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人類の罪  作者:
9/21

三鈴総合病院

自分以外にも被害者がいる事が分かると、人は妙に冷静になるのか。意外な発見だ。


「正樹さん、食べ終わりました?容器片付けたいのですが?」


いつの間にか食べ終わった縛を見ると、手には食べ終わった容器を持っていた。


「あっ、もうちょっとで食べ終わる。」


慌てて、残っているご飯を口に詰め込むと空になった容器を縛に渡す。


「そうだ。お風呂入れてあるので入ってくださいね。服とタオルも洗濯機の上に置いてありますから。」


……もう俺からツッコミは入れないぞ。

なんで服とタオルの置いてある場所を知っているのかとか、絶対言わないぞぉ…


お風呂場に移動すると、本当に洗濯機の上に服とタオルが綺麗に畳んで置いてあった。


「……………………。」


服を脱いで、体を洗い終えると湯船に浸かった。入浴剤は大好きな檜の匂いだぁ……


………え?

…なぜ檜の匂い?

……え、こわっ


思わず浴室から出て、キョロキョロと見渡す。そうだよなぁ、さすがになぁ…肩の力を抜いてお湯に浸かる……………はぁー色々あったから、お湯が身に染みるぅ〜


風呂を終えて、浴室から出ると、洗面台に歯ブラシが用意されていた………うん。


髪も乾かして、歯磨きを終えて布団に入り、iPhoneに触る。


いつの間にか、縛の姿はなかった…………


「と言うとでも思ったのかぁ!?なんで人の布団に入ってるのですか!?家に帰れ!」


風呂入ってる間に縛は帰ると思った。てか帰って欲しかった!なんで人の布団で、毛布に包まっているんだ!てか、風呂入る前に布団に入るじゃねぇー!


「うるさいですよ。早く寝ないと背伸びませんよ。」


毛布に包まった縛はこっちには見向きもせず、まるでこっちが悪いみたいに話す。


「分かりましたとでも言うと思う?え?びっくりなんだけど!ここ俺の家。俺の布団!知ってる?」


「もぅーしょうがないじゃないですかー、ベットは明後日届くので、それまで雑魚寝ですよ。」


…ん?まさか、いや流石にそんなわけ………


「え?まさかここに住む気?」


「何を今更〜去年の11月からずっーと一緒に住んでるじゃないですかぁ?まぁ、顔は合わせてないけど。」


最後にボソリと言ったのは聞き逃さなかったよ!聞き逃さないよ!


「こわっ!それ!不法侵入と言うんですよ!え!11月からいたのですか!?えっ!こわっ!!」


と言う事は、あれやこれやしてたのも知ってる?いやいやいやいや、人にはプライベートってものがあるだろ!?

こわっ!!


「もうー!うるさいなぁ!」

怒った縛は自分の毛布をガバッと開くと、俺ごと包み込んだ。

そして、なぜかやった本人の目がまんまるになっていた。いや、怖いのはこっちなんですけど!?


何かをされるのか恐怖で固まっていると、抱き枕にされ、トントンされてる。……俺は、子どもじゃない。………くそー無駄に筋肉質だなぁ、まったく動かない…………………やたらといい匂いしてむかつくぅ……………


「すー、すぅー。」


「いや。そこはドキドキして寝れないとかじゃないの?」

そう呟く縛の声はもう俺の耳には届かない。


-----------------------------------------------------------------


スッキリ寝たおかげか、目覚ましを掛ける事なく起きる事ができた。


「………………まつげながっ。」


目の前には縛がいる。寝ていても綺麗な顔をしているのだなぁとじっくり観察していると、気付いてしまった。


「ここ俺の家。」


昨日の夜の出来事を思い出すと、また不服な気持ちが顔を出す。気分を変えようと、縛の腕から抜け出すと、身支度を整えて、三鈴公園に向かう。


いつものカフェでカフェラテを買いながら、目当ての人を待つ。


ドクン、ドクン、ドクン


待っている間は自分の心音がやけにはっきりと聞こえた。…………………あれから多分2時間待った。多分ね。


目当ての人は来る気配がなく、手に持っているカフェラテを飲み干し、総合病院に向かった。


ナースステーションで目当ての人を探そうと、ナースに声をかけようとしたが、思い出した。名前を知らないという事に。


「うぅー…………。」

ナースステーションの前で、腕を組み、声に出して悩んでいると、見た事があるメガネがぁ!!


「おーーい!メガネをかけた女の先生ー!」


声に気付いたのか、こっちを見たメガネの先生に手を振る。すると、嫌そうな顔をしながら、早歩きで引き返して行く。


「ちょっ、ちょっ!先生!?」


思わず駆け出し、医者の前に行くと


「院内は大声禁止です。それと、走るのも禁止です。歩いてください。」


歩みを止めない医者にしばらく付いて行くと、突然医者が止まった。


「なんのご用事ですか?」


聞き返してくれた医者に思わず笑みが溢れる。


「えっと、あの子は元気?」


「元気です。では」

医者は片手を上げながら、俺の横を通り過ぎようとする。


「待って待って、話を聞いてくださいー」

医者を止めようとすると、医者に思い切り睨まれた。


「え…えっと………」


いざ聞きたい内容を口にしようとするが、それは果たして聞いていいのか、悩んでいると


「なんですか?何もなければ仕事に戻らせて頂きます。」


苛立っている医者を見て焦ってしまう。


「14年前の事件って知ってます?」


違うーーー!もっと聞き方があったのにーー!あぁーやってしまった。


「政治家が逮捕された事件の事を言っています?」


おーーー!知ってた!!


「どこでそんな事知ったのは知りませんが、そんな事で呼び止めないでください。では。」


自分の隣りを颯爽と歩いていく医者に、これ以上の事を聞く勇気が俺にはない………


とぼとぼしながら、出口まで歩いて行こうとしたら、


販売店の前にいる人達から聞こえるのは


気になる話だった。


「ねぇ、406室にいるあの綺麗な子知ってる?」


「あぁー、あの事件の子?」


「そうそう、あのボッーとしている綺麗な子!」

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