表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人類の罪  作者:
止まっていた時間
36/89

ポケット

………


「あ、開いたね。」


そう話す俺に、縛は「やっぱり」と呟く。


柊木さんは驚きながら、こっちを見る。


その顔を見て、俺は慌てて手を振って、知らないとジェスチャーする。


「とりあえず、扉が開いたから中入ろう。」


そう言って柊木さんが先頭に立つ。


けど、扉の前に立つ柊木さんは全く動かない。


「どうしたんですか?」


「……真っ暗だぁ。前も見えないぐらい。」


そう言っていた柊木さんの背中から顔を覗かせ、中を覗くと。


目の前に見えるのは漆黒。


一歩先も見えない。


一歩目を踏み出す事に戸惑っていると、縛が後ろから俺らの前に出て、先に入ろうとする。


「おい、危ないぞ!中の状況も分からずに進むのは……」


柊木さんに肩を掴まれて、振り返った縛は暗視ゴーグルを付けていた。


「………準備良すぎないか?」


「……必要かと思いまして。」


そう言って、縛は自分のポケットからもう二つの暗視ゴーグルを出す。


………そのポケット、容量抜群だね。


柊木さんと俺も暗視ゴーグルを付けると、暗闇の中が見えるようになった。


柊木さんが先に入ると言い、合図を待つと柊木さんから来いの合図が来た。


ゴーグルから見えるのは、地面に散らばったお祭りに使う物ばっかりだった。


ゴーグルに慣れず、俺は手探りで歩いて行くと、手のひらから痛みを感じた。


「いたっ!」


そう言うと、一瞬で部屋の中が緊張感に包まれた。


俺は痛みの原因を見ると、そこには針金が出ていた提灯が置いてあった。


「すみません、提灯みたいなのに触ってしまいました。」


危険がないと分かると、警戒した空気がほぐれる。


すぐ柊木さんは部屋の突き当たりにたどり着いた。


どうやら全体を見渡せるぐらい、小さな部屋だったようだ。


「お祭り道具ばっかりですね。」


俺が言うと、縛と柊木さんも「あー。」と返事する。


一通り暗闇の中を探していると、壁に鴉が描かれているのが見えた。


それ以外は何も違和感はなかった。


やっぱり、ここに何かあると思ったのは気のせいだったのかも……


「スイッチみたいなのを見つけたのですが、多分電気のスイッチみたいですね。付けますか?」


「おう。あっ、暗視ゴーグルを付けたまま急に明るくなると、一瞬視界が飛ぶ可能性がある。念のため外してから付けるぞ。」


そう言うと、柊木さんは周囲を見る。


「俺、佐伯、東雲の順番で外す。外したら声に出してくれ。」


「はい。」


……こういう時だけ本当に元特殊部隊なんだよなぁ。


俺がそんな事を考えている間に、全員が暗視ゴーグルを外した。


「付けます。」


縛の声が聞こえる。


カチッ


瞼の裏からも分かる薄暗い光。


「もうそろそろ開けていいぞ。」


柊木さんの合図で全員目を開けると、小さな部屋が見渡せた。


部屋の壁には大きな白い鴉が描かれていた。


「やっぱここ、神社の倉庫っぽいなぁ。」


「え?倉庫ここに作ります?」


俺が聞くと、んーと悩む柊木さん。


縛は白い鴉の絵をじっと見ながら、調査をするかのように触る。


「見てください、この鴉足三本ありますよ。」


「本当だぁ!神話とかに出てくる八咫烏みたいだなぁ。」


俺はそう言うと、白い鴉の絵に触れる。


コンクリートの感触であったが、鴉を描いてあった線は溝になっていた。


溝で鴉を描くの珍しいなぁ。


ん?


あそこなんか光ってないか?


「ねぇ、カラスの目なんか光ってないですか?」


俺が言うと、縛がカラスの目を触る。


「ガラスのようですね……でも、ただの装飾じゃなさそうです。」


「え?」


「小さい読み取り部分があります。」


「やけにリアルなカラスだなぁ。」


柊木さんは入り口の近くで、上の様子を見ながらこっちに声を掛ける。


「確かに、珍しいですね。」


そう言いながら、俺がカラスの目を触ると、


ガチャ


…………


「今音鳴ったか?」


「鳴りましたね。目を触ったからですかね?」


そう縛と柊木さんが会話をしながら、縛はカラスの目をライトで照らして確認する。


「やっぱりただのガラスだったのですかね。」


縛がそう言うと、柊木さんがあっと声を出す。


「なんですか?」


縛が聞くと、柊木さんが話す。


「そういえば、白い鴉って目赤くなかったか?そのガラスの目玉透明じゃねぇ?」


「白い鴉はアルビノですからね、目が赤いのは当たり前じゃないですか?これがここに何の関係があるのか………あっ。」


縛はそう言うと、俺の手を見る。


俺も自分の手を見る。


そして、さっき触った手を思い出す。


「あっ、これもしかして。」


「そうかもしれないですね。」


俺と縛はお互いの顔を見て確信を得た。


「ん?どうした?」


柊木さんが聞く。話を振った本人は分かってなかった。


俺はさっき怪我した手のひらを鴉の目に置く。


数秒間、何も起こらない。


「……やっぱ違ったかなぁ。」


そう呟いた瞬間。


ゴウン――


低い音が部屋に響いた。


「「「…………。」」」


白い鴉の身体に入っていた溝が、ゆっくりと動き出す。


そして――


鴉のお腹辺りに、人ひとり通れるほどの穴が現れた。


作者復活しました。

数日間ほぼ寝ていましたが、無事帰還です。

正樹達も地下に潜り、作者も布団から這い出しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ