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人類の罪  作者: 華
動き出した繋がり
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番外編:恋する乙女

もう少しで夏休み。


新潟旅行を終えて、久しぶりの登校日。


よしっ。今日こそ誘う。


いや、誘いたいなぁ。


私は鏡に映る自分を見て、身なりを整える。


そうしていると、急に横からドンッと軽い衝撃が来る。


「ふふ。結愛、いよいよ今日誘うつもりなの?」


親友の菜乃花が私に寄りかかる。


「う、うん。誘えるかなぁ。」


私が菜乃花の方を向くと、菜乃花は笑いながら頷く。


「絶対成功するよ!」


そう言って、親指を立てる。


その言葉に少し自信がつき、私は手のひらの汗を拭く。


「がんばる!」


そう言って私は先にトイレを出ると、目的地に向かって歩き出す。


今は放課後。


人が少なくなったこの校舎で、いつも彼がいる場所。


私は校舎の裏側にある大きな木を目指す。


「よしっ、今日こそは。」


そう言って、拳を握って気合いを入れる。


「何が今日こそはなの?」


後ろから聞こえた声に、思わずドキッとする。


まさか。


なんでここに!?


「柊木?」


そう言いながら私の顔を覗き込むのは、好きな彼。


「わ、渉くん。部活は?」


いつもいる場所を知ってるの、バレてはいけないー!!!


「ん? 終わったよ?」


そう言うと、少し不思議そうにする渉くん。


「そ、そうなんだ! 早いんだね?」


「柊木こそ、いつも部活の時間じゃない?」


「え? 今日、顧問が用事あるから部活休みなんだよね。」


「へぇー、だからかー。」


渉くんがそう言うと、何か納得したように頷く。


なんだろう?


「あれ? そういえば渉くん、帰らないの?」


「あ、荷物ちょうど取りに行くところだった。」


そう言うと、渉くんが歩き出す。


私は高まる心音に、落ち着け、落ち着け、と自分に言い聞かせる。


渉くんが何歩か歩くと、こっちを振り向く。


「柊木、ちょっと待ってて。送っていくよ。」


そう言うと、渉くんは少し駆け足で行ってしまった。


え?


今なんて言った?


送っていく?


えーーーーーーーー!!!!!!!!!


ど、どうしよう!!!!!!!!


やばい!


私はとりあえず落ち着こうと、廊下の壁に寄りかかる。


そ、そうだ!!


メッ、メッセージを送って相談すれば!!


そう思って携帯を取り出し、菜乃花に連絡する。


よしっ! 送った!!


そう思って顔を上げると、さっき去って行った方から渉くんが息を切らして戻って来た。


「お待たせ!!」


そう言うと、自分のおでこの汗を拭う渉くん。


「う、ううん。待ってないよ。」


「そう? じゃ、行こうー?」


そう言うと、渉くんが歩き出す。


ピコン


私は携帯を取り出すと、画面には菜乃花から『ファイトー!!』とメッセージが入っていた。


「柊木?」


「あ、今行く!」


私は携帯をポケットに入れ、渉くんに駆け寄る。


二人きりの帰り道。


「来週、期末テストだね。」


「う、うん! 渉くんはもう復習とか、まとめたりとかしてる?」


「全然まだやってないよー。柊木は?」


「私もまだやってない。」


「またまた〜。学年上位の人がそう言うと、俺はどうなるんだよ〜。」


「渉くんも変わらないでしょ!」


私がそう言うと、渉くんは嬉しそうに笑う。


んぅー!


すきーーーー!!!


そんな気持ちを抑えながら、私は本題を切り出す決心をする。


「そ、そういえば。期末テストが終わると、夏休みになるね。どこか遊びに行くの?」


「そうだなぁ〜。今年はまだ、どこも予定立ててないなぁ。」


「じゃ、じゃあ皆でお祭り行かない!?」


え!


待って私!!!


なんで『皆で』って言いながら誘っちゃったの!?


「ん〜、皆よりは柊木と回りたいから。一緒にお祭り行かない?」


え?


私は渉くんの顔を見る。


渉くんは、耳まで真っ赤になっていた。


「わ、私でよければ。」


「うん。柊木がいい。」


そう言うと、渉くんは照れくさそうに自分の頭を掻く。


ドクン、ドクン。


高まる心音に、私の顔まで熱くなっていく。


「あれ? 結愛? 何してるんだ?」


後ろからお父さんの声が聞こえて、私は周囲を見る。


いつの間にか、お父さんの店の下まで着いていたみたい。


「あ、こんばんは。じゃ、また明日。」


そう言って渉くんが手を振り、走り去って行く。


私はその姿が見えなくなるまで、じっと見つめた。


「ん? おーい?? 結愛?」


お父さんが視界に入って来なければ、最高の気分だった。


そう思いながら、私は目の前に入ってきたお父さんの顔を手で払いのける。


「な、何だ? 結愛?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ただいまーー!!!」


俺が家に帰ると、キッチンから母さんの「おかえり〜!」という声が聞こえた。


俺はさっきまでの出来事を思い出すと、思わずガッツポーズをする。


誘えた!!


これで一緒にお祭りに行ける!!


「ん? まったく何? この子は。早く入りなさい。」


キッチンから母さんが玄関までやって来る。


「へーい。」


「『はい』でしょ〜。手洗ったら、ひまりおばちゃんと圭太おじちゃんに線香あげて来なさい。」


「へい〜へーい。」


「もう。」


母さんの小言を聞きながら、俺は手を洗い、見たことのない二人に線香をあげる。


仏壇に飾られている写真の二人は、母さんと父さんの親友らしい。


二人とも若くして亡くなったことしか知らない。


でも、今でも二人を大切に思っていることは、母さん達を見ていれば分かる。


二人とも、どんな人だったのかは気になる。


でも、その前に――


どうか今回のお祭りデート、うまくいきますように!!

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