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12 進捗

『ほ、本物だ…!

 本物の「青鮫」が出た!』


『報告!

 「青鮫」の現在地は▽▽ー◇◇!

 繰り返す、「青鮫」の現在地は…

 「ボッ!」』


『ピピッ!』


 ミサイルが撤退する敵の哨戒機をロックする。


「Fox2」


シュボッ!


 ミサイルが発射され、敵機を追う。


『くそっ…!』


ボンッ…


 遭遇した敵哨戒機2機を撃墜。

 

『周辺に機影ありません。

 帰還して下さい。』


「キマイラ1、帰還するにゃ。」


 …………………。

 …………。

 …。


 マルコシアス隊は現在、キャトラス軍が確保した領域外縁の巡回任務に従事していた。

 侵攻開始から既に2ヶ月を数え、この頃になるとドギヘルス軍も集結しつつあり戦線の停滞を招いていた。


「お疲れ様だね。

 次はあたしの番だね。」


 ミケコ副長はそう言うとキマイラへ乗り込んでいった。(巡回中は時間でローテーションを組んでいる)


 …………。

 …。


 パイロットスーツから着替え、ハンガーの待機部屋に向かう。(ピコの番はもう回って来ない)


「敵哨戒機2機に遭遇、撃墜したにゃ。」


 簡潔に報告する。

 こういった情報を共有することで心構えをするのだ。


「敵の動きはどうでした?」


 トーマスが質問して来る。


「隊の座標を報告後、即撤退にゃ。」


 今回だけで無くマルコシアス隊と遭遇した敵機はほとんど、そのような行動を取っていた。


「マルコシアス隊も有名になったっすね。」


 以前であれば誇らしげに言ったであろう台詞を複雑そうな表情で言うディック。

 敵に恐れられるのはいいとして、結果として逃走する敵を後ろから撃つ形になるのは堪える。


「白線付きも多くなりましたし…。」


 トーマスが呟く。

 白線付きとは、マルコシアス隊母艦「ブルーシャーク」の特徴の一つの船体に引かれた白いラインを模した塗装をした駆逐艦の通称である。

 マルコシアス隊の参加した敵基地制圧戦において、駆逐艦級一隻が敵戦線崩壊の呼び水となった事から、同作戦参加の駆逐艦が模倣。

 別任務に参加したところ敵が避けたという情報が広まり、心理的効果を期待して模倣する艦が増えた、ということだ。


「先ほど傍受した通信を聞く限り、ドギヘルス軍は

 混乱をきたしているようです。」


 バリー中尉の分析通り、マルコシアス隊の正確な位置が分からない程度には効果が出ているらしい。


「宇宙で白は目立つからなぁ。」


 ガイウスの言ったように白は目立つ色だ。

(その為パイロットスーツは白を基調としている)

 余程接近しない限り、それこそ戦闘距離にならなければ判別は難しい。

(レーダー上では駆逐艦級の表示がされ、望遠レンズの

 画像もそれほど精巧では無い)


「マルコシアス隊に限らず強い部隊の模倣自体が広ま

 っているにゃ。」


 新素材でティアマトが生産されるようになり、機体色に自由が効くようになってからケートス隊以外のエース部隊は部隊カラーを次々に導入しドギヘルスの部隊に圧力を与えている。


『予定のルートの巡回完了。

 任務の終了とし基地に帰還します。』


 ブリッジからのアナウンス。

 今回の任務も無事完了したようで何よりだ。









~高速航空母艦「ハデス」所属 ストライプ隊~


 空母「ハデス」。

 ケートス隊母艦の「ポセイドン」と同型の二番艦である。

 この艦の所属部隊である「ストライプ隊」はケートス隊より長く活動するエース戦闘機部隊である。

 そしてこの隊はティアマトと呼ばれるようになった愛機を黄と黒の縞模様(ストライプ)に塗装していた。


『レーダーに反応、戦闘機、数8。

 速いぞ、注意しろ。』


 どうやら未確認機の敵と遭遇したようで注意が飛んで来る。


(「電撃」か?

 いや、それならばそうと言う筈だ。)


『敵機とこの機体の速度比は?』


 隊長は動揺すること無く詳細な情報を求める。


『ティアマトとの速度比は1.2です。』


 ドギヘルスの高性能戦闘機(ティアマト)と言ったところか。

 主力機時代から常に相手側が速かった。


(久しぶりにあの時の感覚を思いだせ。)


 ドギヘルスの高性能機との戦闘が始まる。

 

 …………………………………。

 …………………………。

 …………………。

 …………。

 …。


 戦闘が開始されてから十数分は経った。

 流石はエース部隊と言ったところだろう。

 初見の機体相手に誰も撃墜される事無く戦闘は膠着状態に縺れ込んでいた。

 というのも、


『くそっ!

 やっぱりだ!

 奴ら熱追尾(サーモ)ミサイルが反応しない!』


 ストライプ隊が敵機の後ろにつくものの、何故かミサイルがロックされない。

 機体の速度は相手が勝る為、そのうちに射程外に逃げられる。

 この戦闘中、何度も繰り返されたパターンだ。


『あの機体、熱を隠しているのか!?』


(「幽霊」のネタは割れた。)


 部下が動揺するも隊長は冷静に思考する。


「レーダーと機銃の射程に持ち込め。

 二機一組(ツーマンセル)で行け。」


 敵機8に対し、ストライプ隊は12機。

 敵を2機自由にさせてしまうが、そこを凌げば殲滅は容易になる。


(精鋭たちだ、やってやるさ。)


 隊長が自認する通り、ストライプ隊は素早くペアを組み敵機を追い詰める。


『『ピピッ!』

 よしっ!

 FOX1!』


ボッ…


 エース級部隊の連携に、ついに敵機が撃墜される。


『迂闊だったな!

 「ヴォッ!」』


…ボンッ


 2機目も撃墜。


(呆気ないな…。)


 射程に捉えてしまえば撃墜できる。

 敵機のパイロットの腕は並のようだ。


(しかし、あとの2機は何をしていた?)


 数の都合上自由にした敵機だが、懸念していた横槍も無くアドバンテージは皆無になった。


(あの程度の腕ではどうにかする時間がなかった

 か…。)


 だからこそ機体に細工を施したのであろう。


『本艦に敵機接近!

 迎撃を開始します。』


「何だと!?」


 状況が不利になったとみての母艦狙い。


(間に合えっ!)


 ここで敵機を殲滅出来たところで、母艦が墜とされてしまえば損害が大き過ぎた。

 すぐさま母艦の救援に向かう。


『敵機ミサイル、迎撃間に合いません!

 「ドッ!」』


「ブリッジ!?

 応答しろ、ブリッジ!」


ドオォォ…


 艦規模の爆発。


 …………………………。


 …………………。


 …………。


 この日ストライプ隊は母艦である高速航空母艦「ハデス」を喪失。

 キャトラス軍の侵攻速度が低下することとなった。





 

 


悲惨な結果の多いその他視点の中ではマシな部類に思えますが、戦略的な影響は段違いに大きいです。



いつも読んでいただきありがとうございます

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