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人類の罪  作者:
動き出した繋がり
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僕の愛しいマリオネット

あー、なんで運命はこんなにも残酷なんだ。


もっと早くに出会えていたら、僕はこんな人生を歩まずに、ずっと君のお世話をしてあげられたのに。


幼い頃から上に姉が2人いた影響からか、人形が好きだった。特にフランス人形みたいな、白い肌、赤い唇、ほんのりピンクな頬に、緩やかな茶色の髪。


よく姉達と小さい頃から人形を使って遊んでいた。おままごとでは、僕はいつも人形の夫だった。それは子どもながらもすごく嬉しかった事を覚えている。


でも、小学校になる頃から人形で遊んでいる僕を家族が心配し始めた。心配させないよう、僕は一生懸命勉強し、友達ともたくさん遊んだ。そのうち家族は僕の事はもう大丈夫だと思った。僕は家族が捨てた人形をそっとゴミ箱から拾い、洗って大切にしまった。


毎日の夜、人形を出しては、大事に髪をとかし、服を綺麗に着せ替えた。


あー、なんて幸せな時間だろう。


中学生になると、僕は思春期になった。学校の友達は皆好きな女の子の話や、大人びた話題に夢中だった。僕は興味がなかった。毎日外から見つめるあの目達には吐き気がした。


僕はどうやら、女の子達にとっては優良物件らしい。興味ない。お願いだから、話しかけないでくれ。


そう思っていると、ある晩僕は夢を見た。白い肌に赤い唇、ほんのりピンクな頬に、緩やかな髪。その女の子は、僕の隣で幸せそうに微笑んでいた。


僕は驚き目を開く。そして気付いたのは、自分の中に生まれた初めての感情。昼間の友達の話を思い出し、自分もやっと仲間に入れたと思った。


でも、翌日学校に行っても、僕は女の子達に嫌悪感を持つ。なんでだぁ。と絶望した。


また、夜になると昨日と同じ夢に目を醒ます。僕は、自分の気持ちが分からなくなる。寝ようと布団を持ち上げると、添い寝をしている人形に気付く。


ほんの少しの可能性だった。僕は彼女を手に取った。そして初めて、自分の本当の気持ちを理解した。


あーー、僕は女の子が嫌だった訳ではなく、彼女を愛しているのか。


そう思うと、僕はそっと彼女の顔を拭った。そして、頬に口付けをする。


翌日から、僕は友達の話に入れた。


あー!これでやっと僕もまともだぁ!


でも、この日々も長くは続かなかった。


僕は人形作りを専門に大学へ通った。家族は皆はじめは反対だったが、大学でさまざまな賞を取る事でそのうち何も言わなくなり、好きな事をやりなさいと言われた。


あー、やっと僕は堂々と彼女達と愛を育める。


でも、予想外だった事が一つ……


大学を卒業して、2年後の朝。僕のベッドに女性がいた。僕は嵌められた。


3ヶ月後に妊娠したというその女性は、我が家に嫁入りした。これも、家族の願い。


僕は我慢した。愛しい彼女達との日々を守る為。


産まれた我が子は可愛かった。


男の子だけど、愛想はよく、さまざまな人に愛されていた。


妻とは感情はなく、妻は外に恋人を作った。


知っているが、止めるつもりはない。だって僕には彼女達との愛があるから、先に裏切ったのは僕だぁ。


子どもが大きくなり、一度だけ工房に入った事がある。小さなその手から作られた人形はとっても美しかった。僕は嫉妬した。だから、もう二度と工房に入る事も人形を作る事も禁じた。


そうしなければ、僕が壊れそうだったから。


そしてある日、僕は聞いてしまった。あの日の真実を。


家族は僕の人形への愛に気付いていた。


だから、結婚相手を僕に送り込んだ。


僕はその事実を知り、憎しみ、悲しみ、絶望、愛情、そして、羞恥心を覚えた。


その感情を胸の奥にそっとしまい込んだ。


そして、運命の14年前。


遠いフランスの親戚の子どもが事件に巻き込まれ、日本で保護された。家族もなく、ただ1人だったその子を、家族は優しい仮面を被りながら、引き取った。


その背後の莫大な支援金の為に。


今日は引き取る日。


僕は家族に嫌悪感を抱きながら、玄関に向かう。


彼女は背後に光を浴びながら、車椅子で入って来た。


僕は彼女を見て、心が動いた。


『ここにいたのか、僕の愛しいマリオネット』


それからの日々は幸せだった。


愛する妻と毎日車椅子で散歩したり、ご飯をあげたりした。


何も言わない妻に、周囲は気味悪いと言うが、僕はむしろ最高だと思った。


あー、こんな日が続けばいい。


やっぱり、妻の身支度も全て僕がやるべきだと思う。


僕が本格的に、妻の身の回りの世話を始めると最初は皆喜んでいたが、徐々に何も言わなくなった。


そして、ある日幸せの日々を壊す出来事が発生した。


「こんにちは、これから担当医になる田中です。一緒に希空さんの病気を治しましょうね。」


そう言うと、僕の許可も聞かずに妻を連れて行った。


しょうがない。妻は寂しいかもしれないから、毎週会いに行こう。あー、でもその時に新しい服も持っていかないと。そう思いながら、僕は用意する。


最初の頃はすんなり見舞いに行けた。でも、少しずつ周囲の目を感じるようになり、気付けば田中先生の案内がないと入れない事になった。


聞いても、病気の症状が良くないから、常に医者の付き添いが必要だと言う。


僕は知っている。毎日病院の外から見ているから。


田中先生が男を希空の病室に入れたのを。


誰だ。


佐伯 正樹。


お前は絶対許さない。

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