ラピュタ体育祭 #01
「ラピュタ体育祭?」
俺が聞き返すと、レイチェルが小さく頷いた。顔が少し青い。よく分からなくて、首を傾げる。
「運動会じゃなくて、体育祭なのか?」
「そうなんです。4年生だけは運動会じゃなくて体育祭らしくて………」
ユーリは4年生……つまり10歳になった。ルークも5歳だ。勿論家族旅行は行ったぞ?去年ルークがリクエストしてくれた動物園だ。コルーンの大きな動物園で、たくさんの動物にユーリは過去最高に興奮していた。ルークも強そうな動物を見てはじっと見ていて、中々楽しい旅行だった………って、それはともかく。
「運動会とどう違うんだ?」
「それが………」
レイチェルの話を要約すると、5、6年と13歳から14歳までの中等部、15歳の高等部では学外活動があるらしく、自分の身を守れるかどうかを見る為に行われる行事で、これで上位を取らないと学外活動は出来ず、お留守番になるそうな。
それはそれで別の活動をするそうだが、色々な制限があるらしい。クラス替えにも影響してきて、ラピュタでは一番重要視される行事。体育祭と言うより闘技大会らしく、一対一で戦うトーナメントは保護者じゃなくても見に来るのだとか。
「へえ、そんなのがあるのか。知らなかったな」
「私も学校からのプリントで知って………ユーリが危ないことをすると思うと気が気じゃなくて……」
レイチェルはそこまで言ってほろりと涙を零した。……レイチェルは争い事が苦手だし、過保護だからなぁ。とはいえ、レイチェルの泣き顔なんて見たくない俺は抱き寄せた。
「大丈夫。ユーリは俺達の子供だぞ?怪我なんてしないよ」
「でも………」
「危なくなったら俺が止めにはいるからさ、ドンと構えててよ。チェル」
「………はい、アド」
レイチェルは俺の胸に身体を預けて目を瞑っていた。………まあ、ユーリなら大丈夫だろ。そんなことを思いながら、改めて抱き締め返した。
* * *
体育祭、当日。
ユーリとツムギ、シオン、マレアス、ハリソン、アメリアは頭にハチマキを巻きながら話をしていた。
「ふふん!私とツムギちゃん、可愛いでしょ!リボンなんだよ!」
「わあっ、可愛いねー」
「うんうん、似合ってる」
「女子って、そういうの好きだな」
「………同感」
「ね、それより、体育祭で勝負しない?」
「「「「勝負?」」」」
全員が声をそろえると、アメリアはにやりと笑って提案する。
「私達ならどうせ予選は突破できるでしょ?それで、きっと私達同士で戦うの。だから、負けたら罰ゲーム!」
「ええ~、面倒くさい「なんかいったか?」………ナニモイッテマセン」
「やってもいいけど、……なにをするの?」
「そんなに難しいことじゃないわ。題して!負けたら好きな人を暴露する!」
「「「「え」」」」
アメリアの提案に再び真顔になるユーリ以外の面々。ツムギが小さく手を挙げた。
「あ、あの、いない場合は…………」
「誰かしらいるでしょ~。絞り出しなさい♪」
「えっ、ええ………」
ツムギは思わずちらり、とユーリを見る。すると、ユーリと目が合って慌てて逸らす。ユーリもふい、と赤らめた顔を逸らす。初々しい2人にアメリアは内心舌打ちをしながらぱんっ、と手を叩いた。
「じゃ、決定!負けたら絶対言ってね!じゃあ行こっ!」
「………」
「………」
「………」
「………」
アメリアの言葉に、全員が『負けられない』と思ったのだった。




