↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空を知らない子どもたちへ  作者: フワフワノイヌ
第二章 処理班結成・訓練編
9/12

第九話:処理班編成

シェルターの広い部屋に、俺たちはぎゅうぎゅう詰めで集められていた。

なぜなら今日は、以前アキラ先生が言っていた“処理班”とやらの訓練を始める日だから。ざわつく空気の中、重々しい声が響き渡る。


「生徒諸君、初めましてだな。俺はトリマルだ。今日からお前たちの処理班訓練を担当する」


その声は厳格そうで、自然と背筋が伸びた。

俺らの前で今喋っているのは、訓練のために指導してくださる、新しい先生だった。彼の口調は淡々としていながらも、どこか冷静で威圧感を感じさせた。

トリマル先生は続けた。


「処理班とは、ゾンビと戦うための班だ。今日からその訓練を始める」


編成はすでに完了しており、俺たちに伝えられたのは決定事項としての説明だけだった。


「これから武器を配る。しかし君たちは、ほとんどが素人の高校生だ。武器なんて扱ったことがないと思うが、説明は短くする。時間がない」


そう言いながら、トリマル先生は銃やナイフを手際よく配り始めた。

俺の手に渡された銃は、予想以上に重く感じた。

今手渡されたこれを、何のために使うのか、考えただけで息が詰まりそうだった。ふと視線を右へ傾けると、ユキが手にした銃をじっと見つめ、細かく確認しているのが見えた。

彼女の銃は、柄のところが、俺のものと少し形が違っていて持ちづらそうだった。どうやら不良品のようだった。


「それ、壊れてないか?取り替えてもらった方がいんじゃね?」


彼女の返事を待つ前に、俺はトリマル先生に声をかけた。


「あの、先生。ユキの銃、なんか不良品っぽいんですけど」


俺の声に気づいたトリマル先生は、その厳格な表情を一ミリも崩さず言った。


「不良品なんて俺は知らない。上からの指示で配ったものに、たまたま扱いづらいものが混ざっていただけだ」


そう言うと、トリマル先生は俺と会話する意志がないことを伝えるかのように、視線を外した。

少し、怒りが込み上げてくる。


「ごめんスグルくん、言ってくれたのに」


「ああ、俺はいいんだけど……。ユキ、俺のと交換するか?」


ユキが俺に謝罪する。俺はそんなユキに銃を差し出したが、ユキはそれを受け取らなかった。


「いいよ。大丈夫、ありがとう。あの人が言ったように、たまたま私のとこに異物が配られただけだから。……理不尽だよね、こんな、急に」


彼女の声は控えめだったが、きっぱりとした口調で指摘した。俺も、彼女に同感だった。こんな唐突に以前までの日常が破壊され、保身のために手渡されたものは銃。世界は、どこまでも理不尽だ。

ーーバンッ!バン!


「ーー!?」


途端、俺の左斜め後ろから、二発、銃声が聞こえた。

振り返って見ると、そこには銃を見つめ目を輝かせているアキがいた。


「うおーーっ!これすげ。マジモンの銃じゃねえか」


武器を片手にふざけるように振り回し、笑いながら言う。


「これで戦うのか? まるでおもちゃみたいだな」


その軽い調子に、周囲からは思わず笑いが漏れた。なんだか、少しだけいつもの学校みたいだ。

しかし、トリマル先生の表情は変わらない。アキの一幕に触れる素振りもなく、次の説明を始めた。


「まずは基本操作を覚えろ。訓練は厳しい。中途半端な覚悟なら死ぬだけだ。今は手探りでいい。とにかく早く武器に慣れろ」


その冷酷な一声で、雰囲気がまたピリつく。

トリマル先生の態度で、俺たちはここが日常ではなく戦場であることを思い知らされる。現に今持っている物は武器で、戦いで生き抜くために使う物だ。また、これから行うのも、戦場で犬死にしないための訓練なのである。

もう、いつもの学校なんて戻ってこないのかもしれない。

俺たちは息を飲み、訓練開始の合図を待った。

俺たちはまだ何もできない素人だ。それでも、今日からゾンビと戦う戦士として立ち上がる。

それが現実だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。