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人類の罪  作者:
止まっていた時間
34/89

ソラ

「ここがダムの管制塔かぁ。なんか想像より普通だなぁ。」


俺はそんな管制塔の中を見てキョロキョロする。


「僕ちょっと、機械で調べるので、周囲気をつけてください。」


そう言われた俺は柊木さんと一緒に、防犯カメラの映像を見る。


すると、柊木さんが監視カメラの映像を見て驚く。


「どうしたんですか?」


俺が聞くと、柊木さんがモニターを指差す。


「数が合わない。」


「え?」


「赤外線センサーが付いた防犯カメラの映像が一つもない。」


そう言われると、確かにモニターには、森を映した映像はなかった。


え?じゃ、あの数の赤外線センサーが付いている防犯カメラは何のために??


考え事をして防犯カメラの映像を見ていると、俺は一つのモニターから目が離せなくなった。


そのモニターを見ると、俺はどこか懐かしくて、少し寂しい気持ちになった。でも、その理由は分からない。


そのモニターをじっと見ていると、柊木さんがあっと声を出す。


つられた方を見ると、映像には交代の職員が歩きながらこっちに向かってくる。


「やばい、縛。来た。」


「大丈夫です。今監視システムに一時的な処理を入れました。」


縛が澄ました顔で話す。


俺は目線を戻して、柊木さんに声を掛けた。


「柊木さん、これ何に見えます?」


俺の指差した方に柊木さんが顔を近付けて見る。


「これ?鳥居のはじっこじゃないか?少ししか映ってないけど。」


「俺、ここに行きたいです。」


「はぁ?そんな時間ないぞ。」


柊木さんがそう言うと、縛は立ち上がって俺達の所に来る。


「いや、行きましょう。ここの施設には何もデータはなかったです。でも、電力使用量の情報が近くの建物を示していました。近くに何か建物があるとすれば、ここかもしれないですね。」


と縛はそのモニターを指差す。


でも、この場所へはどうやって行けばいいのか……悩んでいると、ふっと近くにもう一つの扉があるのを見つけた。


「あの扉で行けるじゃない?」


俺がそう言うと、縛と柊木さんが顔を見合わせた。


扉の前まで行くと、鍵が掛かってなかった。


俺はドアノブを押すと、すぐ目の前に森が広がっていた。


一歩踏み出そうとすると、急に腕が引っ張られた。


「待って。赤外線センサーの防犯カメラがあるかもしれないから、俺が先に行く。」


柊木さんがそう言うけど、俺はこの森にはないと思った。


柊木さんを先頭に進んで行く、縛は解析端末の地図を見ながら場所を指示。


森の分かれ道に着くと、縛の指示が止まった。


「どうした?」


「……ないです。」


「何が?」


「この先の道は地図には示されてないです。」


そう言うと、全員が止まった。でも、何でだろう、俺はこの道を知っている。そんな不思議な考えがよぎる。


「……俺、多分道案内できる。」


「はぁ?地図もないのに?」


柊木さんがそう言うと、俺は頷く。


「理由は分からないですけど、何でかこの道は知ってるみたいです。」


そう言うと、2人が息を呑む。


「多分、失った記憶に残っていたのかも。」


俺はそう話すと、歩き始めた。


俺はこの森を知ってる。


この森で誰かと会った気がする。


俺が歩みを止めず、歩き進めて行くと、獣道に入った。


前を見ると、見慣れた白い影。


月に照らされて、神々しく輝く。


あー、こいつだぁ。


俺はこの森で、こいつに会った。


目の前まで進むと、俺はしゃがんだ。


「よっ、朝ぶりだなぁ……案内頼むわぁ。」


俺がそう言うと、


「かぁー」


返事するかのように答えたこいつ。


白い鴉……ソラだぁ。


俺は多分こいつと昔一回会った事がある。


ソラは付いてこいとばかりに、こっちを振り向きながら飛んで行く。


後ろに付いて行くと、俺らは神社に着いた。


神社の名前は、長い年月のせいか削れて読めなくなっていた。


鳥居の近くには、村の名前を書いた看板もあった。


『鈴鳴り村』


その後ろには地図があった。


村の地図だぁ。


来た方向からは木々に隠れて、村なんて見えなかった。


俺は地図を見ていたから気付かなかった。


柊木さんも、縛も。


ただ黙って、水面を見ていた事に。

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