだろうよ。何やってんの、いい年した大人が」
静まりかえる協会の前で、タケルはパチンと男立てて刀を鞘に収めた。
<治療>
さっきまで息巻いていた冒険者たちは、治癒された傷口を押さえながら、バケモノを見るような目でタケルを仰ぎ見ていた。
【あとがき】
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