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人類の罪  作者: 華
幸せの形
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トラブルメーカー

………どうしよう。迷子だぁ。


俺は正樹。そう、佐伯正樹。でもここはどこだろう。


なんで迷子になってしまったのか、俺にも分からない。


分かるのは……迷子になったという事実。


ふぇー、人生初の迷子だぁ。


あ! 人混みがある!!


「………それでは、以下の対象の部屋で間違いないか、ご確認ください。」


おっ! 避難訓練の人混みかなぁ!!


ラッキーー!


俺は迷うことなく、人混みの中へと入っていく。


「以上の番号が、こちらの避難訓練会場になります。」


……番号?


そういえば、部屋に番号なんて書いてあったっけ?


俺は首を傾げながら、周りを見渡す。


………なんか、ここの避難訓練じゃない気がする。


俺は静かに人混みの後ろから離脱する。


そして、再び迷子になった。


ここできっと皆は気付くだろう。


なんで船員に聞かないのか、と。


それには、男としての理由がある。


そう。


プライドの問題だぁ。


………ここは、またもやどこだろう。


俺は辺りを見渡す。


すると、目の前には一面の海が広がっていた。


「すげぇー、海だぁ。」


パシャッ。


「おっ! イルカだぁー!!」


俺は柵に近付き、海の中からジャンプするイルカに感動する。


「すげぇ! 野生のイルカ! 可愛い!」


一頭が海の中に消えたと思ったら、少し離れたところから別のイルカが飛び出してくる。


おぉー!!


また跳んだ!


俺はイルカを追いかけるように、柵から身を乗り出す。


「すげぇなぁ。船と一緒に泳いでる!」


何頭いるんだろう。


一、二……三……。


あっ、無理だ。


潜ったら分からん。


そうだ、写真!


ポケットの中に手を入れて、iPhoneを探す。


ん?


ない。


反対側のポケットにも手を突っ込む。


………ない。


え、置いて来たのかぁー。


まぁ、いいか。


俺は自分の目にイルカを焼き付ける。


お〜〜、すげぇ〜!!


イルカが海面から姿を現すたびに、キラキラと水しぶきが太陽の光を反射する。


………ん?


その中に、一つだけ動かない光があった。


なんだ、あれ?


イルカとは違う。


海面で何かがキラッと光り、やたらと目に付く。


俺は目をぎゅっと細めて、なるべく遠くを見ようとする。


でも、よく見えない。


あっ、なんか近くなった!


そう思ってじっと見ていると、キラッと光る物体がうっすらと輪郭を現す。


ん?


なんか知ってる形だなぁ。


……え。


あれ、人じゃない?


正体に気付いた瞬間、背中からボワッと冷や汗が流れる。


「お、おーい!」


俺は声を掛ける。


でも、返事がない。


まだ遠いからだよね。


きっと!


「おーい!!! 大丈夫ですかーーー!!!」


………なんにも返事がない!!!


まさか!!!


え!!


俺が一人でワタワタしていると、突然、肩をポンと叩かれる。


「うわぁ!」


「うぉ! どうしたんですか?!」


後ろから声が聞こえ、俺は勢いよく振り返る。


そこには、道徳の友達の獅鳳くんがいた。


獅鳳くんも同じように驚いた顔をしている。


「獅鳳くんかぁ! た、大変だよ! 見て! あそこ! あれ人じゃない!?」


「え? 見間違いじゃないですか?」


獅鳳くんは、俺が指差す方へ目を細める。


「………うわ、マジか。」


そう言うと、ズボンのポケットからiPhoneを取り出し、どこかへ連絡する。


「船尾右舷、海上に人影を確認。対象から応答なし。ブリッジに連絡して、救助艇の準備を。現在位置は――」


うん。


なんて言っているんだろう。


さっきまで普通に喋っていた獅鳳くんとは思えない。


「はい。よろしくお願いします。」


そう言うと、iPhoneをポケットにしまい、こっちに顔を向ける。


「俺、ちょっと行かないといけないので、正樹さんはここで待っててください。」


そう言われ、俺は頷く。


獅鳳くんは俺の周りを見て、キョロキョロする。


「……そういえば、縛さん達はどこですか?」


「……いなくなった。」


「……迷子ですか?」


「……縛が迷子。」


俺がそう言うと、獅鳳くんはクスッと笑い、またもやどこかに電話を掛ける。


「正樹さん、いましたよ。」


『先輩どこにいたの!?』


「船の後方にあるテラス。」


『なんで!?』


「多分、迷子。」


『………縛さんに伝えますので、先輩にそこ動かないでって伝えて!』


「分かった。俺、ちょっと対応に行かないといけないから、正樹さん一人残していい?」


『なんで?』


「後で正樹さんに聞いて。」


少しして、電話の向こうから聞き慣れた声が聞こえてくる。


『電話代わりました。東雲です。大丈夫です。もう彼、大人なので、仕事を優先してください。すぐ迎えに行きます。』


おかしいなぁ。


iPhoneの向こうから、ものすごく冷たい声が聞こえる。


俺は現実から目を背けたくなって、近くの椅子に座り、空を眺めた。


あー、いい天気だなぁ。

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