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4  対話

ほぼ設定の説明になります

 その晩、儀式を完了した三人とピコの両親は、祖母の家に泊まる。


「うぅ…、疲れたにゃ…。」


 敷かれた布団に突っ伏すピコ。

 儀式も勿論だが、そちらは精神的な負担だ。

 現在ピコがダウンしている理由は夕食後の風呂の時間にあった。

 新鮮な魚料理を満足するまで食べ、温まろうと風呂に入っていた所、ミーコとナナが突撃して来たのだ。

 雌同士と言えど(ミーコは更にパートナーだ)、刺激が強すぎた。

 2人は強引に洗い場に入って来て、ピコの背中をどちらが流すかで激しく争った。

 争いはエスカレートし、争点であったピコは、一人用の狭い洗い場から弾き出され、争いが終息する二十分の間、バスタオル1枚で脱衣所に放置されたのだ。

 その後、我に返った2人に、強制的に全身を洗われたのだった。


「ピコちゃんとお泊まりにゃ♪」


「ピコさんの身体、きれいでした…♪」


 やつれたピコに対し、肌艶が良い2人である。


「~♪

 …ん、これは?」


 鼻歌を歌っていたミーコが気になる物を見つけたようだ。


「ピコさんのお母さまと…誰です?」


 ナナがミーコの手元を覗き込んでからピコに問う。

 どうやら写真のようだ。

 写真には学生らしき白母さんと…………。


「ほんとに誰にゃ?」


 白母さんと二人で写っていたのは、母さんと揃いの毛皮の儚げな美人であった。


「あら~、クロがまだ白かった時の写真にゃ♪」


 白母さんが懐かしそうに言う。


「「「はぁっ!((えっ!?))」」」


 ピコ達三人の声が重なった。(主にピコだが)


 …………………。

 …………。

 …。


 お祖母ちゃんに聞いた話ではこうだ。


 当時、「神招き」の一族はお祖母ちゃんが継いで間もなくであった。

 娘のナシロと、妹の娘、姪のクロナは、姉妹のように仲が良かった。

 しかしクロナは、当時“死の病”と言われた「魔素欠乏症」を患う。


(「魔素欠乏症」は現在でも難病とされる、体内魔素

 値が著しく低くなり、身体が弱っていく病だ。)


 ある日、弱り切ったクロナは、致死率の高い感染症を発症。

 仲の良い従姉妹を喪いたく無かったナシロは、その身に宿る悪魔を顕現させて、従姉妹の延命を願う。

 ナシロの願いを聞き入れ、悪魔はクロナに融合。

 クロナは病を克服したが、悪魔の影響で毛皮が黒く染まり、ナシロを一族から連れ出し、子を作った。

 

 その子が、ピコである。


(待てよ?

 ピコの家系に伝わる“悪魔”は一柱だけでは?)


「じゃあ“私”は何なのにゃ?」

 

 答えは本人が持っていた。


「私も黒ママに融合した“悪魔”と同じにゃ。」


(では、黒ママが、黒毛皮なままの理由は何だ?)


「神が一個体の延命に全力を尽くす必要は無いの

 にゃ。」


(…つまり、黒ママに融合した“悪魔”は、“私”の一部

 だったわけか。)


「その認識で間違いでは無いにゃ。」


(間違い“では”無いということは?)


「厳密には、“私”は私の身体の本質と“悪魔”が融合

 した存在にゃ。」


(じゃあ、“わたし”は何だ?)


「“わたし”は記憶の欠片が身体を得て、新たに纏った

 存在にゃ。」


(つまり、“私”がこの身体の本来の自我だと?)


「いや、“わたし”がいなければ、そもそも存在してい

 ないのにゃ。」


(………よく分からない。)


「つまり、この身体は本来は欠けた器だったの

 にゃ。」


(欠けた…。)


「つまり、この身体は“わたし”が入り込む事で生きて

 産まれた。その後、成長した本質が“悪魔”と融合し

 て“私”になったのにゃ」


(要は、“わたし”も白母さんと黒ママの本来の子とい

 う事で良いにゃ?)


「欠片はあくまで欠片にゃ。

 要素であっても、全てでは無いにゃ。」


(良かった…。)


「だから早いトコ“私”と融合するにゃ。」


(融合したら“わたし”と“私”はどうなる?)


「変わらないにゃ。

 2つある魔力回路が最適化されて1つになるだけ

 にゃ。」


(………今すぐには無理にゃ。)


「欠片がそうさせるにゃ。

 いずれ吹っ切れるにゃ。」


(なら「消す」とか言わないで欲しい…。)


「全力を振るうべき時までに吹っ切れ無かったらそう

 するにゃ。」


(………努力するにゃ…。)


 …“私”は引っ込んだようだ。


「一人漫才にゃ。」


「内容は重いけどね…。」


「見分け方がわかったにゃ。」


「目がチカチカします…。」


 順に、白母さん、黒ママ、ミーコ、ナナの言である。

 見分け方?


「どちらのピコちゃんが話しているかによって、毛皮

 の黒の部分の濃さが変わるにゃ。」


 ミーコが教えてくれた。

 何故、白毛皮の母さんと黒毛皮のママから産まれた自分がサバトラ毛皮なのかが分かった。

 黒ママが“悪魔”と融合した事で白毛皮が黒くなった事から、元から融合したような自分は、白毛皮に黒が混ざるのだ!


「最後にどうでもいい事まで判明したにゃ。」


 たまに出る、白母さんの毒が辛い…。


「もう遅いから寝ましょう。」


 儚さの欠片も無い黒ママ。


(これも“混ざった”影響にゃ。)


 これ“も”、という事は…


(“わたし”のそれは元来にゃ。)


「ピコちゃん、どうしたにゃ?」


 いや、きっかけがどうであろうと、今の気持ちはわたしのものだ。

 何も変わらない。


「ミーコ、愛してるにゃ。」


 つい、伝えたくなってしまった。


「いつか私にも言って欲しいです。」


 ナナの事は嫌いじゃ無いが、今は難しい。


「いい加減に寝な。」


パチン


 強制消灯された。


 

 

無自覚転生主人公、現地主人公と変わらない説




いつも読んでいただきありがとうございます。


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