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6  次なる任務

日常パート終了のお知らせ

 年が明け、ピコが軍に入隊して4年目となる。

 移動式要塞を起因とする、ドギヘルス侵攻戦が開始されて一年だ。

 現在は軍の再編と、志願兵の訓練が急ピッチで行われており、昇級評価は見送りとなった。

 そして、マルコシアス隊も再編の煽りを受けた。


「済まないな、フロス中佐。

 後はスタイン中佐に引き継ぎになる。」


 プライズ艦長と一部クルーの脱退だ。

 将官が不足している現状、准将となったプライズ艦長は、一部隊に在籍するのは困難となった。


「共に戦えて光栄でしたにゃ。

 武運を祈りますにゃ。」


 元々艦隊を率いる予定であったプライズ艦長だ。

 一隻の駆逐艦の艦長でいる事が異例だったのだ。


「こちらこそだ。」


 ピコはプライズ艦長と握手を交わした。


 …………………。


 …………。


 …。


 マルコシアス隊が失ったのは艦に留まらなかった。

 

「こればっかりはどうしようも無いにゃ。」


 ミーコが言う。

 2ヶ月が経ち、意識を取り戻したミケコ姐さんであったが、本人の申告で下半身の麻痺が発覚。

 軍医の見立てでは、日常生活に支障が出ない程度には回復するものの、ポッドでの戦闘は自殺行為になる、とのことだ。


「生きていれば良いのにゃ。」


 「マズル」攻略戦では、各エース級部隊で戦死者が出たのだ。

 戦死で欠員していない時点で奇跡と言える。

 それに、日常生活には支障が出ないのだ。

 限りなくベストに近い。


「マルコシアス隊はどうなるんでしょうか?」


 トーマスの言葉は、少なからず全員が思っている事であろう。


 …………………………。


 …………………。


 ………。

 

 更に後日。


「教導任務、ですか?」


 トーマスが言う。

 現在、宿舎に動けるメンバーを集め、本部からの任務依頼について相談していた。

 この任務依頼は、戦闘ポッドパイロットの練度の向上の為、撃破スコアの高い部隊に打診されている任務である。


「次の大規模作戦までは半年は空くみたいですね。」


 バリー大尉の言う通りだ。

 模擬戦での練度上げは、ある程度の期間行わないと効果は出ない。

 練度の高い部隊に打診するという事は、その間、その部隊は作戦に参加出来ない事となる。


「次の大規模作戦何かあるんすか?」


 ディックの疑問も最もではある。

 現状、撤退しているとは言え、キャトラス軍はドギヘルスの最終防衛線に迫っている。

 ここらで停戦協定なりを結ぶべく、上層部も動いている。


「それで終わるなら三百年も戦争していないのさ。」


 親父っさんが言う。

 学生時代の歴史の授業を思い出す。


 一時期、キャトラスが資源帯を実効支配していた時期があった。

 キャトラス側は、ドギヘルスに一部を解放し、数年は問題無く運営されていたという。

 しかし、その数年の時間と採掘された資源はドギヘルスに戦力の拡充をさせ、解放していた区画を起点に、支配圏を奪われる事となる。

 資源帯は再び争奪戦となり、現在まで戦いが続いている。


 という風に習った。

 真偽の程は分からないが、一度本星を制圧でもしなければ、負けを認めないという事だろう。


「別にやる事は無いんだ。

 受けない理由は無いだろう。」


 ガイウスの言葉に頷く面々。


「では、マルコシアス隊は教導任務を受けるという

 事で返答します。」


 バリー大尉の確認に異議は出ない。

 今後暫くの動きは決定した。


コンコン、コンコン


「失礼します。

 フローレンス中佐宛てに本部からの書簡です。」


 管理官が直接持って来るという事は、重要な案件なのだろう。

 

 …………………………。


 …………………。


 …………。


 結果から言うと、マルコシアス隊の予定には変更はなかった。

 本部からの書簡は、ピコ個人に宛てられた物であった。

 そしてマルコシアス隊は、臨時でガイウスをリーダーとして、ピコより一足先に宇宙へと上がって行った。

(ポッドは基本、宇宙でしか使用出来ない。)


「また何か変な物を渡されるにゃ?」


 地上に残ったピコは、何かと付き合いのある開発部の本部へと訪れていた。

 試用特務時代には「何処で使うんだコレ?」と言うような兵器の試験運用を、実用可能そうな兵器以上にさせられたのだ。

 担当者が来るまでの待ち合い時間に、ぼやいてしまうのも大目に見て欲しい。


「やあ、待たせて済まないね。」


 待つ事5分程だろうか、担当者がやって来た。


「早速だが、整備格納庫に向かおう。」


 挨拶もそこそこに、試作兵器が整備・保管されるハンガーに案内される。

 

(やっぱりにゃ?)


 新しい兵装であれば、いつものように資料と現物を送って来ればいい。

 わざわざ、ここで見せる意味は何だろうか?


「中佐に来てもらったのは、“これ”について解析する

 協力をお願いしたくてね。」


 そこには、薄青色の球体構造物が、ハンガーの一角を占領していた。


「なるほどにゃ…。」


 これは断って宇宙に上がったところで、やる事は無いだろう。

 

「これが何か理解したようだね。

 そうさ、中佐のポッドのコアフレームだ。」


 解析とは「マズル」攻略戦でこの機体が見せた現象についてだろう。


「中佐は「マズル」攻略戦でこの機体に無い機能を発

 揮し、敵の巨大兵器を撃破したそうだね?

 その機能をもう一度、発揮して貰えないかと思って

 ね。」


 この協力依頼は、ピコにとってもいい機会であった。

 “私”は、力の模倣は可能だと言っていた。

 それがどういったモノか、試させて貰うとしよう。

いつも読んでいただきありがとうございます。


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