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第29話 商人ギルドでの一幕。周りの人たちは呆れてましたけど?

 でも、これ。車輪はまあ、こんなものか。御者台には二人乗れるのか?


「御者台には二人が乗れます。通常は一人で馬一頭でしょうが。後ろはゆったりとお二人乗れますので、もしお荷物が多いときには、後ろにお荷物、御者台にお二人でと言うことも可能です」


 なるほどね、これで疑問は解決できた。

 

「これ、普通の馬が引くものですよね」

「左様でございますが、どのような馬を使われますか?」

「ええと、通常は普通の馬になるんですが、少しの間だけ、従魔になりそうなんですが」


 それなら、見せてくれというので、抱いているハクを下ろして、大きくなってもらう。


「魔獣ですね。従魔ですか?」

「はい。どうでしょうか」

「では、こちらで一度付けてみましょう。ベルトの調節で問題ないかと思います」

 

 なるほど。じゃあ、とクリスさんがハクに少しごめんね、と声をかけて馬車を引き出し、腰の前側に広いベルトを回してから胸へと取り付けを始めた。


『主。あんな簡素なもので良いの?』

「うん。あの方が使いやすいと思うんだ。荷物を積むのも小物がおおいから、簡単だし。幌もしっかりしてるから大丈夫だと思うよ。箱馬車だと、先様に向かうのに、少し大げさになるでしょ」

『なるほどな。そこまで考えてるのか。さすがは私の主だよ』


「できました。これでどうでしょうか」


 少し動いてと言えば、数歩前に行き、左右に身体を動かしてる。


『これは軽くていいね。これなら私が本気で走ってもバラバラにはなさそうだね。デザインも悪くない。後は私が退きやすいように少し改造するよ』』


 そう、よかったよ。それはハクに任せておこう。

 とりあえず、外してもらうことにして、付け方を教わる。ふんふんと見ていれば理解できちゃった。簡単だね、これは。

 

「じゃあ、どうしようかな。このまま付けててもいいけど、とりあえず、外してもらう?」

『どこか買い物に行くんじゃないの?』

「いや、まだ聞いてないんだ」

 

 じゃあ、とりあえず外してください。持ち帰ります、と言えば驚いてるね。思わず爆笑する。アイテムボックスに入れますから、と伝えて、外してもらった。

 ハクは元の大きさに自分でサイズを変えたよ。

 

『何か旨いものがあれば欲しいよ』

「うん、任せてよ。もう少し待っててね」



「あの、話ができるのですね」

「ええ。できます。ですが、おそらくあの子だけだと思いますよ、特殊個体なので」

「なるほど。ヤマト様は、そのスライムといい、珍しい従魔をお持ちですね。それにあの従魔が付けていた従魔の首輪はヒヒイロカネではないですか?」

「そうですよ。この子にも身体の中に入れてもらってます」


 そう言って、ニジを持ち上げて見せた。

 「おお、本当に入ってる」とクリスさんは驚いてるよ。


「他にも買い物したいんですが、いいですか?」

「はい。私でわかることなら対応いたします」

 

 じゃあ、と店内に戻って、とりあえずニジの買い物だね。

 何が欲しいの、とさっき見ていたバッグの所へつれて行く。これがいいと指さすので、手に取ってみれば、少し深いかなと思うくらいだし、持ち手もびろーんと広がる。うん、これいいね。

 あとは、と聞けばあっちだと指を指す。

 そこにはおもちゃがあって、絵本があった。 

 絵本がいいのか、と手に取ってみれば、それじゃないと言う。どれ、と身体を寄せてやれば指さすんだけど。それ、あんまり絵はないよと開いてやれば、ふんふんと楽しそうだ。


「これがほしいの?」


 ピュイ! と隣の、その隣のもと指を指す。見てみれば続き物らしい。それじゃあ、と全部くださいと言えば、かしこまりました、と焦ったクリスさんは、これでいいですか、と確認してくれる。


 ピュイピュイ!

 

 身体を震わせて喜んでるよね。

 他にはないのか? と聞けば、満足そうに○をつくる。あはは、ちゃんと意思表示できるじゃないか。


 じゃあ、次は丸いシュークリームの様な形のエクレアを見る。


「どうぞ、味見してください。新作のお菓子です。中にはクリームが入ってますので」

 

 三つもらってニジとハクに渡す。見たところ、クリームが黄色い。これ、本当にエクレアじゃないか。

 ひと口頬張れば、懐かしい感じがする。これ、エクレアだよね。かなり美味い。


「これ、とても美味しいです。鑑定しても今朝の入荷になってますし、いいですね。全部買っていいですか?」

「あ、はい、もちろんでございます。ありがとうございます。この辺りは今朝入荷したものですが、いかがでしょうか」

 

 そう言われて確認すれば、ふむ、これは珍しいね。日本で言えば、なんだろう、饅頭みたいだ。

 どうぞ、と渡してくれたので、ニジとハクに渡す。俺も口に入れたんだけど。饅頭だよ、これは。じゃあ、こっちはおはぎか?

 どうやらそうらしい。練ったら粘つく米を使うんだって。やっぱりおはぎだろうよ、これ。

 じゃあ、これとこれ。あと、こっちは? 中に何が入ってるの? 果物か?

 あ、イチゴだ。イチゴ大福だよ、これ。

 試食でもらったものは、とろけるような求肥の柔らかさと、甘酸っぱいイチゴの果汁。まさか異世界でイチゴ大福に出会えるなんて……。口いっぱいに広がる優しい甘さに、思わず鼻の奥がツンとした。

 おそらくだけど、これも稀人か勇者の一行が開発したんだろうね。


 じゃあ、と饅頭、おはぎ、イチゴ大福。名前は違うけど、それらを全て買うことにした。あとは珍しいものはないかな。


 まあ、でも。ここじゃなくても各地にはあるのか。

 あ、そうだ。食パンを買っておこう。それと卵だよ。食パンも今日作ったやつだね。隣りにはホットドッグのパンみたいなのがある。じゃあ、食パンは長いままで十本。ホットドッグ用は三袋買います。バゲットもあるだけ買いましょう。あと卵は?

 おお、さすがだね。これも朝どれだよ。

 じゃあ、卵は大箱で三つ。全部で百五十個ですけど、それくらいすぐなくなりますよ、うちは。


 どうやら、卵は残りひと箱らしい。じゃあ、それも買いますね、と答えれば、嬉しそうにクリスさんが台車に乗せたよ。他の人が饅頭とかエクレアとかは運んでくれるらしい。

 

 会計ができたようなので、明細を確認する。

 うん、問題ないね。

 では、商人ギルドのカードを出して精算です。大金貨二枚ほどでした。馬車は大金貨八枚銀貨二枚でした。

 合計で白金貨一枚と銀貨二枚です。


 しっかりお支払いして、手提げ袋に入れてくれた商品を全てストレージに入れます。一瞬で消えた商品を見て、少なからず驚いてますね。それから、外に出て馬車も同じように収納しました。当然、内側に張るキルトもついてますし、ハクに取り付けるベルトもそのままです。だから付けるのは問題ないね。

 クリスさんは目を丸くして、固まっているけど、その瞬間、目の前の馬車が音もなく消える。


 (みんな驚いてるけど、これが俺たちの通常運転なんだよ。)

 

 俺は、来た時と同じように二人を連れて礼を言い、外にでた。


「美味しいものいろいろあったからね。どこかで空間に入ろうか」

『それならば、森の方へ行けばいいね。そのまま転移すればいい」

 

 なるほどね、とマップを確認して、中型に戻ったハクと俺たちはしばらく大通りを歩くことになった。そのまま引き返した方が早いかなと言えば、その方がこの国から離れるのは早いだろうと言うので、即引き返すことにした。

 来た時よりも人が多い気がするんだけど、どうやら商人たちらしい。

 ハクを見てもさほど驚いてはいないから、いろんな乗り物があるんだろうね。魔獣もいるのかな。

 

「お帰りなさい、タケルさん」

「お疲れ様タケル君」

「昼食でしょ、じゃあ、何を作る?」

「作り置きを出します。ええと、炊飯ジャーのご飯、まだ食べられますか?」

 

 透さんが見てくれたんだけど、問題なさそうだね。


「じゃあ、牛丼にしましょう。それと屋台のフライ、肉串なんかでいいですか? サラダはありますので」


 その場にドンドン出して行けば、大喜びの透さんだ。

 数ヶ月ぶりの牛丼だと、ボウルを持って来て白米をよそっている。

 理解できないのだろう、ケイナさんは、何ができるのかと興味津々だね。


 牛丼か、と嬉しそうなんだよね、ハクもニジも。

 じゃあ、味噌汁かな。

 大きな寸胴を取り出して中をみれば、熱々だね。

 それならとケイナさんがそれぞれのボウルに注ぎ分けてくれる。ありがたいよ~

 透さんがご飯がないというので、ストレージから保存容器を取り出した。

 おおお! それを開けて一気に盛り始めたよ。じゃあ、俺は牛丼をのせていこうかな。

 

 最初にハクのでっかいボウルに肉とタマネギをどっさり入れて汁をかける。次にニジの分。中くらいのボウルに山盛りにした。そしてスプーンだね。

 次は透さんとケイナさんの分。それぞれの前に置いて行けば、味噌汁が並び始める。じゃあ、と大皿にフライや肉串を盛り付ける。

 当然ハクの分は串を抜きましたよ。あ、ニジのもね。

 後は葉野菜をボウルごと取り出して置いた。


 いただきます、と両手を合わせてがっつきます。うまうまですよね、牛丼。


「懐かしいなぁ、旨いだろ、ケイナ」

「ええ、とても美味しいわ。でも、これは簡単にできるの?」

「すごく簡単ですよ。多分、ケイナさんなら再現できると思うよ」

「じゃあ、落ち着いたらやってみようかしら」


 それがいいよ、と笑顔で食事を続けた。


 

 勢いに任せて食いまくった俺たちは、もうデザートも入らない。

 とりあえず、果実水を飲んでますけど。

 そうだ、渡しておこうかな。


「これ、指輪のアイテムボックスです。中身は空ですけどね。使ってください。容量無制限だし、時間停止機能付きなので、生き物は入らないけど、できあがった商品とか、食事の作り置きとか、いろいろ使えます。あと、これは通信用の水晶です。これもプレゼントするので、新作ができたら連絡ください。近くにいれば見に行きます。なにか不具合が起こったときにも遠慮なく」

「これはさすがにもらえないよ。いったいいくらすると思ってるんだい?」

「問題ないです。自分が買ったものは自分で使いますし。盗賊の持ち物でしたけど、全て新品ですので」


 それは、と戸惑っているんだけど、受け取ってよ~


「とおるさん。主は二人のことが心配なんだ。だから安全の為の保証だと思って持っててほしい。その方が主の心も落ち着くから。唯一だよ、主がここまで他人のことを気にするのは。同じ異世界から来た者同士、仲良くしてやってほしい」

「……本当にありがとうございます。ハク殿にまでそのようにいっていただいて。私は、今、とても幸せです。同郷の人に助けられて、別の道を歩くことができる。本当に感謝いたします」


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