無邪気な笑顔
今日も天気が良い。
もう少しで稲も黄金色になる。その頃には、また忙しくなるぞ。
ん?我が家のやんちゃ坊主達はどこに行った?
俺は草刈機を片付けながら、あいつらの言葉を思い出す。
確か、最近白いカラスを見かけるようになったとかで、餌をあげてると聞くなぁ。
まぁ、とりあえず片付けて探しにいくか。
青々と風に揺れる稲を見ながら、俺はこの選択をして正解だったと今でも思う。やんちゃで生意気だけど、可愛い2人の息子。そして、口はつれないけど、心温かい嫁。俺は幸せだぁ。
俺は家に向かい、歩き出す。
ん?なんだ?
肩に白い鳥を乗せた人が小さい子に話しかけてる。
ん?あれ?うちのやんちゃ坊主達じゃないか?
まさか最近噂の怪しい人か?!
俺は男の肩に手を置くと、肩に止まっていた白いカラスが飛び立った。
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大男が口を開く。
「うちの子に何か用か?」
重たく、ずっしりした声で、がっしりした体型の男。
その手に掴まれた肩は痛い。
ん?うちの子?
「父ちゃん!!」
小学生だと思われる兄が大きな声を上げて安心する。
………田中先生の時もだったけど、俺はそんなに不審者に見えるだろうか?
「いや、俺、畑を眺めていたら、この子達に声を掛けられて……。」
大男はじっと俺から目を離さず、口を開く。
「本当か?」
「はい、ほ──」
「あおがさっき先に声かけた。」
俺の声に弟の声が覆い被さった。
「あお、家に帰ったらまたお話しなぁ。まずは、兄ちゃんに聞きたいことがある。」
俺はキョトンとしながらも、大男の顔を見る。
「なんでここに来た?」
なんで??そりゃ……車で待ってられなかったから。
「えっと、ここの近くのお家にお邪魔してて、俺だけ話し合いに参加できないので、散歩に出掛けて来た所です。」
そう言って、俺は両手を上げて、手のひらを見せる。
「そうか、客だったのか。そりゃ申し訳ない。」
「いえいえ、1人でいる俺がいけないので。」
俺がそう言うと、弟の方が口を開く。
「え?1人じゃないよ。はくちゃんもいた。」
そう言うと、得意げな顔を見せるその姿に思わず笑みがこぼれる。
「あ?」
大男が威圧的な声を出す。
「あ、いえ。可愛らしい姿だなぁと思いまして……」
俺がそう言うと、大男は俺の肩をバシッと叩き、「うちの子、かわいいだろ。」と笑顔を見せた。
「わりーな、兄ちゃん。不審者かと思って警戒してしまったわぁ。」
そう言った後、子ども達へ目を向けて苦笑する。
「あおは人懐っこくてなぁ。誰にでも話しかけるんだ。それはいい事なんだが……最近は物騒な話も多いだろ?親ってのは、どうしても先に疑っちまう。」
「いえ、その気持ちは分かります。俺も年下の子達と遊ぶ事が多かったので。子どもって、本当に知らない人にも笑顔で話しかけますから。」
「そうか。」
大男は安心したように頷いた。
その時、白いカラスが子ども達の近くへ降り立つ。
「はくちゃん!」
弟は嬉しそうにソラへ駆け寄り、ソラも楽しそうに飛び跳ねる。
「その白いカラス、兄ちゃんにも懐いてるんだな。」
「気付いたら一緒にいるようになってました。」
「不思議な鳥だよなぁ。うちの子達ともよく遊んでくれる。」
そう言って笑う姿に、俺は連れの柊木さんを思い出す。
「可愛い息子さん達ですね。俺、施設で育ったので、よく年下達とも遊んでいました。懐かしいです。」
俺の言葉に大男が息を呑む音が聞こえた。
「そうか、兄ちゃん施設育ちか?」
「はい、そうですよ。」
「そんなふうに話せるって事は、大切に育ててもらったんだなぁ。」
男の声は先程と異なり、少し和らいだように感じる。
「そんなふうにって?」
俺が聞くと、大男が手招きをする。
?なんだ。
俺らの話を聞いていた子ども達は飽きたのか、畑の近くで遊び始めた。
ソラも子ども達の後を追うように近くへ降り立ち、一緒に遊んでいる。
「施設で育った事を言えるという事。」
………どういう意味だろ?
俺が不思議そうな顔をしていたからか、大男が少し苦笑をする。
「少し腰を下ろして座ろうか。」
そう言うと、大男は畑の周りに腰を下ろす。
遠くでは、子ども達とソラが楽しそうに遊んでいる。
ソラが安心しているのを見て、俺は決意をする。
よしっ、何か分からないけど。
なんとなく聞かないといけないような気がする。
俺は大男から少し離れた所で腰を下ろす。




