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第100話 アレックスがやらかしました

 とりあえず、獣魔登録の後は商人ギルドに向かうことにした。

 なぜなら、ミルクの小瓶をゲットするためだ。

 新しく入ったものは、やはり百本だけだった。少なすぎないか? と考えるが、この街のキャパなんだろうな。午後からも同じ量の入荷があるらしいが、時間がないので仕方ない。

 いつもの会頭側にいる男性が申し訳ないと頭を下げてくれる。まあ、牛の数にも限りがあるから仕方がないんだろうけどね。


 それだけか? と皆に聞いてみれば、ケーキの新しいのはないかとニジがいうので、聞いてみたが、新作は入ってなかった。だが、そこで良い物を見つける。菓子パンだ。

 昨日と今日入荷した物で、なかなか美味しいらしい。それなら全員の分を買って、それぞれ分けて食べてるな。


「あるじ、こり、おいちよ~」

「うむ。これはイケる。このような菓子があるのか」

「これはね、菓子パンなんだよ。だから間食には最適だ」

 

 それならほしいと皆がいうので、全部買っていいかと聞けば、問題ないらしい。

 それなら、と昨日と今日の入荷分を全て買うことにした。

 後で分けろよ~と言えば、皆嬉しそうだ。そうだ、スーパーにもあるよな、菓子パンなら。


 支払いのためにカウンターにいる俺とラス。そしてニジとフィーリア以外は馬車に戻って行った。


 支払いをしていた時、ラスが思いだした。羊皮紙とインクがほしいそうだ。だが、それは後でと耳打ちする。良い物をやるからと言えば、嬉しそうに頷いた。


 

 支払いを終えた俺たちは、やっと馬車に戻って来た。

 ハクはきちんとベルトをつけて準備万端だ。

 この馬車のすごいところがもうひとつある。ハクが馬車を引くとき、定位置に立てば、魔導具になっている牽引用の革ベルトが自動的に取り付けられるのだ。離れれば短く収納される便利物。これはすごい、とパトリオットとバウが大騒ぎしたのは昨夜のことだ。

 セバスは、ドアの所で待っていてくれるので、階段で靴を脱いだ俺たちは乗り込んだ。ドアを閉めたセバスはすぐに御者台に乗り、柔らかい椅子に座った……のだが。


 俺とラス、そしてニジと小さくなったフィーリアが座るふかふかベンチシートの後ろでは、ギャーギャーうるさい。本当にうるさいんだよ。

 何をしているのか、と聞いてみれば、菓子パンを分けているらしい。


「シュッパツシテモ、ヨロシイデショウカ?」

「ああ、いいぞ。うるさいから無視しとけ。門につく前に声をかけてくれるか。カード出すから」

 

 ショウチシマシタ、とセバスがハクに声をかけると、ゆっくりと動き出したのは、黒塗りの馬車だ。


 うるさい奴らは無視して、俺はラスのためにホームセンターをのぞいてる。

 ペンとノートを取り出してみた。

 これは何かと聞くので、実際にやってみることにする。

 

 ボールペンの使い方を教える。これは少し上質な物だ。書き味がとてもいい。俺も学校で使っていた。

 そしてバインダーとルーズリーフだ。

 中身を出して、ノートを挟み込んでから、パチンパチンと止めるだけだ。ただ、プラスチック製は避けた。まるで会計書類用のファイルのようなバインダーだ。環境に配慮してみました。


「このペンだけど。これはここを押せばペン先が出る。インクはこの中には入っているから、そのまま使って。で、こっちはノートだけど、バインダーというんだよ。中身が増やせる。ひと月とか半月とかを纏めておくのにも、外して束ねられるから便利だよ。別に纏めることがあれば言ってくれれば、保存用の軽いファイルもあるから。で、仕事が終われば、ペンのここをもう一度押せば引っ込む。用のないときには引っ込めてた方がいい。インクが何かにくっつくと洗濯も大変だから」

「こ、これは素晴らしいですね。とても使いやすそうです。では、ここに線を引けば会計書類もできますね!」

「会計書類か。えっと、それはどういう物なの?」

 そう聞いてみれば、どうやら現金出納帳らしい。ギルド口座から支払ったものは明細が残るので、きちんと貼り付けて管理してくれているらしい。入出金も大きなお金だと記載するらしいが、この世界は、きちんと明細を書いてくれるのでそれを閉じているらしい。


 それなら、これはどうかと聞いてみる。

 ノートと同じ種類の現金出納帳でもいいんじゃないか? そう考えて、同じようにやってみる。現金出納帳とファイル、そして、いろいろな用途のクリップなどを出してみた。それ以外にもクリアファイルを見せれば、なにに使うのかと聞くので、俺が渡したレシピを入れて、めくれば本みたいになると説明した。

 ただし、これは燃やすと毒の成分が空気中に出るものだから、処分するときは俺がすると伝えるのは忘れない。


 現金出納帳の説明を求められるのだが、最初のページの項目をペンで訂正してやると理解できたらしい。ただの出納帳なので、金の流れがれ理解できるだけだと言えば、それがありがたいんだと言うんだけど。どうして?

 とんでもない金が毎日動く。入金も出金も同じなので、現在の預かってる金を始まりとして、きちんと把握したいんだって。こりゃ、性格だろうね。まあ、任せよう。


 ついでに、燃やすとダメなものだけど、冷凍保存袋を取り出した。既に俺が使っていたので理解できているらしいが、食べ物を入れてもいいのかと聞くので、普段は安全で衛生的なものだから大丈夫。だけど、燃やすとダメ、だと伝えておく。それに使い捨てしてほしいとも伝えた。そうでないと、衛生的ではないから。ゴミの処分は俺の仕事だからね。


 台所で洗剤も使わないからね。とりあえず、おいてあるのは無害な洗剤だから、いいんだけど、人がいない無菌状態で作り上げている保存バッグと同じ状態は保てないから、と言えば、感心されたんだ。便利なものは使わないとね。


 そんな話しをしている時、ニジが後ろを向いていたはずだけど、こちらを見上げる。そして小さいフィーリアも同じだ。


 どうしたのかと聞いてみれば、もうパンがないらしい。

 え? 菓子パンでしょ、さっき買ったのに、どうしてないのかな?


 アレックスとバウが分けてくれてるんだけど、それぞれの山の大きさが違う。どういうことかと聞けば、身体の大きさで分けたという。

「何言ってんの? そんなことしたら、ニジなんか食べるものがないでしょ。俺の眷族や仲間は皆平等だよ。一応平等に分けてからそれぞれでやり取りすればいいでしょ。食べるものが足りないなら俺に言えよ。主である、俺の責任だし。だけどな、好き放題食ってるだろ、お前たちは。それにアレックス、お前は身体の大きさが調整しにくいんだ。姿もドラゴンだからね。クロノスくらいになれば人型も取れるけど、今は無理。俺は皆平等だと考えてるけど、我慢できないなら、足りない分は自分で調達しておいでよ。自由だからね、みんな。そうじゃないと、ニジはスライムだから、時間がたってもお前の本来の姿にはなれないんだよ。どうしてそれが理解できないんだよ!」

 

 呆気にとられているアレックスだけど、俺がそこまで怒るとは思ってなかったらしい。

「ニジ、フィーリア。少し待ってね、後で俺の生まれた世界の菓子パンを出してあげるから。いいかな?」 


 「いいの?」と聞くので「いいよ」と言えば、二人は笑顔になってくれてよかったよ、本当に。

 アレックスにはハクがいないから注意する者がいなかったんだろうけど。呆れちゃうよ、ホント。


「ふむ。我も無言で見ておったが、どういう基準で分けているのか理解できなんだ。それならば、ニジは一歳にもなっておらぬ赤子である。最初にニジに選ばせても良いのだ。そのうえ、アレックス。お前は、ドラゴニュートの姿にもなれるであろう。ドラゴニュートとしてならかなりの大型であるが、空も飛べる。ならば、いつも主の肩に乗る必要もないであろう? 甘えるでない!」


 そうか。ドラゴニュート姿としてもかなり大きかったけど、クロノスの人型くらいだったよな。ただ、ごっついんだよ、アレックスは。尻尾を気をつけないと何でも壊しそうだ……


「それくらい気を使い生活すれば、皆のことも考えられるかも知れぬ。ニジは勤勉だが、お前はどうだ? 生まれ持った古竜という立場ではあるが、一ドラゴンとして生きることになるやもしれぬぞ。精進せぬ者には結果は出ぬのだ。お前の父は竜神となった。それは父の努力の賜なのだ。決して生まれ持ったものではないのだぞ。忘れる出ない」

 そうなんだね、知らなかった。

 古竜種っていうのはそういうことか。ぼーっと生きて古竜になれる分けじゃないってことか。一つ勉強したぞ。


「……主。申し訳ありません。クロノスの話を聞いて理解しました。父が言っておった意味がやっと理解できた。馬車に乗るときは無理ですが、移動する時、歩くときにはドラゴニュートの姿をお許しください。以前、私の私はそうだったはずでしたが、甘えておりました。ですが、やっとお役に立てる方法を見つけた気がします。当然、戦いの時にはドラゴン姿で対応いたします。皆の翼にもなりましょう。なんとかお許しください」


 ふん、まあ、俺も忘れてたからな。


「それならば、アレックス。ドラゴニュート姿のお前は大きいんだ、理解しろ。普通に店に入れば、商品を壊しかねないんだ。大きさの調整はできるのか?」

「わかりません。休憩の時があれば挑戦してみましょう」

「なるほど。そうか、大きすぎるのも面倒だな。だが、人の世界のダンジョンに入るならば、身体の大きさを変えられる方がいい。それほど大きいと狭い階段は降りれぬぞ。だが、階段は攻撃がない故、幼竜の姿で飛んでも良いであろう。次のフィールドでドラゴニュートに戻り、人の中を進めば良い。誰もいない階層になればドラゴン姿でも良いのだ。頭を使え。良いな」


 あはは、クロノスが言ってくれたよ。

 まあ、臨機応変だな。ただ、ダイニングの椅子を考えないとダメだ。壊れるぞ、絶対。石の塊にでもするか。その上に座布団でも敷けばいい。特に人の街ならばゴツい椅子で座ればいいだけだな。まあ、大きさが調整できるかどうか、だけど。


「じゃあ、とりあえず、ドラゴニュートの姿で門を入るか。名前しか刻印してなかったよな。大丈夫か、パトリオット」

「はい。問題ありません。主のステータスに古竜と出ますので変化能力だと言えば問題ないでしょう。それに、ドラゴン姿で歩くことはできませんが、ドラゴニュートならば、街でも戦士として認識されますので」

「そういうことか。じゃあ、とりあえず、ドラゴニュート姿で入る方がいいな。目立つから、その方がいいだろう。とりあえず、クロノス、転移、頼めるか?」

「うむ。承知した。では、大都門の少し手前でいいな」

 

 ああ、とブルーに連絡すれば、しっかりと掴まっておくと返事が来て、笑った。



********************

【あとがき】

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