表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人類の罪  作者:
止まっていた時間
47/89

番外編 〜柊木一家大集合〜

「…………ねぇ、なんでここにいるんだっけ?」


「さぁー、僕にも分かりませんね。」


ここはのどかな田舎町。周りを見渡せば田んぼばっかり。知らなかったなぁ、柊木さん北海道出身だったのかぁ〜。


俺らは今、柊木さんの実家にいる。


「いやー申し訳ないね〜。なんにも用意できなくて。」


柊木さんのお母さんが、お菓子を持って来る。………ここの家系のお菓子チョイスって、伝統だったりする?


「いえいえ、急に訪問したのは俺らなので……。」


そう思いながら、俺はせんべいを手に取って、一つ縛に渡す。そしたら、縛はせんべいを押し返した。


ん?


せんべいじゃなくて、隣にある飴を手に取って食べる縛。こいつ、いつか糖尿病になるぞ。


そう思いながら、じとーっと見つめると縛は顔を逸らした。


俺は両手に持ったせんべいを、順番に交互に口へ運んでいく。


「あれ?正樹さん、そんなにお煎餅好きだったっけ?」


そう言う結愛ちゃんは、大きなシベリアンハスキーを2匹連れて来た。


うおっ、デカッ。


結愛ちゃん、ものの◯姫みたいだなぁ。


「まめとあずきよー。」


………この図体でその名前か?柊木さんの家らしい。てか、シベリアンハスキーに和風の名前もなかなか珍しいよなぁ。


そう思って見ていると、縛はハスキーに近付いて行く。


「触っていいですか?」


「いいよ〜。人好きだから、どんどん構ってあげて〜。」


そう言ったのは、柊木さんのお母さん。


縛は慣れた手でハスキーを愛でる。すごいなぁ、ハスキーがゴロンゴロンして、甘えとる。


ただ、本人はいつもの無表情のままだ。


……犬だけテンション高い。


いや、違うな。


よく見ると、縛の口元が少しだけ緩んでいる。


こいつ……楽しんでるな。


……………。


「あら?正樹ちゃんは触らないの?」


「ん?だ、大丈夫です。」


「そう?おりこうだから噛まないわよ。」


「……………………。」


俺は首をゆっくり振る。


「あらあら、じゃあお菓子一緒に食べましょう。」


そう言って、俺の隣に座る。そして、俺にチョコのお菓子を渡す。


「真美ちゃん、そういや〜正志はどこ行ったの?」


「正志さんならお父さんと、今日はパーティーだぁー!やっふーと言いながら市場に行きました。」


「あれまぁ〜、こりゃ今日お腹がはじけるね。」


と柊木さんのお母さんが豪快に笑う。


俺がチョコのお菓子を食べていると、結愛ちゃんにツンツンと肩を叩かれる。


手に持っていたのは、あのゲーム機じゃないかぁ!?


俺が目を見張ると、結愛ちゃんがニヤッとする。


そして俺は頷きながら、パチパチと音のない拍手をする。


「よく持って来てたね。」


「せっかく買ったのに、みんながいる時じゃないとね!」


そう言うと、結愛ちゃんがテレビにゲーム機を繋げる。


俺は縛にもどうかと聞こうと振り向いたが、縛はハスキーと戯れていた。


犬吸いしてる……。


犬同士仲がよろしい事で。


「できたよ〜!正樹さんはどっちのゲームがいい?」


結愛ちゃんが聞くと、俺は協力ゲームの方を指差す。


「いいね!これ最近人気なんだよね。こことか難しいらしいよ。」


そう言って俺にゲームの所を指差す。それを聞いていた真美ちゃんは柊木さんのお母さんと一緒に、どれどれと覗く。

バン


「ガッハッハッ!見ろよこれ!今日めっちゃいいのあった!」


そう言ったのは、大きなカニを持った柊木さんのお父さん。


「ちょっ、父さん。滴ってるー!」


柊木さんが慌てて、タオルを持って来る。


「あ?わりーわりー。旬じゃないのにこんな大きなカニがあって驚いたからよ。母さんに見せようと思って。」


「分かったから、もう少し落ち着いてくれ。また首やるぞ。」


「落ち着いてるわ。首の事はいいだろ、もう治ったんだから。」


「首のヘルニアは治りづらいし、すぐ戻って来るらしいぞ〜。」


「うげっ……お、俺はカニを洗ってくるわぁ。」


そう言った柊木さんのお父さんは部屋を出ようとする。


「父さん、私も行くよ〜。」


柊木さんのお母さんも席を立つ。


俺は聞き逃さなかった。


小声で「また、鍋割られたらたまったもんじゃない」って言ってた。


柊木さんのお父さん、結構豪快な人なようだぁ。


「ん?結愛は何してるんだ?」


そう言って、柊木さんがテレビを覗き込むと、騒ぎ出す。


「え?俺もやりたい。コントローラーもう二つ買ったろ?出してくれ。」


「えー、めんどくさい。」


「そんな事言わないでくれよ。なぁ?カニに免じてお願い〜。」


そう柊木さんが言うと、結愛ちゃんは文句を言いながら席を立って部屋を出た。


「優しい〜、ありがとうなぁ!」


その後ろ姿に柊木さんが大声で声を掛ける。


そして、席に座ると、机にあるせんべいを手に取る。俺の手にせんべいを乗せて来る。


……夫婦揃って餌付けの癖でもあるのかなぁ。

「佐伯はまめ達と遊ばないのか?」


縛を見ながら言う柊木さん。


「……大丈夫です。」


俺が言うとニヤッと笑う柊木さん。その頭を真美さんが叩く。


「もう、真美ちゃん何も言ってないだろ。」


「その悪巧みは引っ込ませてね。やったら、もう今日は一緒に寝ないから。」


「えー、そんな事しないよ〜なぁ〜真美ちゃん〜。」


柊木さんは何をしようとしていたのか、俺には分からん。


縛の方を見ると、まめ達と寝転がって溶けてる。


まぁ、リラックスしてるようでなによりです。


結愛ちゃんが戻って来た。


「はい、持って来たよ。」


そう言ってコントローラーを机の上に置く。


「おっ、ありがとうなぁー。」


柊木さんはコントローラーを受け取ると、お菓子からクッキーを結愛ちゃんの手に乗せる。


やっぱり餌付け癖があるようだぁ。


ゲームでチームをランダムで組む事になり、俺は結愛ちゃんと一緒。


柊木さんは真美ちゃんと一緒。


そしたら、柊木さんが「あー!」と言い出した。


「ずるい!なんで佐伯が一緒なんだよ。俺と一緒に組もう結愛。」


「ランダムだから。」


「えー!ずるい!ずるい!ずるい。」


バシッ………。


また、叩かれてる。


「ランダムだって言われてるでしょ。」


「えーでもー。」


「えーでもじゃない。私とじゃ不満な訳?」


「そんな事ないよ〜ただ負けるのは………」


真美ちゃんに睨まれてる。


ドンマイ、柊木さん。


俺がジェスチャーをすると、柊木さんは笑った。


「よーし、もうこれは勝ってやる。」


そう言ってゲームが始まると、皆が大騒ぎしている。


意外だったのが縛だぁ。


さっきまで寝転がっていたのに、ゲームが始まると、俺の後ろに来て、あれこれと口を出して来る。


「正樹さん、そっちじゃないですよ。あっちです。そうそう、そのまま……あっ、違いますよ。」


………うるさい。


俺がそう思って見ていると、


「なんです?」


と不思議そうな顔をしている。


こういう時は本当に察しが悪い。


「ほらっ!カニ鍋出来たよー!」


そう言って、柊木さんのお父さんとお母さんが鍋を持って来る。


「美味しそうーー!」


結愛ちゃんがそう言うと、ゲーム機を片付ける。


「本当いい匂いね。」


真美ちゃんが言っている間に、縛は慣れた手で食器類を配膳する。


「あらっ、助かるわぁ〜。」


柊木さんのお母さんが喜んでいると、お父さんはバシッバシッと縛の背中を叩きながら、


「兄ちゃん、客なんだから座りなぁ!俺らやるから。」


と言って笑っていた。


準備を終えると皆で「いただきます。」をして、また大騒ぎ。


こんな日が続くといいなぁ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ