好奇心
人はやっぱり不満が隠せないものだぁ。
…大人が頬を膨らませて、弁当を食べるものではない。
「なぁ、なんで公園に置いて行ったの?」
突然静かな声で切り出す相手に思わず驚いてしまった
。
「声は掛けたのですが、反応がなかったので先に公園を後にする事にしました。」
まさかそんな事を聞かれるなんて思わなかった。それより事件の事はなんでもいいのか?
「いや、この家にいるなら、俺の事はおんぶしてても連れて帰るべきだと思います。」
何を言い出すんだぁと思いながら、少し距離を開ける。
「いやいや、他人でしょ。」
思わず素が出てしまった。
「その他人の家にいるのは誰ですかね。」
こちらをじっと見つめる目に思わず、手を振って拒否する。
「ほぼ家族みたいなもんでしょ?」
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真顔で話す縛を見て、頭を使って話す事をおすすめする、と心の中で言っていた事は内緒だぁ。
「意味不明ですよ。」
攻撃力抜群なこの言葉に話してしまった自分を反省する。でも、自分も公園に置いて行かれたからお互い様だぁ。
「心当たりがある筈ですよ。」
こっちをじっと見つめる意思の強い目…
心当たりかぁ……あるかなぁ〜…
そして思い出すのは、レンジの唐揚げ弁当、やけに減りが早いシャンプー、そして突然上がった電気代!他にもまだある!
「おまえかぁ!最近レンジに弁当入れたり、シャンプーの減りが早かったり、電気代が高かったりしている原因は!」
思い出すとふつふつと怒りが湧いて来る。
「待ってください。レンジは僕ですけど、シャンプーと電気代は自分の使い過ぎではないですか?そういうのじゃなくて、もっとよく思い出してください。」
静かな口調で話す縛の話を聞きながら、目を閉じて考えて見る。
そして、出たのは
「全くありません。」
それが俺、正樹の結論である。
その結論を聞いた縛は、心なしか少しガッカリしていたように感じる。でも、俺は悪くない。
そんな縛が自分のポケットに手を入れるのを見て、思わず身構える。
そして出されたのは、USBだった。高そう…
「なんだこれ。」
「USBですよ。」
「知ってる、そういうのじゃなくて。」
真面目に答える縛に思わずイラッとする。
「あー、これ事件の被害者の情報が入っているUSB。見ます?」
見ます?じゃないよ。なんで持っているんだぁ?そういうのって警察とかがしっかり管理してるってドラマで見たぁ!まさか……ネットハッキング?
「はっ、犯罪じゃないかぁ!」
驚いて声に出てしまった。
「黙ってればいいじゃないですか?」
ケロッと言う縛。
そして、またもや下に手を入れ始めた。しばらくもぞもぞしていたら、パソコンを机の上に置いた。やけに見覚えがあるパソコンだなぁ………あれ?…それ俺のじゃねぇ?…
「ちょいちょいちょい!お兄さん!!それ俺のパソコンではないですかぁ?!え?どこから見つけた?待って、それ俺の!!でこらっ!話を聞け!」
文句を言う俺には全く気にも留めず、慣れた手付きでどんどんダビングをする。
あっという間に作業が終わったのか、
「ほらっ、ここ。」
と白い指で指していたのは、幼い頃の自分。
ん…?…幼い頃の自分……
いやいや、他人の空似ってこともあるし〜
ドッと全身から冷や汗が出ると、家にある押し入れに走る。そして、大事にしまってあったボックスを開き、施設で撮った写真を取り出し、パソコンの側に駆け寄る。
自分の写真とパソコンの写真を何度も交互に見比べる。
その姿を後ろから覗く縛は顔を顰めた。
俺が……本当に14年前の事件の…………
……被害者?
今までなんで小さい時の記憶がないだろうと思ってた時もあったけど、小さい時だしっとあんまり気にしてなかった。でも、これでなんでないのか、原因は分かったのかもしれない………
………………はぁー、俺が被害者かぁー
両手で顔を覆うとより一層実感して来る
……はぁー
………………………ん?フォルダ二つある。
なんだろう?何か他に俺の事あるのかなぁ。
マウスを持って、開いていないフォルダをクリックする。
……そこに映っていたのは
見覚えのある茶色髪
そして人形のような顔……
今日公園で会ったあの人だぁ……
……そうか、彼女も被害者だったのかぁ。




