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人類の罪  作者: 華
幸せの形
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花嫁のお迎え

「でっか……。」


思わず、そんな声が漏れる。


目の前にあるのは船――のはずなのに、どう見ても巨大な建物にしか見えない。


何層にも重なる客室。ずらりと並ぶ窓。


港に停まっているというより、海の上に巨大なホテルが丸ごと浮かんでいるみたいだった。


俺が口を開けたまま見上げていると、縛が横から俺の顎を持ち上げる。


「口、開いてますよ。」


そう言って、俺の口元をハンカチで拭く。


よだれ出てた……はずっ。


「……なんか先輩、雰囲気変わりました?」


道徳はキャリーケースを俺に渡しながら言う。


「ん? そうか? プライベートだからじゃない?」


「そうですか? なんか柔らかくなりましたよね。」


「見た目で?」


俺が聞くと、道徳は不思議そうな顔をしながら、俺を上から下まで見る。


「確かに、見た目も柔らかくなりましたね。」


そう言いながら、笑い声を上げる。


「俺が一番知ってる。」


俺が不貞腐れていると、縛が俺の腹の肉をつまむ。


「ふくよかになりましたもんね。」


ギィー!! みんなそうやって気にしてることばっかり!!!!!


「そうっすか? ちょうどいいじゃない?」


獅鳳くんがそう言ってくれた。


「いい人!」


俺は獅鳳くんの手を握り、上下にぶんぶん振る。


「ハハハ、もぅー先輩、笑わせないでくださいよー。」


道徳はそう言って、俺の肩を叩く。


俺はその手を摘んで、肩から降ろす。


「道徳くん、着いたのね!」


柔らかい声が後ろから聞こえた。


振り向くと、そこにはワンピースを着た和風美人の穂乃果さんがいた。


「ふふ、相変わらず賑やかですね。」


そう言いながら、穂乃果さんはくるっと俺の周りを歩き、上から下まで見る。


「元気そうでよかったです。道徳から殺傷事件で入院したと聞いて、驚きました!」


そう言って、少し心配そうな表情を見せる。


「もう完治したので大丈夫ですよ。」


縛がそう言うと、穂乃果さんは笑顔で頷く。


「よかった。縛お兄さんも参加してくれて嬉しい。」


そう言うと、穂乃果さんの後ろにいた中年の男性が前に出る。


「東雲様。この度は娘の結婚式のために来ていただき、ありがとうございます。」


そう言って、綺麗に包装された菓子折りを縛に渡す。


……なんか箱からして高そう。


「仁志さん、僕の方がお世話になったので。来るのは当たり前ですよ。」


縛がそう言うと、男性は驚いた顔で穂乃果さんを見る。


穂乃果さんが頷くのを見て、男性は微笑みながら、


「ええ……ようこそ来てくださいました。」


そう言って、目元を手で拭った。


「正樹さん。こちら、穂乃果さんのお父様で、久世(くぜ) 仁志(ひとし)さんです。」


縛がそう紹介すると、仁志さんがこちらに手を伸ばす。


「久世(くぜ) 仁志(ひとし)です。いつも東雲様がお世話になっています。何か困り事があれば、久世家に連絡ください。」


「あっ、えっ、佐伯 正樹です! こちらこそ、いつも縛さんにお世話になっています。よ、よろしくお願いします。」


俺はその手を握る。


ひゃー!! 手汗出てないかなぁ。


「噂に聞いていた通り、素直な人みたいですね。」


仁志さんが柔らかく微笑む。


すごい、上品な感じがする!


オカネモチオーラがぁ!!!


俺がプチパニックを起こしているのを察したのか、縛が声を掛ける。


「仁志さん、そろそろ次のお客さんが待っているのではないですか?」


そう言うと、仁志さんは俺から手を離して頷く。


「そうですね。もう少しお話ししたかったのですが、残念ながら時間が足りないようです。」


そう言うと、仁志さんの後ろからスーツを着た男性が出てくる。


「旦那様、あちらに車を用意しました。」


「分かった。行こう。」


仁志さんはもう一度こちらを振り向く。


「では、東雲様も佐伯様も、またお時間がありましたら、ぜひご一緒に食事をしましょう。」


そう言い残すと、車に乗り込み、そのまま行ってしまった。


「おじさん、よく時間作れたなぁ。」


獅鳳くんがそう言うと、穂乃果さんが答える。


「縛さんがいるんだから、当たり前じゃない。」


「あー、おじさんが言ってたのは、このイケメンくんかぁ。」


獅鳳くんが縛を見ると、穂乃果さんは頷く。


「獅鳳くんと穂乃果さんは?」


俺が聞くと、道徳が答えてくれる。


「大学の時のサークルの先輩後輩ですね。ちなみに僕は違うサークルでした。」


「え、というと?」


「獅鳳から穂乃果さんを紹介してもらったんです。」


道徳がそう言うと、獅鳳くんはドヤ顔をする。


「俺の目は間違ってなかったということです。」


「スゲェー!! じゃ、俺の相手も!」


そう言った瞬間、急に後ろから冷たい風がぁ!


「正樹さん?」


久しぶりに聞く、縛の冷たい声。


「はい! なんでもありません。」


俺が即答すると、周囲の人たちが爆笑する。


んぅー、俺も恋愛がしたいのに〜!!

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