5分
柊木さんの言葉に全員が顔を見合わせた。合図で一旦車に戻る事にする。
「いや、その数の中で赤外線センサーが付いている防犯カメラをくぐるのは無理だぁ。情報も少ない。」
柊木さんが切り出す。
「……午前中ダムの付近には普通の防犯カメラしかなかったので、油断しましたね。」
縛は少し考え込む。
「じゃ、普通に朝行った道で行けばよくないか?」
俺が話すと、2人が一斉にこっちを見た。
「それだぁ!朝歩いた事がある道であれば、作戦も立てやすい。しかも、縛が調べたダムの警備交代の情報もある。」
柊木さんが俺の頭を乱暴に撫でる。
「電気使用量の話が気になるから、まずはダムの中を調べるのが一番ですね。」
縛も同意する。
「じゃまずは、鈴鳴りダムの管制塔に行こう。そこに行けば、ある程度の事が分かるはずだぁ。」
「どうやって入るのですか?」
俺が聞くと、柊木さんと縛が少し呆れたような表情をする。そして、柊木さんが俺のポケットに手を入れ、カードを出す。
そうだった、あいつからセキュリティカードをもらっていたわぁーー
「………さぁ。行きましょう。」
俺は何事もなかったように振る舞うと、2人は軽く俺の肩を叩く。………気をつけます。
監視カメラに気をつけながら、俺達は柊木さんに続く。時々、見回りの目を避けながら、どうにか交代時間に管制塔に着く事ができた。
中に入るまでに5分の猶予しかない。
縛が調べた情報では、巡回交代のタイミングで監視システムの確認作業が入るらしい。
その数分だけ、外部カメラの一部が点検モードに切り替わる。
額に汗が流れ、扉を見てタイミングを伺う。
扉から職員が出るのを見て、俺らは扉の方に少しずつ近付く。
職員の姿が見えなくなった時には、残り2分となっていた。
俺は焦りながら、セキュリティカードを出すと、
ピッピー
通ったーー!………ん?!何?ダブルキーなの!?4桁の数字入れないと入れないやつ?!
残り60秒
俺は2人の顔を見て焦る、2人も俺を見て、目を見張る。
とりあえず入れよう。
3 、2、7、6
キーボードがチカチカする。
違う!?
やばいやばい!!!もう監視カメラが戻ってしまう!!
7、2、7、6
また、キーボードがチカチカする。
ヤバイ!!残り10秒しかないじゃん!!!!
やばいヤバイ!!!
パサッ
その羽の音を聞いて、俺は
4、6、1、0
と入れた。
キーボードが緑に光り、扉が開く。
俺は扉を開けて、すぐ中に入ると、柊木さんと縛もすぐ駆け込む。
そして、全員が中に入った瞬間だった。
ピッ
外の監視カメラが、ゆっくりと元の位置へ戻っていった。
「ふぅー間に合った。」
俺が額の汗を拭くと、柊木さんが小声で驚きながら言う。
「よく、分かったなぁ。」
「分からないですよ。意外とこういう所って語呂合わせのパスワードが多いんじゃないかなぁと思って、ダム関係2回入れたのですけど、どれも違って焦りました。」
「じゃ、最後は何を入れたんだよ?」
「え?なんか羽の音聞こえたので、しろいで入れました。」
「それで入れたのですから、本当に悪運が強いことで。」
縛は少し呆れながら言った。その手には、小型の機械を持っていた。
「それ何?」
「こういう事もあるかと思って持って来た、解析端末 です。」
「………。」
「俺、余計な事した?」
「ハラハラはしましたね。」
そう答える縛に、俺は思い出す、パスワードを入れる前に目を見張った2人の表情を。
あれ……そういうことだったのかぁ……
――おまけ――
「よく無事に入れたね。」結愛
「ん?無事じゃなかったよ。危なかったんだから。」正樹
「そうなの?ギリギリな所でどんな気持ちだったの?」結愛
「やばい〜!と思ってたけど、やってる事は007みたいだなぁと思って、気分は007だったよ。」正樹
後ろで抹茶ラテを飲んでいた縛が柊木さんに向かって吹き出す。
「………兄ちゃんはある意味ズレてると思うぞ。」柊木
「そんな事ないですよ〜。」正樹
「「「そんな事ありありだぁ!(です!)」」」
………俺別に悪い事してないもん。




