表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人類の罪  作者:
動き出した繋がり
61/89

逃れない現実

「佐伯さん、会社の人がお見舞いに来ましたよ〜」


俺は絶望感に浸っていたが、縛に大丈夫だと珍しく慰められている。


入って来たのは、道徳と中年の優しそうな男性。


うん、会社のパンフレットとかで見た事ある。


「突然失礼して申し訳ない。」


社長だと思われる男性が口を開く。


「いえ、こちらこそこのような格好で申し訳ございません。」


「いいですよ。気にしないでください。」


「お休みを頂いて本当にありがとうございます。有給消化後、すぐに復帰しますので。」


俺は頭をペコっとする。


社長は俺を起こしながら


「気にせず休んでくれ。今回事件に巻き込まれて大変な思いをしたでしょうから、会社からは有給消化後、3ヶ月のお休みが下りました。」


「え!働けます!」


「いやいや、君はもう少し休んでもいいですよ。いつも頑張ってくれてる事は噂で聞いてるよ。」


社長の言葉に俺は思わずうるっとする。


「社長〜。」


俺がそう言うと、社長がまた口を開く。


「それにこれは理事長命令でもありますしね。」


そう言うと、俺の横を見る。


……………。


「しゃ、社長……理事長って誰ですか?」


「おかしな質問しますね?理事長なら隣にいるでしょ?」


そう言いながら、社長はニヤッとする。


………いやいや、まさか。


横を向く。


そこにいるのは、縛。


…………。


「理事長?」


俺が聞くと、縛は「理事長の東雲です。」と自分を指差す。


道徳が笑っているのが見えた。これは知っていたなぁ。そして、社長も肩を揺らして笑っていた。


皆知っててやっていたのか………まぁ、いいか。


「じゃ言葉に甘えて休ませて頂きます。」


俺が言うと、縛は「あー、ゆっくり休め。」と言い、社長と病室を出て行った。


道徳はベッドの横に来ると、少し落ち込んでいた。


「先輩トラブル体質過ぎませんか?今回は助かったけど、また何かあったら………とりあえず厄祓いに行ってください。」


そう言った道徳は俺におすすめな所を教えてくれた。東京、大阪、名古屋、そして沖縄。とくにおすすめは沖縄なようだ。


遠いぞ。


「遠いかもしれないですけど、めっちゃすごいですよ!俺今まで女の子達に騙される事が多かったじゃないですか?親の紹介でそこに行ったから、ほのかに会えたのですよ!なので、行ってみる価値ありです!」


そう言って、俺はおすすめされた霊媒師?ユタの連絡先をもらう。


『比嘉 麗子』


珍しい苗字だなぁ〜


そう思っていると、道徳はこの後打ち合わせがあると言って、病室を出た。交代で縛が入って来ると俺の手元にある連絡先を見る。


「比嘉って珍しい苗字ですね。」


「珍しいよね〜それで、めっちゃすごいらしい。」


そう言うと、ふーんと興味があんまりない様子だった。


「縛。そういえばなんで言ってくれなかった?」


「何をですか?」


「理事長だって。」


「聞かれてませんでしたからね。言う必要ないかと。」


そう言いながら、お見舞いのフルーツからりんごを取って、りんごの皮を剥いていた。


「………まぁ、聞いてないしなぁ。」


そう言うと、目の前にりんごが出された。


……………。


「どうしたんですか?食べないですか?」


不思議そうにしていた縛。こいつ、忘れているのかも。俺怪我してまだ起きたばかりよ。それとも新しい刑罰か??


俺が「んー。」と唸りながら悩んでいると、気づいた縛が「あー。」と言いながらりんごを回収して行く。


そうそう、俺はまだ食べられないんだよ〜


縛はオレンジを手に取る。


「オレンジがよかったですか?」


「ちがう〜!俺食べられないの。まだ水しか飲んじゃいけないの!」


耐えきれず、俺がツッコミを入れると、


縛はニヤッとする。


起きてからしばらくこういうやり方で遊ばれる事が多くなった。


絶対楽しんでやがる。


と思い俺は不貞腐れた。


「あー、怒らないでくださいよ。これ持って来ましたから。」


そう言って、縛が持って来たのは北海道で見つけたファイル。


「…………。」


こいつ、俺を休ませる気ないなぁ。


「iPhoneも好きに使えないから、ファイルでも見て暇を潰してください。」


……確かに暇だぁ。


俺がファイルを取ると、縛は嬉しそうに笑った。


最近は少しずつ表情が豊かになって来たなぁ。


でも、持って来たのは、絶対俺が北海道から戻って来て、一回も開いてない事に気付いているからだと思う。


はぁー、踏み込むと決めたのは俺。


気合いを入れて、ファイルを開く。


そのファイルには、見た事ない名前が書いてあった。


『FILE No.006


人格形成比較実験


対象個体

FUTABA SUZUKI

HINA SUZUKI


目的

同一遺伝子を持つ個体を異なる環境下で育成した場合、人格・能力・精神性にどのような差異が発生するかを観察する。』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ