エナモラール
年下の少女に狂わされる!ファム・ファタール百合
年下の少女に狂わされるお姉さんたち。
ファム・ファタールの少女達に狂わされ心乱される女性達の短編集
月に祈って叶うのか。
美月という名前を持つ私の年下の恋人。その通り美しい月のような、弾ける白い肌。ぱちりとした瞳はあまりにもやさしい。
甘えたようにじゃれる可愛らしい声。私を困らせるのが得意な声。「先輩。わたし、あなたが好きよ!」と笑う声。
私が煙草の煙をふかせば、嫌そうにしながらも黙って私のことをじとりと見る表情。私が付き合いで飲みに行ったら拗ねて寝てしまうこと。
エナモラール。
私の月。愛しても愛しても、愛したりない。
抱き締めても抱き締めても、すり抜けて行く気がするきらきらとした光。それはどうしようもなく人を焦がれさせる。優しい光であるのに、人々はその光に虫のように寄ってしまう。私もその一匹で、こんなにも私という人間が「私」から離れてしまう行動を取ってしまうほど、あまりにも眩しい光だ。
この世界で一番美しい月。
私の月はこんなに美しいのに、私はこの子の太陽などにはなれない。周りからの光を吸収して、まろいその光は全ての人を包んでしまうような。その光は私の持ちうる愛では到底輝かせることが出来ない。
それならば、それならば。
美月という名前を持つ私の年下の恋人。その通り美しい月のような、弾ける白い肌。ぱちりとした瞳はあまりにもやさしい。
甘えたようにじゃれる可愛らしい声。私を困らせるのが得意な声。「先輩。わたし、あなたが好きよ!」と笑う声。
この世界で一番美しい月。
私の月はこんなに美しいのに、私はこの子の太陽などにはなれない。周りからの光を吸収して、まろいその光は全ての人を包んでしまうような。その光は私の持ちうる愛では到底輝かせることが出来ない。
それならば、それならば。
あなたの先輩より
あなたを愛せて幸せでした。
出会ったのは、あなたが大学生の頃でしたね。まさか文通で10も下の子から連絡が来ると思っていませんでした。
あなたが好きと言うから花束を何度もプレゼントしましたね。花に疎い私は花屋で何度も恥ずかしい思いをしました。
色々な所に行きましたね、一緒に温泉に入って心臓がはち切れそうな私を置いて、あなたは布団で寝ていましたね。紅葉を見に行ったのに、たい焼きは白あんか小豆あんかで喧嘩しましたね。
お酒に弱いあなたはいつも酔って寝てしまって、私ばっかり期待していました。「可愛い下着を買ったの」なんてあなたが言うのに、あなたはそのまま寝てしまいましたね。
だから、私は決めました。何を決めたかはこの手紙では言えないけれど。あなたとの関係性に決着をつけようと思います。
捨てられる前に、忘れられる前に。
どうか悪く思わないでください。
ディアー、マイ・ムーン
昭和六三年九月三日。
私はこの手紙と共に机に指輪を置いた。誤魔化すつもりはない。これが私の気持ちである。
「どうか私と結婚してください、結婚出来なくともしてください。私の生涯の妻になってください」
「はい…勿論!」




