20 進む「マズル」攻略戦
重要な局面、マルコシアス隊は…
タマ小佐の提案により行ったMAによる宙域爆破。
小佐が懸念していた敵陣形前の設置罠による戦闘初期の損耗は避けられた。
自分たちを守る筈の壁が一発のミサイルで一掃されたドギヘルス軍は浮き足だっている。
そこに大軍が全力突撃を敢行した事で、このエリアは
当初予想された長距離からの射撃戦は起きず、乱戦となっている。
『機雷が!
何でバレた!?』
『俺に聞くな!
早く撃て!』
未だに立ち直れ無いドギヘルス軍。
『戦闘機部隊は敵陣の突破を優先!
ポッド部隊は敵機を相手しつつ前進!』
『連携させるな!
各個撃破を徹底しろ!』
勢いのまま有利に戦闘を進めるキャトラス軍。
しかし敵陣中間まで戦闘機部隊が前進したあたりで一度戦線が停滞する。
『へっ!
鈍いぞ犬面。』
キャトラス軍機がドギヘルス軍機の真後ろを取る。
シュッ…
『誰かっ、援護を…』
ドンッ
飛来したミサイルがキャトラス軍機を捕らえ、撃墜する。
『何をしている三軍ども。
押し返すぞ。』
ミサイルを放ったのは増援にきた部隊。
『二軍が前に出る。
三軍は援護しろ。』
無線から察するに、初期の撃ち合いでの損耗を避ける為、後方に配置されていた手練れが出てきたようだ。
…………………。
…………。
…。
ドギヘルスの「二軍」が前に出てきて数十分。
キャトラス軍は進行速度こそ落ちたものの、着実に敵陣に食い込み、前進していた。
手練れと称したがあくまで「三軍」に比べてであり、練度としてはガンマ連隊のキャトラス兵と同程度かやや劣る。
調子に乗って突出し過ぎた者が刈り取られるように撃墜されてしまいはしたが、損耗としては1%にも満たないだろう。
そして極めつき。
『なっ…、「青鮫」の「刃持ち」!?』
『何でこっちに!?』
『一軍案件発生、救援求む!』
スパンッ…!
動きが一瞬止まった3機の敵機(おそらく同隊)をすり抜けざまに切り伏せる。
『相手しようとするな!
時間をか』
ズドッ!
『隊長!』
ボッ…
周囲から敵機が波のように退いて行く。
ピコを始めとしたマルコシアス隊の存在により敵の陣形はガタガタだ。
これではいくら兵力が同等でも止められはしない。
結果として、
1、機雷による突撃防止・安全圏からの攻撃
2、練度の低い兵を盾にしての強兵の温存
3、支援を受けた万全の強兵による押し返し
という敵側の作戦(無線から予想)は単なる戦力の逐次投入に成り下がってしまっている。
そして戦闘開始から一時間程が経った時、
『ベータ連隊戦闘機部隊、敵陣突破!
要塞への攻撃を開始。』
スノウ達が敵要塞に食い付いた!
『ガンマ連隊、続け!』
『Bフィールドが破られた!?』
キャトラス軍の士気は上がり、ドギヘルス軍には動揺が広がる。
そしてさらに数十分後。
『ガンマ連隊戦闘機部隊、敵陣突破!
要塞への攻撃を開始。』
マルコシアス隊属するガンマ連隊も敵陣を二つに割った。
戦闘機部隊に続き、ポッド、駆逐艦と次々に敵陣を突破して行く。
敵の陣形は最早形を保てず、戦況はキャトラス軍有利に大きく傾いた。
『………!
Aフィールドだ!
Aフィールドに合流するんだ!』
二つに割れた敵陣形の左側がアルファ連隊の戦闘区画へと流れて行く。
少々不味い事になった。
『要塞への攻撃を続行!
残った敵陣右側は合流を阻止しろ!』
ガンマ連隊の司令官は要塞攻略を優先したものの、アルファ連隊にこれ以上の負担をかけないように采配を行う。
『フロス大尉、どうする?』
プライズ艦長が問うて来る。
ピコのやりたい事を察しているようだ。
ピコとしては今すぐ流れる敵の後ろから追撃をかけたいところである。
しかし、戦闘前のイワンとのやり取りを思い出し決意する。
「マルコシアス隊実働班は現地点での戦闘を続行。」
『隊長!
アルファ連隊がヤバいっす!』
ディックの言葉に「見捨てるのか」というニュアンスが含まれる。
「補給に帰還した機はその時点で待機。
ハンガーは対軍戦闘パックの用意。」
『ほう?』
ガイウスが何かを察する。
「全機揃い次第マルコシアス隊は現地点を離脱。
全速をもってアルファ連隊の援護に向かうにゃ!」
『隊長ならそう言うと思ったよ。』
『そうですね。』
ミケコ副長とトーマスが「やっぱりな」といった雰囲気で話す。
『隊長…!
なら早いとこ撃ち尽くすっす!』
途端にやる気を漲らせるディック。
『ディック、無駄撃ちはするなよ。』
ガイウスから注意が飛ぶ。
『斬艦ブレードはどうする?』
親父っさんから確認される。
斬艦ブレードとは、第二防衛戦侵攻作戦後の「敵艦をブレードで真っ二つにした」という噂を受けて、本部の開発部が急遽製造した、普通のブレードの3倍の刀身と幅を持つ携行大剣の事である。
当然の如く、総メタモメタル製である。
(因みに動力はブレードに付属している)
確かに対軍戦闘パックの装備ではあるが…。
「対艦ライフル2丁でいいにゃ…。」
この盤面で開発部のロマンを振り回す気など欠片程も起きないのであった。
~要塞「マズル」 艦用ドッグ~
「おい、俺の機体の調整はまだなのか?」
静かに、しかし怒気を滲ませその雄は問う。
「近接自動防御システムの軌道予測のサンプルデータ
が膨大なので…。」
まだまだ時間がかかると技師は答える。
(戦いが終わってしまう!)
「いざとなれば出る。
用意しておけ。」
そう言いその場を後にする雄。
その雄は待つ。
その身を尽きない闘争心に焦がしながら。
まあ、すんなり行かないもんですよ。
次回はアルファ連隊かアニマル
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