10 合流
舞台は宇宙に戻ります
区切りの都合で短め
他のメンバーに遅れる事1ヶ月後、ピコは第三宙域前線本部基地へと到着した。
「やっと来たにゃ。
まさか、予定より遅くなると思ってなかった
にゃ。」
シャトルから降りると、ミーコに出迎えられた。
予定日から5日遅れの合流だ。
「鉱物研究所にも呼び出されてにゃ。」
日程の内訳としては、魔素枯渇で倒れて1日、鉱物研究所の用事で2日(内1日は都合が合わなかった)、シャトル移動で2日(地上→宇宙都市、宇宙都市→基地の各1日)である。
しかし、倒れた事は秘密にしておく。
「……それだけにゃ?」
ミーコ、ジト目である。
「忘れたにゃ?
私はマルコシアス隊の筆頭衛生官にゃ。
この意味が分かるにゃ?」
ブワッ
全て知られている事を悟り、全身から冷や汗が出る感覚がする。
倒れたのは開発本部からの依頼“任務中”。
つまり何か怪我等をした場合、隊の筆頭衛生官に引き継ぎがされるわけで…。
「あー、そういえば忘れていたにゃ。
魔素枯渇で倒れたけど、問題は無いにゃ。
だからほら、忘れるのも仕方ないっていうか…。」
そう、うっかり忘れていただけなのだ!
決して「秘密にしよう」などとは思っていない。
…いや、本当に。
爪の先ほども。
「だめにゃ。」
非情な現実。
必死で誤魔化そうとしたが、ミーコには通用しなかった。
ならば、
(一時撤退にゃ!)
ガシッ
踵を返し、その場から去ろうとするも肩を掴まれる。
振りほどこうと踏ん張るも体は動かない。
(嘘にゃ!)
ピコは小柄とは言っても兵士である。
一般の雄1人であれば、十分制圧が可能なのだ。
(『あー、これ無意識で身体強化をしてるにゃ。』)
何と、ミーコは魔法を使っていた!
(「わたしも出来ないにゃ!?」)
魔法には魔法で対抗である。
(『ついでに、魔素の阻害もされているにゃ。』)
詰みである。
「ミーコ、放すにゃ!
到着の報告があるにゃ!」
説得を試みる。
グイッ
引き寄せられ、ミーコの顔が耳の横にくる。
「体調不良の隠蔽、1アウト。」
囁くミーコ。
「隠蔽の隠蔽未遂、2アウト。」
更にカウントは続く。
「私からの逃亡、3アウト。」
役満、チェンジである。
「安心するにゃ、チェンジは無しにゃ。」
神はわたしを見捨てなかった!
「さあ、報告に行くにゃ。」
わたし、一生ミーコ教の信者になります!
「後で、たぁっぷり、お話するにゃ。」
あ、デスヨネ。
(「HEY“私”!
「お話」の回避方法は!?」)
(『知らんがな、にゃ。』)
「流石悪魔」である。
…………………………。
…………………。
…………。
…。
翌日、ブリーフィングにて。
「本日は、1対1の模擬戦を行う。
先日の反省点を活かせているかを確認する。」
ガイウスが教導を担当する4名に、本日の予定を告げる。
この1ヶ月ピコの代理として、良くやってくれていたようである。
「さて君たちを迎えた際に、俺は隊長代理だと言っ
たな?
本日より、別件で動いていた我々の隊長が合流し
た。」
ガイウスが壇上から退き、こちらに視線を送る。
「わたしがマルコシアス隊、隊長のピコ・フローレン
スにゃ。
本日からわたしも教導に加わるにゃ。」
壇上に上がり名乗る。
「当官にそんな話は来ていないですね。」
そう発言したのはハロルド・チェンバー小尉であった。
ガイウスとハンナから聞いた話では、マルコシアス隊、特にピコに良い感情を持っていないとの事だ。
(これは、思った以上にゃ。)
想像を越える態度の悪さに、ピコは面を食らう。
しかしこういった輩は、こちらが少しでも動揺を見せると付け上がってしまう。
その為、毅然とした態度で返す。
「バング小尉の話を聞いていなかったにゃ?
当官がマルコシアス隊を率いているにゃ。」
確かに彼らには通知はされていない。
しかしピコの不在は、マルコシアス隊内の管轄であり、彼らに通知する必要性は無い。
つまり、ただのいちゃもん以外の何物でもないのだ。
「偶然が重なって勘違いしているようですが、相応し
い実力があるかは、当官には分からないもので。」
……つまり小尉は、「たまたま功績を上げれただけで、実力を伴っていない」と言いたいわけだ。
「…確かに、一度手合わせ願いたいですね。」
そう発言する、アクト・ウィンドラス曹長。
彼はチェンバー小尉とは異なり、マルコシアス隊に好意的という話だ。
わざと思案気な表情をしているが、その目に悪意は見受けられない。
「フローレンス中佐の機体はまだメンテナンスが終了していない為、それまで待って下さい。」
バリー大尉が遠回しに「模擬戦はしばらく不可である」と告げる。
「」
「通常機で構わないにゃ。」
チェンバー小尉が何かを口に出す前にそう言う。
ここで模擬戦を断れば、チェンバー小尉は嬉々としてあれこれ言ってくるだろう。
それにチェンバー小尉ほどで無いと言えど、サンライト軍曹とグラスフィールド伍長の不信感も払拭したい。
「俺はいいと思うぜ、ハンナ大尉。
隊長も腕が鈍っていないか確かめたそうだ。」
ガイウスが賛成した事で急遽、本日はピコと教導担当の4名との1対1の模擬戦が行われる事となった。
次回「模擬戦でフルボッコ」
教導担当の4名は生還できるのか!?
お楽しみに!
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