表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人類の罪  作者:
止まっていた時間
35/91

おかえりなさい

「見て、村の地図あるよ。」


俺がそう言ったが、2人とも返事がなく、何処かを見ていた。


「なに?どこ、みて……。」


目の前の光景に俺は息を呑んだ。


あー、道理で見つからなかったよ。


だって、鈴鳴り村はここにあるのだから。


俺は一歩一歩前に進んだ。


そして、風に吹かれ、揺れる水面を見る。


あー、ここにあったのかぁ。


村は


水の奥底に沈んでいた。


隣に柊木さんと縛が歩いて来た。


「こりゃ、やばいなぁ。」


柊木さんの声は、いつもの軽いものではなかった。


きっと14年前、あの事件現場で子ども達を保護した時もこういう表情だったのかもしれない。


「何だこれは、僕はこんなの知らない。」


珍しく縛の声が震えていた。


「14年間……調べました。」


「…………。」


「資料も、記録も、関係者も、全部。」


縛は揺れる水面を見る。


「でも、村が沈んでるなんて情報、一つもなかった。」


俺はその一言に頷く。


何で、村が沈んでるのか誰も分からない。


そして、村人は何処に行ったのかも分からない。


ここで、一体何があったのだろう。


しばらく、揺れる水面を3人で見つめていると、後ろから「かぁー。」と呼ぶ声が聞こえる。


振り向くと、ソラは神社の賽銭箱を何度も突く姿が見られた。


なんだ?と思っていると、柊木さんが何かを思い出したかのように、ソラに近付く。


「お前、あの時のカラスか?」


柊木さんがそう言うと、ソラが首を傾げる。


「覚えてないか、14年経ってるから仕方ない。」


柊木さんは少し笑う。


「礼言わせてくれ、あの時は本当にありがとう。」


「…………?」


俺は首を傾げる。


「あの日、結愛を見つけた時だよ。」


「え?」


「あの時も、こいつがずっと鳴いてた。」


柊木さんはソラを見る。


「何もない場所で、ずっとな。」


「…………。」


「気になって近付いたら、そこに結愛がいた。」


ソラはその言葉を受け入れたかのように、「かぁ」と優しく鳴いた。


でも、すぐに賽銭箱を何度も突き始める。


「……またか。」


柊木さんが小さく呟いた。


「また?」


「前に結愛を保護した時の話したろ?その時も今みたいに何かを伝えようとしていた。」


その言葉に俺らも賽銭箱の近くを見て回る。


長年使われてなかった影響からか


周りには木の枝と落ち葉だけしかなかった。


「何もないですね。」


「あー、ないなぁ。俺の気のせいだったのか?」


柊木さんがそう呟く。


「………ないですね。」


そう言って俺はしゃがんだ体を起こして、


賽銭箱に寄り掛かると、


ガガッバギッ


「うぉ!」


賽銭箱が少し動いた!


それを見ていた2人は、すぐ俺の側に来て賽銭箱の下を見る。


「下から風が来る!」


「中に空間があるかもしれないですね。」


そう言って2人が賽銭箱を押す。


俺も手伝う。


息を揃えて前へ押す、賽銭箱の下の空洞が少しずつ大きくなる。その作業を何度か繰り返すと、大人1人が入れる大きさの穴が空いた。


おー!


俺は穴の下に降りると、上の2人はワタワタ。


「おい、勝手に行くなぁ!」


柊木さんが怒りながら降りて来る。


「はぁー。」


縛は何でため息のみだぁ。


穴に入ったら思ったより広く、階段が続いていた。


壁を見ると、うっすらと光る電球。


電気が生きている。


本当に14年前から誰も使っていない場所なのか?


そんな疑問が頭をよぎる。


俺は先頭で歩いていると、扉があった。


セキュリティカードを取り出す。


ぴっ…………


意味なかった。


んー?何使って入るのだろう。


柊木さんが前に出て「なんだ?」とカードを見ようと、顔を近付けた。


すると、赤いライトが出て、柊木さんの顔を照らす。


「「うわぁ!」」


驚く俺らと反対で縛は冷静に言った。


「顔スキャンですね。」


そう言うと、2人揃って「おー。」と頷く。


ちなみに柊木さんでは入れなかった。


当たり前かぁ。


三人で悩んでいると、縛がこっちを見る。


なんだ?


「正樹さん、入れるんじゃないですか?」


「え?俺来た事ないもん。入れないで〜。」


縛の言葉を聞いた柊木さんが、後ろから俺を前に押す。


「柊木さん無理だって!」


俺の言葉を聞かず、さらに力強くグイッと押す。


すると光が俺の顔をスキャンする………


すると


ピロリン


『おかえりなさい』


と字幕が出て、ドアが開いた。


……………

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ