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3  えんげーじ

※このお話はファンタジーです。

 

 お祖母ちゃんについて、階段を下った先には“いかにも”な魔法陣が石床に彫り込まれていた。


「まずは、ピコと天虎の巫女が乗りな。」


 促され、魔法陣に近付くと魔法陣は淡く発光する。


「次はどうするにゃ?」


 ミーコと魔法陣の上に乗り、向き合う。


「そしたら、巫女の血を…」


カッ!


 お祖母ちゃんが次の説明をしている途中で魔法陣が強く発光する。

 仄暗い青の強い光に包まれて…


ーピコ視点ー


「説明の必要は無いにゃ。」


 祖母に断りを入れ、巫女に問う。


「ミーコは私を受け入れるにゃ?」


 まあ、答えなど一つしか無いのだが…。


「愚問にゃ。

 あなたもピコちゃんにゃ。

 なら、既に受け入れてるにゃ。」


 ああ、確かにミーコと繋がった感覚を覚える。


「これで契約は成ったにゃ。

 汝の敵は我が敵。

 敵の悉くを討ち滅ぼしてくれよう。」


GAOOO!


 ミーコの背後に背中に翼の生えた大型猫の幻影が出て来て吼える。


「悪いにゃ、天虎。

 貴様の巫女は私と契約したのにゃ。」


GURURUU…!


 天虎の幻影は不服そうに唸る。


「まあ、今は機嫌がいいのにゃ。

 昔にボコされたのはこれでチャラにゃ。」


GAAA!


 天虎ブチ切れである。


「ほら、巫女が怯えてるにゃ。」


GAU!?


 あたふたする天虎。


「そこで提案にゃ。

 巫女は私がいただくにゃ。

 でも、守護はそのまま続けていいにゃ。」


GUUU…


 考え込む天虎。

 正直な話、ミーコは既に“私たち”のものである。

 しかし今の“わたし”では、護り切れるか不安が残る。

 そこで、こちらの妥協という形で、保険で天虎に守って貰おうというのだ。


GA!


「よろしくとは言わないにゃ。

 せいぜい見守る事にゃ。」


 天虎の幻影が揺らめいて消える。

 お次は、


「“わたし”に言っておくにゃ。」


 私の中で聞いているだろう。


「早いとこ“私”を受け入れるにゃ。

 出ないと力は十分に使えないままにゃ。」


 何せ“わたし”の願いと“私”の力は相反するものである。

 かつての“私”と同じである。

 ここで別たれないのは、“わたし”の本質が“私”と同じだからだ。


「器は模倣出来るようにしておくにゃ。」


 今はそれでいい。


「最後にアドバイスにゃ。

 両親の想いを思い出すにゃ。」


 これ以上は“私”が変質してしまう。

 それだけは避けたいので、ヒントに留めておく。


「願いと呪いは同じにゃ。」


 それは捉え方で真逆になるだけ。

 今の“わたし”は自らを呪いに縛っているのだ。


「分からないと“私”が“わたし”を消しちゃうにゃ。」

 



~ピコ視点~


グッ…パッ…グッ…パッ…


「…………………。」


 手を握って、開いてを数回繰り返す。

 戻って来たようだ。


「ピコちゃん、戻った見たいだにゃ。」


 ミーコは瞬でわかったらしい。


「はぁ~~っ!」


 大きく息を吐く。

 (こっわ)

 え、何あれ!?

 自分の半分を消すとか本気で言ってたんですが!?


「多分、あのピコちゃんなりの激励にゃ。」


 ミーコが肩をポンポンしてくれる。


「とんだ爆弾を抱えた気分にゃ…。」











~ナナ視点~


 もう一人のピコさん“も”ミーコさんが大好きなようです。

 昨日初めてお会いした、ピコさんの両親も、ミーコさんどころか、妖狐族の私ですら歓迎してくれました。

 そんな優しい両親に愛されて、ピコさんが羨ましい気持ちになります。


「次は神憑きのあんただ。」


 先ほど、現代では失われた魔法を披露した、


(ちょっと想像とは異なっていましたけど…。)


 ピコさんのお祖母様が私を呼びます。

 上で話を聞いた時から気になっていた“神憑き”という、私を指す言葉。

 ドギヘルスで差別の対象とされた、この姿には神様が関係しているのでしょうか?

 魔法陣の上に恐る恐る乗ります。


ぼうっ…


 ピコさん達の時と異なる、(ほのお)のように揺らめく発光。


ずるっ…


 身体から何かが抜ける感覚に、へたり込んでしまう。


ぶるっ


 肌寒さに身体が震える。


(何で急に寒く…?)


 ピコさん達をちらりと見るも、唖然としつつも、寒さは感じていない様子です。


ざらり


(?)


 手に伝わる感触に違和感を感じる。


「…っ!

 手が!?」


 視線を手に向けると、ドギヘルスで一般的な手が目に入る。


コャーン…


 自分の身体の変化に戸惑っていると、何かの鳴き声が聞こえる。


「九尾様、ですか?」


 視線を上げると、妖狐族の信奉する九尾様の特徴そのままの幻影が佇んでいました。


『そうです、愛し子よ。』


 九尾様の声が頭の中に聞こえます。


『そして、辛い思いをさせてしまいました。』


 申し訳なさそうに言う九尾様。


「…これまでの姿は九尾様が?」


 “辛い思い”で思い浮かぶのは、獣と言われた、自分の容姿のことでした。


『あなたが愛しい余りに、私と似た姿としてしまいま

 した…。

 それが、あなたを苦しめるとも知らずに…。』


 心底後悔している九尾様。

 その姿に、ピコさんに感じる熱とは違った、温かさを感じました。


「おかげで好きな人に会えました。

 確かに辛い事でしたが、九尾様には感謝します。」


 悪いのは、この姿を差別する者達のみです。


『ありがとうございます。

 …ところで、その、ですね…?』


 何かを言いにくそうにする九尾様。


『勝手ながら、私はあなたを娘だと思っています。

 なので、もう少し平に接していただけないかと。』


 畏れ多い事を言う九尾様。

 “愛し子”、“娘”、実の両親にすら思われる事は無かった。


(これが“親愛”なのですね…。)


 懇願する目をする九尾様に応える。


「それでは、失礼ながら「九尾お母さま」と呼ばせて

 いただいても?」


 魔法陣の光が弱くなる。


『是非とも!

 …残念ながら時間のようです、娘よ。』


 そういえば、ピコさんのお祖母様は“簡易の儀式陣”と言っていました。


『私の力はまだ弱く、自在に振るう事は叶わないで

 しょう。』


 九尾お母さまの力は弱っていたようです。


『ですが、“それ”を持っていれば一度だけ。

 あなたが必要とした時、力を振るえるでしょう。』


 自作のお守りを示す、九尾お母さま。


『私の義娘(むすめ)に、彩り多き道を。

 母はあなたの中に居ますから。』


 魔法陣の光が消え、姿が元に戻ります。

 その自身の姿が、九尾お母さまとの確かな繋がりの証明のようで、とても安心したのでした。



 

マルコシアスは互いの同意、九尾は身内への定義付けにより正式に繋がりを得ました。


いつも読んでいただきありがとうございます。


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よろしくお願いします。


感想、レビュー等もお待ちしています。

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