番外編〜Happy Birthday 〜
晴れ渡る空には、太陽がギラギラと輝いている。
俺は貰った地図を頼りに、道を進んでいく。
すると目の前に、可愛らしい看板のケーキ屋さんが見えてきた。
「お母さん! ケーキはチョコレートがいい!」
「あらあら、今日はチョコレートだけでいいの?」
「んー! 熊ちゃんも!」
「いいわよ。今日は、はなちゃんの誕生日だもん。」
道端で話す親子を、俺は思わずじっと見つめる。
ケーキ……。
誕生日には、ケーキが必要なのか。
今日で18歳。
そして、俺が施設を出る日。
眩しい太陽に照らされながら、俺は小鳥遊さんからもらった一枚の紙を持って歩き出す。
荷物は、背中に背負ったリュックと、この紙だけ。
ケーキかぁ。食べたことないなぁ。
もう一度だけ親子を見る。
女の子はお母さんと手を繋いで、楽しそうに笑っていた。
俺はそんな二人から目を離し、そのまま歩き出す。
背中のリュックが、やけに重たく感じる。
さっきまで晴れていた空は、心なしか曇っている。
紙に書かれた道を進んでいくと、やがて目の前におしゃれな一軒家が現れた。
……ここ?
紙と家を交互に見比べる。
うん。住所は合ってる。
俺が恐る恐るインターフォンを押すと……
パンッ!
玄関が開き、柊木さん達がクラッカーを持って立っていた。
「佐伯くんー! 誕生日おめでとう!」
パンッ!
そう言うと、真美ちゃんがもう一回クラッカーを鳴らす。
「………」
「どうしたの? 正樹くん? 目が点だよ。」
そう言われて、俺は目を擦る。
あれ? 俺、今………。
「何を玄関で大騒ぎしているのですか? 早く入ってください〜。ご飯、用意できてますよ!」
縛はそう言いながら、エプロンを付けて玄関に出てくる。
柊木さん達に押されながら、俺はリビングに向かう。
大きな食卓の上には、色んなご馳走が並んでいる。
そして、机には輝くいちごが乗ったケーキ。
「これ、俺の?」
「ん? 佐伯のだぞ? ほらっ、見てみろ。」
そう言われて、ケーキの近くに行くと、プレートには『24歳の誕生日おめでとう 正樹さん』と書かれている。
俺の。
俺のケーキ。
気付けば、目から汗がぁ……
「ほらっ、早く座って。」
真美ちゃんに言われて、椅子に座る。室内が暗くなる。
そしてケーキには、蝋燭の火が灯された。
ハッピー・バースデー・トゥー・ユー
皆の歌声に乗りながら、俺は18歳のあの日を思い出す。
ハッピー・バースデー・トゥー・ユー
初めて家に入った時の暗闇を。
ハッピー・バースデー・ディア まさきくん
俺、誕生日を今迎えてる。
ハッピー・バースデー・トゥー・ユー
俺は静かに顔を上げる。
「ほらっ、正樹さん。願い事は?」
縛は近くに来ると、俺にそっと手を合わせる。
『いつまでも皆と一緒にいられますように』
ふぅー
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おまけ
『人類の罪』も、ついに100話目に突入しました!
今回は100話記念として、番外編に正樹の誕生日を書きました。
そして今日から日々の投稿を再開します!
投稿時間には多少のズレがありますが、これからもよろしくお願いします!
高評価やブックマークもよろしくお願いします!




