凰真
獅鳳の後を追いかけて僕も部屋を出ていく。
遠ざかっていく獅鳳の姿を見て、僕は病院にいた日々を思い出す。
僕は親友と別れることもできずに病院をさよならした。このまま一生会えないと思ってた。
でも、これも神様のイタズラだったのかもしれない。
僕は再会したあの日を思い出す。
家に帰ってしばらくして、僕は母さんと一緒に公園で開かれるパーティーに参加した。
僕はなかなかパーティーに馴染むことができなくて、花園迷路に一人で遊びに出かけた。
色とりどりのバラに夢中になり、いつの間にか迷路の奥まで入ってしまった。
「うぅ〜、大変。どうしよう。すぐ出るつもりだったのに。」
そう言いながら、僕はトボトボ歩いていると、椅子に座っている男の子に気づいた。
「………。」
ん?あの天然パーマは??
あれ?!もしかして!!
「おうちゃん!」
僕は駆け足で走り寄っていく。久しぶりに会えた親友に嬉しい気持ちでいっぱいだった。
きっとおうちゃんも笑顔で返してくれるはず……
「………?」
「おうちゃん?」
僕が声を掛けると不思議そうな顔をする。僕も頭を傾げる。
あっ!いつも病院服だったから、きっと分からないんだ!髪の毛も切ったし、背も伸びたし。
「道徳だよ!えっへん!身長伸びたでしょ!?」
「……あー、道徳くんね。」
おうちゃんは笑顔になった。
「う?なんでそんな硬い呼び方なの?みっちゃんでいいよ!」
「あー!ふふ、みっちゃんね!あのみっちゃんね!久しぶり〜」
「久しぶり〜!!おうちゃんも病院退院したの?」
「う、うん!つい一週間前に。」
「僕も退院したけど、その日会えなかったからもう会えないのかと思ってた!」
「あー、でもまさかここでね。」
「偶然だね!」
「ふふ、そうだね。」
「あ!そういえばまだ名前全部教えたことないけど、僕、桜庭道徳!!!」
「あー、俺……尾野獅鳳。よろしくね。」
「うん!」
伸びてきたその手を僕は握った。違和感はここからだった。
病院では、いつも手を繋いでいたおうちゃんの手を忘れるわけがない。でも、離れて少し時間は経ったし、お互い身長も伸びた。
でも……なんとも言えない違和感が芽生えた。
そして、きっと今、前を走っているのはあの日会った獅鳳。
そして、何か事情があったのは病院で一緒だったおうちゃんだ。
二人とも大切。だから、二人が何かを隠しているなら、暴いてはいけないんだとなんとなく感じていた。
「獅鳳!!!」
僕の声に驚いたのか、獅鳳が後ろを振り向く。
「どういうことか説明して!」
僕の言葉に、走っている獅鳳はまた前を向いて走っていく。
「凰真が……いなくなった。」
「どういうこと!?」
「いないんだぁ。この船のどこにも。」
「え?」
「俺と一緒に乗ったよ。しかも昨日の夕方は一緒にゲームもした。」
「はぁ?」
「でも、今朝から部屋にいなかった。散歩に行ったのかと思ったけど、全然返事ないから、探してもらっていた。」
「はぁ!?なんで早く言わないの!?」
僕が言うと、獅鳳は走るのを少し遅くしてくれた。
「だ、だってよくフラッとどこかに行くから。」
「……。」
確かにのほほんとしてるわりに、すぐどこかに行く癖あったわぁ。
目の前の獅鳳はどっちかというと、誰かと一緒にいたいタイプ。凰真と呼ばれる方は、気付けばふらっとどこかに行ってしまうタイプ。
「……とりあえず今どこに向かっているの?」
「我が家の執事の所。」
「あー。文隆さんもいるのね。」
「いるよ。」
「で、どうするの?」
「行ってみないと分からない。」
「分かった。」
僕は何も言わずにそのまま付いて行くことにした。
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「くそっ!あの海流で確かに流れてきたはずなのに!なんで時計がないんだぁ!」
男はポリポリと頭を掻く。
「昨日といい、本当ついてない!」
「……早くあれを処分しないと、バレたら全部終わりだ。」
さて、どっちがどっちでしょうか?
ヒント:天然パーマ




