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14 スノウと駄弁る

駄弁る(だべる)

喋る、話すという意味です

 あの後、ピコとスノウは会議室をあとにして食堂へ訪れていた。

 時間外の為自販機で軽食と飲み物を購入し二人掛けの席に座る。


「それにしても、入隊から三年で独立した小隊の指揮

 とは、流石スノウにゃ。」


 小隊とはいえ、ケートス隊のようなエース部隊の隊長とそこらの小隊の隊長とでは難易度が天と地ほどの開きがある。


「…知った時は驚いたにゃ。

 後方配属を希望したピコがマルコシアス隊、しかも

 隊長だなんてにゃ…。」


 それについてはピコ自身も同意する。

 自分でも分からない内に気がつけば艦持ち部隊を率いる事になっていた。

 あの日、作業ポッドを在り合わせで武装して出撃したことが、遠い過去のように思える。


「予定とは大分違う状況になったけど、悪く無いと

 思ってるにゃ。」


 現在は通常訓練を終えた正規の軍人はほとんどがドギヘルス侵攻に動員されている。


(どうせ、いずれはこうなったのにゃ…。)


 それならば自らが手掛けた機体に命を預け、信頼する仲間と共に戦い、大切な者を守れるという事は幸運な事だと思う。


「(ピコはいつも真っ直ぐだにゃ…。)

 何だかんだで立派な隊長の顔だにゃ。

 今度の作戦は頼りにしているにゃ。」


 自分ではまだまだ未熟だと感じるが、スノウにそう言って貰えると自信が出てくる。


「隊の皆にホワイトケートス隊長が期待してたって言

 っておくにゃ。」


 今一番熱い部隊の隊長からの言葉だ。

 艦のクルーや若者三人衆(ディック、トーマス、トム)は大いに士気を上げる事だろう。


「ピコの隊と言えば、この前スタイン小佐と少し話し

 たにゃ。」


 タマ小佐と、いつの間に?

 これまで再会の機会を逃していたらしい。


「どんな事を話したにゃ?

 あ、プライベートな事ならいいにゃ。」


 スノウとタマがどんな会話をするのか想像がつかず聞くものの、私的な事だと興味本位に聞くものでは無い。


「………主にスタイン家の事を。

 …後は小佐自身の事をにゃ。」


 そう言えば、アルレビオ家とスタイン家はどちらも軍で功績を上げ、成り上がった新興の家で、あまり仲が良くないと聞く。(現スタイン家当主がアルレビオ家を特に目の敵にしている。)


「タマ小佐とスタイン家は別々で考えて欲しいにゃ。」


 タマは気にしていないようだが、隊の仲間が悪く言われるのは例えスノウであっても良い気分では無い。


「………勿論、下らない噂の事じゃ無いにゃ。

 ただ、実家がにゃ…?」


「あ、ごめんにゃ。」


 声に不機嫌が出てしまったか?

 慌てて否定するスノウに悪いと思い、気分を落ち着かせる。


(…最近沸点が低くなったにゃ?)


 戦争の渦中にいるのだ。

 気が張ってしまうのも無理は無い。


(ミーコに癒して貰うにゃ。)


 この後の予定は決まった。


「………ところで、ピコ。

 スタイン小佐と結婚するにゃ?」


「っ!

 ………ゴホッゴホッ!」


 考え事をしているところへのスノウのトンでも発言に吹き出しそうになった飲み物を無理やり飲み込み、激しく噎せる。


「どうしてそうなるにゃ!」


 スノウはこんな冗談を言う雄だっただろうか?

 士官学校時代を思い出す。


(割りとあるにゃ…。)


 メディアでの真面目なスノウの印象が強くなっていたようだ。(ふざけて仕事する者はいないだろう…。)


「この前補給で第二前線本部に戻った時に話していた

 のが聞こえたにゃ…。」


 あの時か…!

 あの騒ぎの中良く聞こえたものだと思う。


「もしかしてその時にタマ小佐と話したにゃ?」


 スノウが頷く。

 本当にニアミスだったことが判明した。


「スタイン小佐はフリッター艦長に託されたって言っ 

 てたにゃ。

 ………ピコはそれでいいにゃ?」


 そうか、艦長が…。

 プライズ艦長には申し訳ないが、ピコにとって「艦長」と言えばフリッター中佐になる。


「悪くは無いと思うにゃ。」


 フリッター艦長のことだからあの時共に戦った友軍含めてだろうが、これから最期という時に気にかけて貰えたのは光栄だ。

 タマ小佐もイイ性格をしている。


「………じゃあ、俺はどうにゃ?」


 スノウが?

 スノウはホワイトケートスの隊長だ。

 マルコシアス隊の面倒を見る程暇では無い。


「出来るなら嬉しいけど、今は無理にゃ。」


 戦力があればそれだけ危険を遠ざけられる。

 それに気の知れた同期ともなれば頼もしい。

 だが、またそれぞれ別の戦場で戦う事になる。


「………っ!

 …戦争が終わった後ならいいにゃ?」


 戦争が終わっても軍が解体される事は無いだろう。

 そこまで自身の隊の面倒を見たいのか?


(…スノウは世話焼きだったにゃ。)


 入学当初は世話になった。

 スノウ的にはピコは面倒を見る対象なのだろう…。


「スノウがいいならいいと思うにゃ。」


 スノウの考えあってのことだ。

 外野がとやかく言う事でも無いだろう。

 スタイン家やらと違い、アルレビオ家はその辺が割りと自由がきくらしい。


「隊長、ここに居ましたか。」


 マルコシアス隊のメンバーの声では無い。

 ホワイトケートスのメンバーだろう。

 そう思って声の方向にスノウと視線を向ける。


「アンソン中尉にゃ!?

 久しぶりにゃ。」


 そこにはやはりホワイトケートスのメンバーが。

 その一人がビルフィッシュⅡで世話になったガーディアン隊隊長であった。


「今は小佐だ。

 久しぶりだな、ピコ大尉。」


 訂正しつつ、挨拶を返してくる小佐。

 あの後、隊は別れたが元気だったようだ。

 まさかホワイトケートスに居たとは驚きである。


 …………………………。

 …………………。

 …………。

 …。


 あれから幾らか近況の話と同行時の配置について意見を交わした。

 結果、スノウ隊(会話の流れでそうなった)が哨戒を兼ねて艦隊の前方配置。

 マルコシアス隊は後方警戒となった。

 戦闘機と軍用ポッドでは足並みを揃えにくいので妥当な配置だろう。


「そろそろ艦に戻るにゃ。

 当日は先導よろしくにゃ。」


 そう言ってピコは自身のホームである艦へと戻って行った。

 


 


 


 







 

 

ピコとスノウ、話が微妙に擦れ違ってないです?



いつも読んでいただきありがとうございます

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