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第106話 ドマーニを無事に確保できた!

 裏手にあるSランクへ迷宮へと移動した俺たち。ちょこっと飛びましたよ、だって坂道が面倒なんだもの。

 当然、誰も待っていなかったんだけど、騎士さんに書類を見せて今から潜りたいと言ってみた。もう遅くなるぞ、と言われたんだけれど、食事もストレージにたくさん持っているし、大丈夫だと伝えれば、渋々受け入れてくれた。ただ、同じように食事が続く限り潜るからと伝えて、笑顔で手を振り迷宮の入り口をくぐった。


 中には誰もいなかった。まあ、もう夕方だしね、仕方がないかもしれない。それでも、魔物は出てくるんだ。それは全く問題なく、クロノスがさらっと狩った。その後も、最初の迷宮と同じように、淡々と処理していった。

 午後七時になる少し前、ちょうど七階層に下りるための階段で空間を開いてタケルとクロノスは屋敷に戻った。


「ただいま~」

「オカエリナサイマセ、ゴシュジンサマ、クロノスサマ」

「戻った。タケル、とりあえず風呂に入るか?」

「そうだね、それでもいいよ。他の皆は?」

「そろそろ連絡するつもりです。今から連絡しましょう」

 頼むよ、と伝えてロイを呼んだ。

「ロイ、どうだった?」

「お疲れ様です。今日はとても楽しかったです。これからはいろいろ経験させていただけると嬉しいです」

 ふむ。良い感じに馴染んでるみたいだ。よかったよ、これでホームも安全だな。


 よかったな、と声を掛けたタケルに笑顔を、ありがとうございます! とロイは嬉しそうに厨房に戻っていった。

 このタケルは、本当に嬉しくて笑った。その時、思い出す。そうだ、ドマーニに連絡してみよう。

 クロノスは風呂に入ると言ったので、タケルはセバスに自室に向かうと伝えて、部屋に戻った。


 ふぅ。ちょっと疲れたかもね。でも、今日、話をした方がいいだろう。念話が使えるといいんだけど。

 そんなことを思いながら試してみるしかないな、と深呼吸した。


『こんばんは。俺はタケルと言います。ドマーニさん、あなたの作った侍従ゴーレムを使っています。それでお話をしたいと思い、この国に来たので連絡を取りました。通じてますか?』

『……あ、あの? ドマーニですが、あなたはタケルさん?』

『そう、タケルです。あの侍従ゴーレムはとても良く働いてくれます。名前をセバスとつけました。俺の屋敷ではなくてはならない奴ですよ』

『そうですか。……よかったです。あの子はとても優秀な子でした。ですが、私が少し成長したので仕方なく、新しい子を作ったのです。あの子は、取引先の商人が是非譲ってほしいというので譲ったのですが……』

『ふうん。どうやら、他国の貴族の手に渡っていたらしいが、そのバカ息子が遊ぶ金ほしさに勝手に持ち出して、街の古道具屋に売った。たまたま店に行った俺に店主が見せたんだよ。でも、セバスを手に入れたのは僥倖だった』

『……なるほど、お役に立てているのですね。よかったです。それで、タケルさんはどこに住んでおられるのですか?』

『俺は、冒険者だ。この国にはダンジョンに潜るためにやってきた。……本当は違うが、一応はそういうことにしてある』

『なるほど。理解しました。それで私に連絡をしてくださったのは、どうしてでしょうか』

『君、今の生活は問題ない? 俺の本来の目的の二つ目は君に会うことだった。今の生活で満足しているなら仕方なく諦めるよ。俺は自分の空間に屋敷を持っているんだが、別棟を建ててもいいから来てほしかった。セバスのような利口で真面目な侍従ゴーレムや日常生活が便利になるような魔道具を作ってほしいんだ。まあ、あまり変わらないかもしれないけど、仲間はたくさんいる。どうかな』

『……そ、それは本当ですか?』

 えっと、反応が意外だな。この国にいるのは嫌なのか?

『どうしたんだ? 俺は本気だぞ。何かあるのか?』

『……この国の魔導錬成師でいるのは、かなり厳しいと思います。私は他の人のように戦闘に関わる物を作ることができません。体の不自由な人のために役に立つものを作りたいんです。ですが、それはほとんど採用されません。それが悔しくて辛くて。それに私のような人間は生きにくいのです。護衛がいないので外に出ることもできず、家の中で魔道具のことを考えているだけです』

 なるほどな。それかかなり辛いだろう。外に自由に出ることは難しいが、買い物などには出かけられる。ロイもいるから以前よりも動けるはず。

『わかった。それなら俺の屋敷に来るか? 人しか入れない場所らしいが、出かけるのは難しい?』

『出かけることは無理です。だから……』

『その家は、自分の家か?』

『いえ、魔導錬成師に国から与えられるものです』

『それなら大切な物は持って出られるか?』

『できますが、荷造りは難しいのです。どうしたらいいでしょうか』

『それならお前の家に転移する。一気に荷物を持って今夜中に移動しよう。それでいいか?』

『ええと、私は問題ありませんが、タケルさんは私の人となりなど、確認しなくていいのですか?』

『問題ない。セバスを見てお前の人となりは理解している。だから心配するな。屋敷の人間を連れて転移するから心配するな。周りの家は近いのか?』

『いえ。それぞれの家が距離があります。互いに静かでないと仕事がしにくいので』

 それは良いことだな。逆にやりやすい。

『夕食は食ったか?』

『いえ、まだです。いいのですか、このような時間に』

『問題ない。君の魔力を追って転移するから。少しだけ待っててくれ。貴重品や金などは自分でもっておいてくれよ。食事も屋敷に用意しておく。じゃあ、後でな』

『はい、どうぞよろしくお願いします!』


 よかった、声も元気になったみたいだ。

「ラス、ちょっと出かけたい。皆戻ったか?」

「キリの良いところで階段から戻ってくるそうです」

「わかった。じゃあ、ラスとロイ、俺と一緒に行ってくれ。セバス、皆が戻ったら風呂に入れと言ってくれ。食事は俺が戻ってからにする」

「ショウチイタシマシタ、ゴシュジンサマ」

 クロノスにも伝えてもらうことにして、俺はラスとロイを連れて、ドマーニの魔力のある場所に転移した。


「小声で話せよ。ドマーニか?」

「はい。タケルさん、ですか?」

「そうだ。こいつはラス、こっちはロイだ。それで荷物はどれくらいある?」

「ええと、こちらの部屋が作業場です。ここと、寝室に着替えが少し。バッグに入れましたので移動はできます。でも、道具が……」

「それは問題ない。この作業場の物は全て持って行くか?」

「そうできればありがたいですが、細々とあるので」

「問題ない。少し下がっててくれ。新しいアイテムボックスがあったと思ったんだが……お、あった。指輪でも良いか?」

「アイテムボックスですか! すごいです。でも、指輪はどうでしょうか。物を作るのに邪魔にならなければいいのですが」

「使いにくければ後で替えればいい。とりあえず、これにいれるか」

 アイテムボックスを指に通して、この部屋の中の物を全てと指定して回収した。ひゅっ! と音がするほどの物があったみたいだ。まあ、俺にはわからないけどな。

 「これ、指に付けてみろ」と渡せば、左の中指に通した。スルスルと小さくなって指にぴったりサイズになった。

「あの、これって、財布とかお金とか、入れてもいいのですか?」

「ああ、アイテムボックスはお前のための物だ。だから何でも使っていいぞ。材料なども入れられるだろ」

「あ、ありがとうございます! 嬉しいです。何とかお力になれるように頑張ります!」

「あはは、気負わなくてもいいぞ。俺のファミリーの魔導開発部だな」


 嬉しいです! と満面の笑みだ。あとはどうするかと問えば、ミスリル侍従と車椅子だというんだが、それは問題ない。じゃあ、他は? と問えばベッドや調理器具などが、と言うのだが、ラスに見てもらえば全て屋敷にあるから心配いらないそうだ。それなら風呂に入るのはどうやって入るんだ? と聞いてみれば、忘れてた、と椅子を持ってくるように侍従に言いつけた。侍従はセバスよりも十五センチほど背が高い。なるほど、それでセバスと俺が出会ったということか。全てが完璧な出会いの結果だな。


 それ以外に何かあるかと問えば、ドマーニとミスリル侍従が頭をひねっている。ロイがその間に家の中を魔法で探索した。床の倉庫に何かあると言うので、どこだと問えば、ここだという。それなら、ロイが魔法でちょこっとベッドを移動した。

 床下収納庫があったので中を確認すれば、何か箱があるんだが。

 ゆっくりと開いてみれば、どうやら金が入った箱らしい。ドマーニに聞いてみれば、知らないという。床下に収納があったこと自体知らなかったそうだ。だからそれはタケルさんが持って帰ってくださいと言われて、とりあえず、俺のストレージに入れた。他には? と聞いてみたが、ロイも元々の物ばかりで、もうないという。それなら戻るか、と伝えれば、ラスがドマーニの手を取り、ミスリス侍従が車椅子に手を置き、ロイがミスリル侍従の肩に手を置いて俺のローブをつかんだ。あはは、転移はしないけどね。と伝えて、直接空間を開いた。ドマーニの車椅子と侍従、ラスを押し上げて俺とロイも中に入った。


 「オカエリナサイマセ、ゴシュジンサマ」といつも通りセバスが迎えてくれる。ただいま、と屋敷に入るために歩き出す。ドマーニの車椅子は、セバスより一回り大きいミスリル侍従が押している。屋敷に入る前に、外の大型プールで風呂に入っている従魔たちと冒険者たちをみてクスリと笑い屋敷に向かった。

「セバス、ドマーニを連れて戻った。これから、もう一人の侍従と一緒に頼むぞ」

「ハイ。ドマーニサマ、オヒサシブリでゴザイマス。オゲンキソウデナニヨリデス」

「久しぶりだね。セバスって名前をもらったんだね。役に立っているようでよかった。私も一緒にお世話になることになりました。これからよろしくね」

「カンゲイイタシマス。オヘヤヲキメテイタダキタイデス」

「そうだ、今、あいている部屋はあるか?」

「お風呂付きの部屋が一つ開いてます。バウとパトリオット、は普通の部屋ですから。私とリカが風呂付きですので、もう一部屋あいていますよ」

「それなら、その部屋を見せてくれるか。ドマーニ、行こうか」

 はい、とついてくるというか、ミスリル侍従が押してくる。セバスはリカの待つキッチンに向かった。

 どうやら、端の部屋のようだ。隣はアレックスの部屋だな。それならミスリル侍従も一緒にいないとダメだろうし、部屋の中を広げるか? 空間を広げるだけで大丈夫か? 自室と作業場は別にした方がいいだろうし、そうするか。ベッドは別においた方がいいんだろうか。

 一応聞いてみるかな。

「ドマーニ、ベッドの間は車椅子が動ける広さがあった方がいいんだろ?」

「それは、その方がありがたいのですが、でも……」

「わかった。車椅子が回れるような広さがあった方がいいよな。ちょっと空間を広げるから」

「それならタケル様。以前の役に立たない子がいた部屋がありますよね。あそこに二部屋あります。それを一つにして大きくすればどうですか? それならばお風呂も中に置けるでしょう?」

「なるほどな。独立してる方が良いかもしれないな。今まで隣の音など気にしてなかった生活だし、ちょっと確認するか」

 はい、とラスに連れられて、再び移動した。

 そこは七畳ほどの二部屋があった。ドマーニの寝室だったくらいかな。ここを二つくっ付けて、隣に風呂を作るか。うん、それがいいかもしれない。風呂の部分は空間を広げるか。換気が必要だが、換気扇を付けるか。それが良いかもしれないな。じゃあ、ちょっとやってみるか。



********************

【あとがき】

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

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