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人類の罪  作者:
動き出した繋がり
80/89

イカ焼き

「んぅーーー!!!!」


新潟の空気、美味しいーー!


朝ご飯も食べて準備を終えた俺たちは、車に乗って観光へ出発した。


縛はいつの間に小型バスを予約していたのか、みんなでバスへ乗り込む。縛が運転するのかと思ったら、さすがに運転手さんがいた。


「縛が運転するのかと思ったよ。」


「運転はできますよ。でも今日はやることがありますので。」


そう言って縛は地図を広げる。


今やスマホが主流の時代に紙の地図なんて珍しいと思うでしょ?


その地図には、細かく甘い物のお店が書き込まれていた。


「……。」


今回の目的は笹団子らしい。


俺はまだぽっぽ焼きを食べたい。


そんなことを考えていると、後ろから肩を叩かれた。


「ん?」


「なぁなぁ、正樹くんさぁ。なんで靴下、色違うの?」


そう聞いてきたのは昴くん。


その隣では圭介さんがニヤニヤしながら座っている。


さては、圭介さんが教えたなぁ。


「えっと、間違えちゃったのよね。」


「あおくんと一緒だぁ〜。あおも今日、靴下バラバラだよ。」


そう言われて俺はあおくんを見る。


ん?


確かに靴下は色違いだ。


……待って。


あおくん、靴まで左右違わない?


「靴も違うでしょ? あれ、本人はファッションだって。」


圭介さんが笑いながら説明する。


なるほど……なかなかのセンスをしている。


「まぁ、正樹くんもファッションだと思ったよ。」


……それで笑ってたのか。


そう思いながら圭介さんを見ていると、昴くんへお菓子を差し出していた。


「あっ、いらない。」


昴くんは即答だった。


「美味しいのに。」


そう言いながら、圭介さんは自分で食べる。


「またご飯食べられなかったら、お父さんに怒られるよ。」


昴くんが呆れたように言う。


どうやらいつものことらしい。


そんなことを思っていると、隣からもボリボリという音が聞こえてきた。


「……。縛、あーんして。」


縛は首を傾げながら飴を口へ放り込み、ごりっと噛み砕く。


こいつ、飴をそのまま噛んだなぁ。


「歯、割れるよ。」


「そんなやわな歯をしている覚えはありません。」


そう言って、また飴を口へ放り込む。


俺はその袋を見て思わずぎょっとした。


あずきミルク味……甘そう。


「いります?」


「いらない。俺はこれ食べる。」


そう言って俺はラーメン味のお菓子を取り出す。


「……ラーメン狂ですね。」


「違うよ〜。これはラーメンじゃなくて、お菓子だから。」


そんなことを話しながら、俺たちは目的地まで珍しくのんびり過ごした。


後ろの席は大騒ぎだったけど、稔さんに怒られていた。


ドンマイ、昴くん。


目的地へ着くと、市場中に威勢のいい声が響いていた。


焼き魚や海鮮の香ばしい香りが風に乗って漂ってくる。


「おぉーー!! うまそうだなぁ!!」


柊木さんは並べられた海鮮を見て、嬉しそうに笑う。


「ねぇ、お父さん! あの番屋汁、数量限定だって!」


「美味しそうね!」


結愛ちゃんと真美ちゃんが言うと、柊木さんは何も言わずお店へ向かっていく。


「あの牡蠣、美味しそう〜。」


「お母さん。僕も番屋汁飲みたい。」


「僕はあれがいい!」


あおくんは団子を指差した。


すると稔さんは牡蠣のお店へ、圭介さんは番屋汁のお店へ向かう。


「僕、団子を買うので、ついでに買ってきますね。」


そう言って縛も団子屋さんへ向かった。


あっ、甘味噌も付いてるのかぁ。


気付けば俺だけ何も決められず、一人で悩んでいた。


「正樹さんは何食べますか?」


双葉さんが声を掛けてくれる。


「正樹くん。ここではラーメンはないと思うわよ。」


真美ちゃんが笑う。


「あれとかどう?」


結愛ちゃんがイカ焼きを指差した。


「……。」


俺が悩んでいると、柊木さんが戻ってきた。


「ほれ。番屋汁とイカ焼き、それから焼き魚。」


そう言いながら、イカ焼きを俺へ渡す。


「……?」


「ん? これじゃなかったか?」


「お父さん、それ隣のお店のイカ焼きだったじゃない?」


「そうか? イカ焼きなんてどこも一緒だろ。」


柊木さんたちが話していると、縛も戻ってきた。


「はい。買ってきましたよ。」


そう言って俺へイカ焼きを差し出す。


「……なんでイカ焼き?」


「ん? 正樹さん、ずっと見ていたじゃないですか。」


縛が言うと、俺は柊木さんたちを見る。


「ずっと見てたぞ〜。」


真美ちゃんと結愛ちゃんもうんうんと頷く。


そんなに見ていたのだろうか。


「はい。これ、あおさんの分ですよ。」


縛が団子をあおくんへ渡す。


「ありがとう!! でも、僕あおくんだよ!」


少しぷんぷんするあおくん。


その可愛さにみんなが笑ってしまった。


「おーい、双葉ー! 牡蠣、ポン酢かけるよな?」


「うん、お願いー。」


「なぁ、あそこ座れそうだから行こうぜ。」


圭介さんは番屋汁を持って戻ってくる。


「そうだね。稔もそろそろ来るだろうし、移動しようか。」


「この人数なら、それがいいと思う。」


双葉さんは子どもたちを圭介さんへお願いすると、稔さんのところへ向かった。


そして戻ってきた時には、口がもごもご動いている。


「あっ! 先に食べたなぁ!」


「牡蠣、美味しいよ! あとでみんなの分も稔が持ってきてくれるらしいから、先に行こう。」


そう言って、みんなで移動する。


俺は手に持ったイカ焼きをじっと見つめる。


こんな何気ない時間が、なんだか嬉しかった。


楽しい。

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