めんそーれ、沖縄!
ゴロ……。
窓ガラス越しに、遠くの雷鳴が低く響いた。
男は壁に飾られた写真を見た後、手元に届いた招待状へと視線を落とす。
「……道徳。」
その口元が、ほんの少しだけ緩んだ。
男はそっと招待状を机に置くと、そのまま部屋を出ていった。
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ミーンミンミン
季節は猛暑。汗が滴る。
じめじめと湿った空気のせいで、滴る汗が肌や服にまとわりつく。
「あつーい!」
キャリーケースを押しながら、Tシャツの袖をまくり、頭に乗せたサングラスを押し上げる。
「沖縄なんだから、暑くて当然じゃないですか?」
俺は隣に立っている全身真っ黒な男を見る。夏だから露出も増え、汗でべったりと張りついた服の上からでも分かる、割れた腹筋に思わず喉が鳴る。
俺は自分のお腹を見る。同じご飯を食べているはずなのに、ぷにっとしているのは納得できないのであった。
「確かに〜。でも、それでも暑い〜〜。」
俺はキャリーケースにぐてっと横たわる。
なんで俺達が沖縄にいるのかというと、それは新潟から帰った後から話さないといけない。
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「ふぁー、んぅ〜! 東京の空気だぁ〜。」
俺は朝起きると、玄関を出て体をぐぃーっと伸ばしながら、大きく息を吸った。
新潟の空気が恋しい!
暑くなる前に郵便ポストを確認してから、散歩に行こうと思ってる。
本日から俺は朝のウォーキングをスタートするのだぁ!! そう思いながら、俺は自分のお腹を触る。
「よいしょ。」
俺がポストを見ると、綺麗なビニールに入った物を見つけた。
…………
ガチャ
「縛〜〜、なんかビニール袋に入った物、郵便ポストから見つけた。」
俺は階段の下から、2階に向かって大きな声を掛ける。
すると、
ゴッ、ドン、パタン
「は、はーい! 今行きますから、開けないでくださいね。」
2階からパジャマを着た縛が降りて来る。珍しく遅起きだぁ。
「どこかぶつけた?」
俺が聞くと、縛は自分の肘を指差す。
「ちょっと肘を……。」
そう言って、肘を俺に見せる。うん。赤いね。
俺は冷やせる物を冷蔵庫から出す。
「こんにゃくですか?」
「冷たくて気持ちいいでしょ?」
「……。」
無言になる縛。その腕を引きながらソファーに向かう。
そして、俺がビニールに手を掛けると、横から手が伸びて来た。
そのまま袋を持って行く。
縛がビニール袋を開けると、中には封筒が入っていた。
「すごい、綺麗な封筒だね。」
俺が歓声を上げながら、封筒を手に取る。
縛は何かに気付いたのか、その表面を指差す。
俺はその表面を見て、顎が外れるかと思ったぐらい大きく口を開いた。
「道徳の結婚式!!!!!!!」
前から聞いていた、結婚式の招待状だぁ!!
俺は急いで封筒を開けて、「参加」に丸をした。
すごいーーー!!!!
道徳達、結婚式沖縄でやるんだぁ!!
ん? 待って。
招待状の返事する期限、過ぎてないか??
気付いた俺は縛に聞くと、縛はもうとっくに書いて出していたらしい。
やばいーーーーーーーー!!!!!
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本当、危うく一人で留守番する所だったわぁ。
そう思いながら、俺はキャリーケースに肘をつき、空を見上げた。
なんか曇って来たなぁ。
俺は縛と二人で、ホテルの迎えをじっくり待つとしよう〜。
プップーー!!
車のクラクションに俺は顔を上げる。
「先輩〜〜! 正樹先輩〜〜!! 縛さん〜〜!!!!!」
車の窓から顔を出していたのは道徳だった。
「おっ! 道徳ーー!!!!」
俺が両手を上げてぶんぶんと振ると、道徳も片手でこっちに振り返す。
目の前で車が止まると、道徳が車から降りて来た。
「先輩!! お久しぶりです!! 縛さんもお久しぶりです!」
ニコニコで走って来る道徳に、俺も笑顔で駆け寄る。
「本当ー!! おめでとうーーーー!!! 明後日の結婚式楽しみだぁ。」
「本当っすか?! 遠くから来てくれたので、ぜひたくさん遊んで、食べて行ってください。」
道徳の言葉に俺は頷く。
そう、この沖縄の結婚式。なんと、交通費やらホテル代やら、ご飯やらと全部込み込みで道徳達が持つ事になっている。
「本当、まさかクルーズ船で離島まで行って、海の上で過ごすとは思わなかったよ。」
俺が言うと、車の中から知らない声が返って来る。
「本当すごいっすよね。」
俺が振り返ると、車の中にチャラそうな男性がいた。
「道徳、後ろから車来そうだから、荷物入れたら車に乗って話したら?」
男性がそう言うと、道徳は「確かに〜!」と言いながら、俺らの荷物をトランクに入れて行く。
縛が車のドアを開けてこっちを見る。
はいはい。乗りますよ。
俺は車に乗ると、男性が声を掛けてくれた。
「めっちゃ暑かったですよね! 大丈夫でした?」
「沖縄に来たって感じがしたから、逆に楽しみになったので大丈夫ですよ!」
俺が答えると、男性は「よかったよかった。」と言って、そのまま全員乗ったのを確認して、車を出発させる。
「あっ、そういえば先輩達に紹介しないとですね。」
道徳は助手席からこっちに振り返る。そして、男性を指差しながら紹介してくれた。
「尾野 獅鳳、僕の幼馴染です。」
道徳の後に続いて、獅鳳くんが話す。
「しおんです〜。しおんちゃんって呼んでね〜♡」
「もう、獅鳳ふざけてないで真面目に運転して。」
「はいはいー。」
なんとも軽い返事だぁ。
「佐伯 正樹です。道徳くんの同僚です。」
「東雲 縛です。会社の………上司? です。」
「なんで疑問系なの? 間違いなく上司じゃない?」
「こういう場面は初めてなので、紹介の仕方に考え込んでしまいました。」
縛は珍しく真顔で言う。さては、人見知りしてるのか?
「お二人さん、よろしくお願いします〜。うちの道徳はちゃんと働いてますか?」
獅鳳くんはニヤニヤしながら、バックミラー越しにこっちを見る。
それを見た道徳は、その隣で文句を言っていた。
珍しい道徳の姿に、俺は思わずじっくり見てしまった。
そんな事をしている内に、窓から少しずつ船が見えて来る。
俺は初めてのクルーズ船に感動していると、段々とその大きさに違和感を持つ。
「デカイね。」
俺が言うと、運転席の獅鳳くんが嬉しそうに言う。
「そりゃ、世界一ですから。」
「すごい〜! こんな大きいの初めて見る。」
「ですよね!」
獅鳳くんがニコニコで答えると、縛が口を開く。
「尾野さんって、まさかこの船をデザインした尾野グループの息子さんの……。」
「そうそう! これ俺ん家の船。この船、もう5年は運航されてるので、安全性バッチリですよ。」
そう言うと、獅鳳くんは声を出して笑う。
………ン? ナニ、コノオフネ、オノサンノ??
オカネモチコワイ
待っていてくださった皆様、ありがとうございます!
いよいよ第三部がスタートです!
第三部の投稿につきまして、今までとは少し異なる点があります。
これまでは毎日更新していましたが、9月中旬までは投稿頻度がバラバラになってしまう予定です。
9月中旬以降は、今まで通り毎日18時に更新する予定です!
更新が不定期にはなりますが、第三部も楽しんで読んでいただけたら嬉しいです!
それでは、第三部もよろしくお願いします!
では、めんそーれ!!!!




