第101話 宿を取るのに一苦労だな……
※そろそろ書きためた在庫が減ってきました。この後の更新は少しゆっくりになるかもしれません。ご理解ください<(_ _)>
本当に一瞬で街道脇の待避所に降り立った。そこで、アレックスがクロノスと外に出て、ドラゴニュートに変化した。
その後は、身体の大きさを変えられるか試しているみたいだ。
あれ? でもダルセニア王国って亜人は入れなかったんじゃないか? パトリオットに確認すれば、それは居住区の話らしい。一般の民や農民が住んでいるエリアには、亜人は入れないらしい。これは冒険者や探索者がやりたい放題する可能性を考えての措置らしい。
なるほどな、それは納得できるか。
じゃあ、とバウとパトリオット、リカは馬車から降りた。そう、ここからは護衛の役目だから。
クロノスも眷族として護衛をするのだが、そこにアレックスが入ることになりそうだ。
「タケル。多少の調整はできそうだ。ドラゴニュートでも、普通のサイズだが、これくらいでどうだ?」
うん? と先を見れば、クロノスとほぼ同じ身長のアレックスがいる。それも少しスマートなドラゴニュート姿でだ。以前よりも輝いている質感の鱗。どこをどうみても立派なドラゴニュートだ。
「うん、いいんじゃなか。でもドラゴニュートって服着てるよな。それと剣を使うか? クロノスも使う?」
「うむ。あれば良いが」
じゃあ、一度馬車から俺も降りよう。
魔剣と魔大剣を出してみる。アレックスは? と聞いてみれば、リザードマンの時は長剣か大剣だったらしい。
サイズがあるか?
さっそく決めたクロノスは、普通の人間より長めの長剣を手にしている。アレックスも決めろと言えば、同じサイズの長剣を手にしたな。
「主、許されるならば、大剣はないだろうか」
「あるよ。持っておけばいいよ。アレックスも普段は使わなくても、ダンジョンで使うかもだから持っておいて」
ありがとうございます、と大剣を選んでる。
だけど、冒険者の服か……
ドラゴニュートのアレックスが着られる冒険者の服が欲しい。できればプレートメールも必要。身体の大きさに沿うように伸縮自在をつけてほしい。中型以上のドラゴンになった時には収納できればいい。魔導具として作りたい。
<魔道錬成>
ブワリと光ったアレックスはすぐに収まったみたいだ。
鑑定しても、俺の希望通りにできてるな。あの姿がドラゴニュートの冒険者服か。ちゃんとミスリルのプレートメイルもついてるな。
すごいな、とバウが声をかけている。
「クロノスはどうする? プレートメイルだけでもつけるか?」
「うむ。この姿は我の領域を変化させておる故、洋服は必要ないが、プレートメイルくらいはあった方が良いか? だが、ドラゴン姿になれば……」
「大丈夫だ。アレックスも今の姿くらいからドラゴンになった時にはプレートメイルは収納されるようにしてあるからね。それでいいか?」
「うむ。それなら、ドラゴン姿になれば消えるのだな? 魔導具ということか。なるほど、だが、戦う時に邪魔にならぬか?」
「多分大丈夫だと思うよ。やってみるから」
イメージを固めてやってみよう。
<魔道錬成>
おっと、発動したね。
うん、鑑定結果でも問題ないな。ドラゴンに戻った時には、収納されるらしい。翼の上あたりに薄い何かがついてる。おそらくあれだろう。
「できたぞ。まあ、迷宮に入って確認してみようか」
うむ、と少し嬉しそうだね。
すでにアレックスは長剣をつけてるな。クロノスも帯剣ベルトに取り付けた。
「じゃあ、頼むな。各自、敵の探索を忘れないように」
応! と返事をもらえば、ハクが歩き出す。
少し時間を取ったけど、これで宿の心配もしなくていいだろう。アレックスもドラゴニュートの姿で宿に入れるから。
それから十五分ほど走ったハクは、門の前にできている長い列の最後尾に停まった。
ニジとフィーリアは広くなった後ろで菓子パンを食べながら本を読んでる。フィーリアは絵本だな。かわいいよ、本当に。
俺は、商人として前の席に座っている。セカンドシートにはラスがいるね。前を向いて門を凝視している。おそらく、ラスが国の意向は理解してくれるだろう。安心だ。
最初はどこにいくかな。
「ラス。門を入ったら商人ギルドかな。思い切り高級な宿を教えてもらわないとな」
「そうですね。では、タケル様のギルドカードでそれなりの宿は借りられると思います」
「ふうん。じいちゃんは、何かが起こっても見過ごせないほどの宿がいいって言ってたよ。それはどうやって話すかな」
「なるほど。安全対策と国への牽制でしょうね。では、あちらが提示した内容を聞いて判断しましょう。その辺りはお任せください。あのバカな貴族たちを御してきましたから」
「あははは、確かにな。それは任せるよ。まあ、冒険者は個室だろうし、クロノスも個室だろう。アレックスも今の姿でもいいし、幼竜になっても、個室だな。ラスは当然個室だけど、ニジは俺と一緒だし、ハクとフィーリアはどうするか、だな。俺の部屋が広ければ一緒でもいいか。フィーリアは個室にしてもいい。当然、ハクも。いつも通り個室がいいか。その方がそこそこの金がかかるから、宿のグレードが上がるだろう」
なるほど、とメモ用に渡したノートを取り出してボールペンで書き始めた。なるほど、部屋割りか。まあ、任せておこうか。
『ハク。ここから三キロ先が商人ギルドだ。近くなったらもう一度言うから』
『わかった。じゃあ、まっすぐ進めるね』
『頼む』
そう伝えて探索を再開する。
ダンジョンの地図を確認しているのはニジだ。そこそこのダンジョンがありそうだな。まあ、その前にやるべき事がある。貴族どもの調査がある。それはパトリオットたちに任せよう。パトリオットとバウ、リカ、そしてクロノスとアレックスがいいか。
まあ、向こうからやって来てくれれば手間が省けるんだが。
おっと、そろそろ近いな。
『ハク、そろそろ近いぞ。右手にあるから、商人ギルドは。裏に厩舎があるんだけど、できれば馬車ごとストレージに入れたい。だからハクも一緒に中に入ろうか。その後は、宿に入るつもりだから。距離があればもう一度馬車を出すつもり』
『わかった。じゃあ、裏に止めるの? 前でいいかな』
『前でいいと思う』
了解と聞こえた時、ハクは方向を変えた。
そして、商人ギルドの前に停まった馬車から降りてゆく。
フィーリアの背に乗ったニジにはきちんとフィーリアが結界を張っている。
俺の近くにはクロノスとドラゴニュートのアレックスが立つ。少し離れた所にいるのは、バウだ。
ハクは魔導具を解除して、身体を小さくした。
そして俺の所にかけてくる。そのまま、馬車をストレージに入れた。 セバスが後についてくるし、ブルーは空に上がったようだ。
じゃあ、中に入るか。
ラスの隣りにはニジを乗せたフィーリアが寄り添ってるな。
「こんにちは。ようこそ、ギルドへ。本日の御用向きは?」
「宿を紹介していただけすか? こちらが主のギルドカードです。人数が多いので、大きな宿がいいのですが」
ここはラスに任せておこうか。
人数は、と聞かれて、主の部屋と、獣魔、冒険者たち含めて、八部屋だと言ってるね。
多いですね、と驚いている受付だけど、戸惑ってるな。
「少しお待ちください」とギルドカードをもう一度確認して奥に向かった。
「お待たせしました、副会頭のリガルトと申します。獣魔も泊まれる宿をご希望だと伺いましたが、人数が多いですね」
「そうですね、多いですが、問題ですか?」
「かなり大きなお宿でないと難しいかと思います」
「なるほど、確かにそうですね。ですが、美味しい食事とお風呂などの条件が揃えば、割高は問題ありません。ありませんか?」
「……ございますが、最悪、最上階を全て押さえるということになるかもしれませんがよろしいですか?」
「ふむ。それで、最上階全てで何部屋ありますか? こちらは、主の部屋は当然大きい方がいいのですが、個室が最低八部屋必要です。そのような宿がない街なのでしょうか、王都は」
「え、いえ! そんなことはございません。こちらの三軒でしたら対応できると思います。グレード的には、最高クラスです。いかがですか?」
「……なるほど。最上階貸し切りということは、侍従など以外は誰も上がってこないと言うことですね?」
「え、は、はい。そういうことになります」
「なるほど、それなら安全も確保できますね。ですが、こちらとこちらは、最上階の部屋数がこちらの必要数よりも多いですが、よろしいのですか?」
「ええと、そうだと思います」
「なるほど。それは確認してくださいね。その上で申し訳ないのですが、ある程度の日数お世話になると思います。そのあたり、宿が用意してくれるサービスも伺いたいです」
「サービス、ですか?」
「はい。他国では人数が多く、眷属たちはよく食べますので、主の部屋で食事を取らせてもらったり、侍従をつけてくれたりしますが、ダンジョンの国であり、世界最大の国ではどうなのか、気になります。それで、宿泊費はおいくらでしょう」
「そういうことも含めまして、各宿に問い合わせいたしますので、少しお待ちいただけますか?」
「ええっと、こちらで待てと?」
「あ、そ、そうですね。では、応接室でお待ちいただけますか?」
「ありがたいことです。では、案内してください」
どうぞこちらへ、と副会頭が案内してくれるようです。
さて、少し面白くなってきたね。
ちょっと覗いてみるかな。見えるかな、やってみようか。
今、会頭が宿と相談しているんだけど、その内容が聞きたい。 頭の中に記憶できたらいいな。
<盗み聞き>
あ、聞こえるな。
【そうなんですよ、重要な方のようです。商人ギルドカードのランクで言えば、白金クラスです。それも仕入れも多いのですが、買取もかなり多いのです。そして、明らかになったことは、タケル様は冒険者でもあります。世界ギルドの唯一の冒険者で、SSSランクです。おそらくですが、ダンジョンにいらしたのではないかと思われます。それで、最上階貸し切りと提案させてもらいましたが、必要部屋数以外は貸せなくなりますよ? それでもいいですか?】
【それは、当然費用に含めますよ。当たり前です。なのでお高くなると申し上げました】
【それでは、特別なサービスなどはありますか? 例えば、部屋食や侍従をつけるとか?】
【部屋食は無理ですね。それに侍従は有料です】
【……わかりました。では、予約を入れるようなら、連絡しますので】
はぁ~と会頭の大きなため息が聞こえた。
『どうしようか。もしかしたら、商人ギルドの宿なら問題ないでしょうか。そうですね、聞いてみましょう』
あはは、大変だね、会頭も。でもさっきの宿は無理だな。ああいうのは大嫌いだ。
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【あとがき】
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