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第25話 トールさんに会い、即断即決で皆一緒に移動することにした

「あの。うちにご用でしょうか」

「はい? あ、すみません。俺はタケルと言います。トールさんにお目にかかりたくて」

 

 そう言った途端、女性は焦ったように近寄ってきた。


「あの、すみません。トールの事は口に出さないでください。どうぞ、中に入って」


 はい、とハクを見れば、小さく頷いている。

 ニジが入ってる鞄をかけ、いつものアイテムボックス鞄をかけて裏口から中に入った。


「あの。もしかして、稀人の方ですか?」

「はい。よくわかりましたね」

「一応、多少鑑定ができるので」

「なるほど。で、透さんは地下ですね」

「はい。ここでは、なかなか話せないので、地下へ行きましょう」


 はい、と地下へ向かって階段を降りる。そこには小さなドアがあった。


「あなた、私よ。入るわね」

「ああ。お帰りケイナ。あ、その方は?」

「初めまして。俺は、大和 武尊と言います。俺も稀人と言われる人間なんです。ローランリック王国の勇者召喚に巻き込まれて。それで王宮を追い出されました。俺は、居合道の某流派の後継者だったんですけど、なぜか職業がその流派の名前になってて。それを勇者の中のひとりが華道の流派だと勘違いして。まあ、結果としてそれでよかったんですけどね、俺にとっては」

「それって、完全に巻き込まれだよね。どういう具合で巻き込まれたのかな」


 俺は歩いていただけで、と詳しく話した。


「なるほど。私は、少し違うんだけどね。で、なぜ私の事を知ったんだい?」


 盗賊討伐で商品を見つけたと正直に話す。それで鑑定に出ていたから。

 なるほど、と納得してくれたんだけど、透さんは、このスキルがいらないんだそうだ。なぜ? と問うても、嫌なことばかりあって。最初は何も知らずに商品を売ったらしい。その豪商が悪い商人だったから、追われることになった。命まで狙われるのだが、スキルを明らかにしていないので、つかまれば拷問される、仕入れ先を言えと脅される。それがわかっているから、ケイナさんとのことも内緒にしているらしい。

 

 透さんは、ただ、ゆっくりと過ごしたい、それだけなんだそうだ。日本に戻れないことは、理解し諦めた。だが、これから先の人生を捨てたくはない。

 まあ、そうだろうな。それは俺も同じだよね。


「それで、タケル君に頼みがあるんだ」

「なんですか?」

「私のスキルを受け取ってくれないか?」

「はあ? どういうことですか。スキルを譲れると?」


 そうなんだ、と自分のステータスを見せてくれた。

 そこには興味深いことが書いてある。


 どうやら、スキルはひとつではないらしいが、一番大きなユニークスキルがあって、それがスーパーマーケット・ホームセンターらしい。なんでこんなことが? 

 聞いてみれば、透さんは日本で比較的大きなホームセンターの店長だったらしい。その隣りで同じ会社が経営していたスーパーもあった。

 毎日、誰よりも早く店に行って、昨日の売り上げの確認、商品の注文リストなどを確認、発注など、いろいろやっていたらしい。

 その時、どうやら巻き込まれ召喚されたんだろうということだった。

 偶然にも勇者召喚で一緒に、と言うわけではなく、近くの林の中に落とされたらしい。

 

 なるほどね、でも、スキルを渡す、とは?

 どうやらユニークスキルのところに、(譲渡可能)と書いてある。詳細は、本人同士が納得していれば、ユニークスキルのみ、譲渡可能らしい。

 おもしろいな、これは。

 だが、透さんには重荷なだけだって。でも、いつでも在庫があるならいいでしょう? と問うた。どうやら、いくつ商品を取り出しても、在庫が減らないらしい。自動的に補充されているんだそうだ。


 俺にとってはありがたい話だけど、それでいいんですか? と問うてみたら、その他にも頼みがあるらしい。

 透さんとケイナさんをどこか別の国に連れて行ってほしいそうだ。安全に暮らせる国がいいらしい。


「でも、絶対安全な国はありませんよ。といっても、俺が知ってる国は、召喚されたローランリック王国と、その隣のボルック国くらいしか知らないし。ボルック国の人たちはいい人でしたよ、国王陛下も宰相殿も、話のわかる人でした。あ、でも、俺が稀人だとは知りませんけど」

「そうですよね、それは仕方のないことです。できれば、戦争とは縁のない国がいいんですが」

「まあ、そうでしょうね。で、スキルを俺に譲渡して、透さんは何をするんですか?」

「やったことあるのは、営業とホームセンターの店長くらいです。でも、好きなのは建築とか造園でしたね。それ以外なら、ケイナが料理が上手なので食堂くらいでしょうか。それ以外、考えつきませんが、何でもやりたいと思っています。だから、どうか、何処かの国へ連れて行ってもらいたいです!」


 あはは、それはそうだよね。

 少し待って、と俺は神眼を使う事にする。

 この世界で戦争のない比較的安全な国はどこだろう。透さんという稀人が住むための国。

 そう頭に置いて探すことにした。


 そこに出て来たのはいくつかの国。

 俺は紙を取り出してメモをする。

 一番適性があるのは、ヤパニューラ国。前世と似たような国。独自の戦法を持っており、扱いづらいので、他国も侵略対象として見ない。勇者一行が他国より集まって住み着いている。それくらい、住みやすい。


 二番目は、ノースカルル国。

 北の海のある国。だが、冬はかなりさむい。漁師が多いので、危険も多いが、他国にとっても恩恵があるので、侵略対象になっていない。


 三番目は、ボルック国。

 稀人タケル・ヤマトが知る国である。ローランリック王国に対して魔王が戦争を仕掛けると思っているが、それは間違い。魔王は世界一の大国を対象としている。ただ、西の国が勇者召喚の情報を得ているので、敵対視されている。


 なんだよ、これ。

 一応メモした紙を二人に見せた。

 俺の神眼で探したのだといえば、すごい、と驚いていた。

 でも、透さんのスキルには面白いものがあった。無属性魔法が使えるのだ。ランクは低いが、魔力もそこそこある。普通の人より多いくらい。それなら、簡単な魔道具なら作れるんじゃないかと思ってるんだけど、どうだろうか。


 そう伝えて見れば、魔道具? と首をかしげている。

 当然、大きな冷蔵庫とかは別だけど、小さな鞄を拡張したり、小さなアイテムボックスを作ったりということ。魔力が三倍くらいあれば大きなものも作れるけど、その後はしばらく動けなくなる。だから、小さな手提げバッグなどを拡張したりすればいいと思う。普通の鞄より少し値段が高くなるっていう感じかな。できれば、鞄も作れればいいんだけど、と提案してみた。


 それは面白い、と嬉しそうだ。

 ケイナさんが、今、作って売ろうとしているのが、小さな鞄とか手提げ袋とからしい。

 それなら準備ができてるじゃん、と言ってしまった。それはもう嬉しそうなんだけど。

 どんな鞄かと見せてもらえば、なるほど、そこそこのものだね。ニジの鞄を見せれば、すごいと驚いていた。これでも、かなりの金額がしたんだと言えば、いくらかと問うので、大金貨三枚でしたと正直に話せば、ひっくり返りそうになっていた。


 それなら、是非、スキルを受け取ってほしいと言われた。俺としたら最高の事だけど、それでいいの?

 かまわないというんだけど。

 それならホームセンターに革製品を作る道具とかあるなら、とっておいて欲しいと伝えれば、なるほど、と手を叩いていた。


 それからは皮を使っていろいろ作れるキット、指導書、穴開けパンチ、その他金物類などを取り出していた。まあ、すぐに補充されるからいいんだけど、とりあえず、在庫があるものは全て持っててほしいと言うと、このスキルさえなければと、毎日地下で怯えていたトールさんの肩の荷が、目に見えて軽くなっていく。ケイナさんと顔を見合わせて流した涙には、これまでの苦労が全部詰まっているようだった。


 さっそくスキルを渡すというので、少し待ってもらう。

 引っ越し準備を済ませましょうと提案すれば、じゃあ、と持ち出したいものを指さすので、全てをストレージに入れて行く。家具ごとでも大丈夫と伝えれば、大喜びだった。

 小さな家なので、あっという間に荷物がなくなった。挨拶する人がいるかと問えば、透さんがいるので、付き合いをしていなかったらしい。ケイナさんが借りている、この小さな家は、家賃も今月末までは支払っているらしい。それなら、と全てをストレージに入れた後、手紙をギルド経由で送ると聞いたので、どこかの商人ギルドで送ることにした。とりあえず、その場で空間を開いて中に案内する。

 

 あんぐりと口を開いた二人だけど、とりあえず、テントがひとり用しかないと、取り出して中を覗いてもらえば、二人で充分寝られるという。それなら、と使ってもらうことにした。俺たちのテントとは反対側においたよ、それは当然でしょう、夫婦だもの。トイレと風呂の場所は伝えたけど、ケイナさんは俺のテントの風呂を使ってもらうことにした。女性だし、その方がいいでしょ。


 とりあえず、少し待ってもらうことにして、冷蔵魔道具の中に飲み物があるし、パウンドケーキを取り出して置いた。

 入り口は開かなくなるからと伝えて、外にでた。その後、家を出てハクと話し合う。

 ここから空に上がれないかと問えば、問題ないらしい。それなら、と俺たちはいつものように空に上がった。


 それからしばらく飛んで、手前の海産物のある国、サンライズ国へ向かった。

 商人ギルドで手紙を送ろうと中に入れば、受付の人がとてもいい人だった。それで手紙を送りたいと伝えれば、国名と名前を聞かれたので、メモを見せた。すぐに手続きしてくれた。銀貨一枚らしいが、距離と国によって違うらしい。まあ、考えれば安いものでしょうね。


 海産物を見せてもらったんだけど、まあ、普通だね。

 それなら、市場に行こう!

 場所を聞いて市場に向かい、中を見る。

 さっき水揚げされたばかりの魚がたくさんある。鑑定しても、全く問題ない。これ、爆買いしそうだよ、俺。

 とりあえず、魚を見る。

 白身の魚ばかりだったけど、中にはイワシみたいなのもあった。うん、大丈夫だね。じゃあ、これらを一通り、全部買う。

 その後は貝類。

 これもなんだかデカいんだけど、ハマグリとかアサリみたいな貝がある。これはすごいね、磯の香りが鼻をくすぐる。醤油を垂らして網焼きにしたら……想像しただけでヨダレがでそうだ。ハクやニジも喜ぶだろう。

 さっきとったばかりだというのでまだ生きてる。うーん、とジッ○ロックのデカいやつを取り出していくつも中に入れてもらった。あとは、巻き貝。サザエなんかとは違って、茹でて身を抜いて食べるらしい。苦みはないって。それなら、同じようにあるだけ保存容器のデカいのに入れてもらった。


 それぞれ不思議な入れ物だと話題になりかけたので、早々に金を払って店を後にした。早く離れようと思ったのだが、近くの別の店にイカとタコがおいてある。食用か? と鑑定して見れば、タコは茹でて食べる。イカも火を通して食用可になってた。これで十分だよね。

 当然、タコとイカも爆買いですよ。

 それは普通に袋に入れてもらって、金を払い市場を出た。しまった、ワカメを見たらよかった。酢物ができたのに~

 

 もう一度、と思ったけどやめた。皆の視線が痛かったからね。


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