第104話 迷宮攻略の打ち合わせを終え、翌日から決戦開始だ!
「クロノスは俺の準備が終わるまで屋敷で待機だ。正面切って入るから、その時まで待っててくれ。俺は、とりあえず魔術師会を殲滅して、知らぬ顔でランクSのダンジョンに入るから。その時一緒にな。数階層は冒険者がいるだろうけど、適当に討伐して人のいない階層まで突っ切る。あとは、とりあえず魔物を殲滅しながらドロップ品を回収しつつ、コアを回収し、祭壇を破壊するから。その後の段取りはその時に話す。いいか?」
「うむ。承知した。では、ここで我は皆を見送ろう。それでよいな」
いいぞ、と伝えて皆を見る。
「ハク、最初に俺が一緒に中に入る。その後、適当なところで離脱するから頼むな。ニジ、最下層に降りる手前くらいで念話してほしい。その時に俺が転移するから。目の前でコアをとってな。その後で祭壇を滅する方法を教えるから。次からは大丈夫だろ?」
「う~ん、あるじ、まちゅよ。ちゃんと、ねんわしゅる~」
「おう、頼むな。それとラス、お前には別の仕事をしてもらうかもしれないけど、とりあえず、俺が相手に念話をして確認する。それによって、俺が戻ってからも一仕事あると思ってくれ」
「わかりました。では、食事の準備を早めにしておきますね。昼はとりあえずみんなが持っている分で足りるでしょうから、夕食をしっかりとってもらえるようにしておきますね」
頼む、と言って解散した。
俺はセバスに朝の五時に出かけるから、四時くらいに起こしてもらいたいと頼んでベッドに転がった。
ゆっくりと眠って目を覚ます。みんなはまだ眠っているので、そっと起き上がり着替えをする。とりあえず、今日は冒険者の服だね。まあ、いつもとあまり変わらないけどな。ローブくらいは着ておこうか。魔法使いじゃないけど、まあ似たようなものだし、いいか。
朝食をガッツリ食って、行ってくるよとセバスに見送られて外に出た。それぞれに起こしてもらうことにしてあるので、問題ないだろう。
「セバス、頼むな」と告げて空に上がり、転移した。
以前、確認していた魔術師塔の上空にいるんだが、さて、このまま殲滅してもいいんだろうが、誰か貴重な人材はいないか。ええと探索してみよう。
有能な人材がいれば確保したい。誰かいないか?
(探索)
うん? いるな。一人だけ異端だと思われてる人間がいる。とりあえず、結界を張って確保するか。うん、おっけ。結界は張れたな。他には……うーん、いないな。これで終わりだ。
とりあえず、引き寄せるか? 結界を張った人間を引き寄せたいけど……いや、いきなりは無理だろう。念話してみるかな。
『なあ、聞こえるか。お前、魔法使いだろ? お前に話がある。さっき結界を張った。理解できてるだろ?』
『あ、あの。結界が張られたのは理解しました。それでなぜ、私にだけ?』
『魔術師会で使える魔法使いはお前だけだった。だからうちのパーティーに入らないか?』
『パーティー、ですか?』
『うん。俺たちは冒険者だ。だけど、地元のことや民を助けたりもする。だから魔法使いは多い方がいい。今は俺しかいないからさ。助けてくれるならありがたいんだが』
『そ、それ、本気ですか?』
『本気も本気。どうだ、乗るか?』
『あ、ありがとうございます。とても嬉しいです。ですが、荷物が……』
『あ、そうだ。荷物があったな。お前の結界に誰か気づいてるか?』
『いえ、誰も気づいていないようです。解除していただければ荷物を持ってきます』
『なるほど。じゃあ、解除するが、お前の部屋で結界を張り、引き寄せるからそのまま待て。俺は魔術師塔を破壊するつもりだ。それでもいいか?』
『はい。では、すぐに移動します』
おう、と結界を解除した。魔法使いはすぐに移動したようだ。この後は追跡できるから問題ない。
あはは、荷物を放り出して鞄に詰め込んでるな。うん、本気だな、これなら大丈夫だ。そろそろ終わるか。
『お待たせしました。荷造りは終わりました。どうすればいいでしょうか』
『そのまま待て。結界を張ってこっちに転移させるから』
お願いします、と聞こえて結界を張り、俺の手元に転移させた。
結界ごと現れた男は、まだ若いな。
「えっ、えええええ!?」
あはは、驚きすぎだろ、お前。
「俺はタケルだ。お前の名前は?」
「私はロ、ロイです。魔術師会では珍しい平民です」
あはは、と笑うロイは、楽しそうだ。
「じゃあ、このままで魔術師会の殲滅を見るか?」
「はい。こんな機会は二度とないと思うので。空は飛べませんけど、大丈夫ですか?」
「問題ない。さて、やろうかな……」
ロイを結界に入れて、共に空に浮かんでいる。
魔力を広げよう。どんどん広げてっと……それで包み込むかな。あ、でも結界で包む方がいいか。周りに被害がない方がいいよな。
おっけ、これでいいな。
じゃあ、やろうか。結界内を殲滅する!
(殲滅!)
ドドーン! ダダーン! と音が聞こえる。あちらこちらで爆発しまくりだ。うん、良い感じだな。
今、俺たちはかなりの高さから見下ろしているんだが、そろそろ終わるかな。まだドドドーン! と音が聞こえているが、建物はほぼない。おお、最後の爆裂音だったんだな。もうそろそろいいか。これで一つ、片付いたな。
じゃあ、ここで結界を張って空間に入ろう。
(結界)
空間を開いて中に入り、しっかりと入り口を占めた。
『オカエリナサイマセ、ゴシュジンサマ』
ただいま、と告げると『オキャクサマデショウカ』と聞くので、仲間になる人間だよと言っておいた。
「戻ったのだな、主。そやつは?」
「こいつはロイ。魔術師会に一人だけ使える人間がいたから、念話して話した。それで、一人だけ平民で居心地も悪かったらしい。まあ、扱いは良くなかったんだって。だから冒険者やってるから、仲間にならないかと誘ったら受け入れてくれたからさ、連れて戻った」
「ウハハハ、さすがに主、タケルであるな。なるほど、魔法使いはタケル一人。我も魔法は使うがタケルほどではない故な」
まあ、確かにそうだよね。それは後で考えようか。
とりあえず、ロイは留守番だな。ラスに頼んでおこうか。
「ラス、ロイの部屋を頼む。何ができるかわからないから、いろいろ試してくれ。魔法で皮むきとかできると助かるだろ?」
「それはありがたいです。細かい魔法も使えますか?」
「はい。細かいことは得意です。大魔法などは、動けなくなるので使いたくありません。攻撃魔法も、弾丸を飛ばすくらいですから」
ふうん、良い感じじゃん。これならラスの護衛メンバーに入れるな。
「じゃあ、俺たちは行くから。ロイ、ラスに聞いて部屋を決めてから仕事してて。他のメンバーは今夜紹介するから」
「お気を付けて。行ってらっしゃい」
うん、とハクたちと冒険者たちと一緒に外に出た。
さて、これからは別行動だな。
「それじゃ、バウ。Cランクに向かってくれ。まっすぐに行ってアレックスの登録が必要かどうか聞いてくれ。元冒険者だが、名前が違うからね。こういうときに役に立てよな、パトリオット。じゃあ、打ち合わせ通りにな」
行って参ります、と冒険者組は出発した。
さて、次だな。
ハクとニジ、フィーリア、そしてブルーを伴い、Bランク迷宮協会前へと移動した。さすがに、少し混んでるか。迷宮の場所はどこだ? 地図を見ればこの少し奥に入り口があるんだな。それなら大丈夫か。
少し待ったけれど、割と簡単に順番はやってきた。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用でしょうか」
「Bランク迷宮に入りたいと思っています」
「承知しました。それでは、こちらに書き入れてください。何人で潜られますか?」
「ええと、俺と眷属が三人、そして俺が作ったブルーです。扱いは眷属と同様だと思っています」
「なるほど。ご自分で作られたのですか。素晴らしいですね、全く問題ございません。魔道具として作られたものでしょうが、攻撃は?」
「その能力はありません、移動のためのものです」
なるほど、と頷いて書き入れた。
俺、ハク、ニジ、フィーリア、魔道具一体っと。
はい、これ。係のお姉さんに渡した。それを確認したお姉さんは、大きなスタンプをポンッと押してくれた。
注意書きの小冊子をもらい、「お気を付けて」と伝えてくれたので、行ってきますと席を立った。
そのまま場所を移動することになるのだが、移動している間が面倒なので、地図を見て空を移動することにした。ニジはブルーの攻撃用バッグに入り、その後ろに小さくなったハクとフィーリアが乗って移動する。俺はブルーの側を一緒に飛んだ。空を進んでいると、Bランク迷宮への通路が見えてきた。
数組並んでいるが、入り口窓口は二カ所あるので思いのほか早く進んでいる。その最後尾に降り立った俺たちは、ハクとフィーリアは大きさを戻し、ハクの上に乗ったのはニジのバッグを付けたブルーだ。ハクは軽々ブルーを乗せてくれた。
「次の人どうぞ」と呼ばれて、探索者協会で受け取った書類を手渡す。それをチェックした警備兵は、問題ないと判断してくれた。
「すみません、アイテムボックスに食事なども用意しているので、規定日数より続けて潜ると思いますので、気にしないでください」
「承知いたしました。健闘を祈ります!」
「ありがとうございます!」
無事に送り出された俺たちは、中に入って周りを確認する。冒険者たちは、入ってから、それぞれ散ってゆく。俺たちは、打ち合わせ通り、駆け抜ける事にした。それぞれのストレージやアイテムボックスにドロップアイテムを自動回収するように設定しているので、全く気にしていない。じゃあ行こうか。
そう言い、俺たちは一階層から駆け抜ける。冒険者が多くいる階層は、それぞれが対応しているので、放っておいて駆け抜ける。ブルーは既にニジを乗せて空を飛び、魔物を倒しながら移動している。当然、ハクとフィーリアは雑魚魔物は蹴散らしているんだ。放っておいてもドロップ品は一瞬で消えるからな。
ものの1時間も過ぎたときには、六階層にいた。ここまで来ると、それほどの冒険者はいない。それならば、そろそろいいかな。
「そろそろ大丈夫そうだね。ここから先はかなり強くなると思うよ。あまり深い階層までは明らかになってないけど、十分気をつけてね。俺はS級に移動するからさ。気をつけるんだよ。気になる何かがあるときは、誰でもいいから連絡してくれ。ニジは最終のボス部屋に入る前に連絡ね」
「了解!」と返事をしてくれたので、俺は階段まで移動して空間に戻った。
「お待たせ~」
「オツカレサマデゴザイマス」
セバスが気持ちよく迎えてくれた。
「待たせたね、クロノス。じゃあ、行こうか」
「うむ。思ったよりも早かったな。ハクたちは何階層まで到達したのだ?」
「六階層になったから戻った。ほとんど冒険者もいなくなったからね。さて、今からはSランクだから少し楽しみだよ。行ってくるね、ラス。ロイも頑張ってラスに教えてもらってな。ラスは魔法が使えないから、お前が頼りだ」
「はい。お任せください。細かいことは得意ですので」
「じゃあな~」とクロノスと手を振り空間を出ることにした。結界を張って外に出れば良いお天気だな。「行ってらっしゃい」と送り出してくれた皆に感謝して、空間を締めた。
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【あとがき】
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